松木です。
Lapierreの2018年モデル、
新型エアロロード「Aircode(エアコード)」と
コンフォートバイク「Pulsium(パルシウム)」が、
プロのレースシーンで投入されているようです。
「パルシウム」も気になりますが、
今回は大幅進化した「エアコード」に注目してみます。
改良点を分かりやすくまとめてお話ししましょう(^^)
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目次
「Aircode」の基本情報
「Aircode」の認知度はそこまで高くないと思いますので、
新型を説明する前に「Aircode」というフレームの特徴を簡単にご紹介しておきます。
【フレーム形状】
「Aircode」のフレームはNACA翼型(上図の青形+水色の形)と
カムテール形状(上図の青色の形)を組み合わせています。
NACA翼型のほうが”空気抵抗”は小さいですが、
”重量”は大きく、”横剛性”は低くなる傾向にあります。
そこで「Aircode」は、
ダウンチューブなどの剛性が必要な部分には、
NACA翼型ではなく、カムテール形状を選択したりして、
2種類のエアロ形状を適材適所に使い分けています。
そのおかげで、
フレーム単体重量は1,050g(旧型の55サイズ)と、
エアロロードバイクの中では比較的軽量に仕上がっています。
BBには「パワーボックステクノロジー」。
(ラピエールバイク全般に採用)
仰々しい名前が付けられていますが、単に、
ぺダリングパワーがロスなく推進力に変換されるように
BB周辺の剛性を高める工夫のことを指しています。
具体的には、
「BB周辺のフレームを太く」し、
「なるべくカーボンを切断せずに長い状態で使用」してBB剛性を上げています。
続いては「トラップドアテクノロジー」です。
これも「Aircode」に限らず、ラピエール全般に採用されています。
BBに収まるカバーは
Di2バッテリーも固定できるようにつくられています。
シートポスト内ではなく、
BB下に重いバッテリーを収納することで、
重心バランスの最適化を図っているんですね。
ちなみにCERVELO「S5」なんかも似たような構造です。
以上の「Aircode」の基本を踏まえて、
次は2018年モデルの新型を見ていきます。
2018年モデル「AIRCODE」の4つの改良点
先に改良点を箇条書きしておきます。
- エアロ形状の大幅な改善
- スタックハイトを低くしてハンドリングを軽く、チェーンステイを短くして反応性を上げた
- 丸型シートポストだったのが、エラストマー付きの流線形の専用品に変更
- ケーブルルーティンの最適化
順に説明します。
①エアロ形状が大幅に改善されている
まずは旧型から。
こちらが新型。
フレーム形状の大きな変更点は、
”ヘッドチューブ上部” ”フォーク上部” ”シート集合部”
の3カ所です。
旧型のヘッドチューブ上部。
ヘッドチューブ上部が少し下に窪んでいる
”セミインテグレートデザイン”のヘッドチューブなのは同じなんですが、
新型には専用のヘッドカバーが用意されています。
普通のヘッドカバーも使えますが、
専用品のほうが、見た目的に一体感があってカッコ良いですね。
続いてはフォーク部分。
ダウンチューブと間に段差ができないようデザインされています。
これは、先日紹介した2018年MERIDA「リアクト」と同じ改善点。
フレーム最前面に近い場所ですから、
空気抵抗に大きな影響がある部分なんでしょう。
そして、フレーム形状の一番大きな変更点がシート集合部です。
旧型はシートチューブが流線型だっただけなのに対し、
新型は、空気が綺麗に流れるようシート集合部全体を再設計しています。
トップチューブからシートチューブへのつながりは滑らかですし、
リアホイールとの隙間は完全に埋められました。
それから、シートステイが若干細くなっているようにも見えます。
以上の3カ所に
エアロ的に重要な意味のあるフレーム形状の変更が見られました。
②スタックハイトを低くしてハンドリングを軽く、チェーンステイを短くして反応性を上げた
旧型では、プロから
「ハンドリングの軽やかさがもっと欲しい」
という要望がありました。
ハンドリングが軽くないと、特にスプリント時に影響があるそうです。
そこで、
オールラウンド軽量フレーム「Xelius(ゼリウス)」を参考に
フレームジオメトリーを見直しました。
具体的には、上の図のスタック(stack)の部分を短くしています。
(フォークにも微妙な変更が加えられている)
これによってハンドリングがダイレクトになります。
それと同時に、チェーンステイを短くして
直進性の代わりに瞬発的な反応性を高め、
スプリントの際も素早く加速するように改良が加えられています。
③丸型シートポストだったのが、流線形のエラストマー付きの専用品に変わった
旧型では、汎用品を使えるようにシートポストは丸型でした。
それが、エアロロードなのに何とも不細工だったのですが、
新型はキッチリと流線型の専用品に変更されました。
ヤグラに近い部分には、振動吸収性エラストマーも埋め込まれています。
④ディレイラーケーブルの取り回しがスマートに
元々は、写真のように
ダウンチューブの左右にディレイラー用の穴が設けられていました。
新型では、ダウンチューブに穴は見当たらず、
トップチューブのブレーキケーブルの入り口と一緒に
Di2ケーブルフレーム内へと入っていきます。
ブレーキケーブルとまとめられるのでスマートです。
ただ、機械式で乗る場合は、ダウンチューブに穴が無いと困ります。
新型「エアコード」では、徹底的に無駄を省くため、
機械式とDi2が共通フレームではなく、2種類用意するのかもしれません。
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2018年「AIRCODE」の”まとめ”とラインナップ予想
旧型の「エアコード」は、
エアロの突き詰め具合が中途半端でした。
各メーカーのエアロロードのエアロ効果を比較するような実験では、
大抵の場合「エアコード」は登場しなかったことからも
「そもそもエアロロードバイクの土俵にすら上げてもらえない」フレームだったと言えます。
ですが、新型「エアコード」は、
フレーム全体の形状が見直されたおかげで、
エアロロードのトップブランド、
例えば、サーヴェロ、メリダなんかと遜色ないように思います。
その上、
フレームのジオメトリーを改善して運動性能を突き詰めたり、
シートポストのエラストマー、チェーンステイで快適性も高めていたりと、
「基本性能の改良」といったところも忘れていなくて好感が持てます。
最後に、2018年モデル「エアコード」のラインナップ予想ですが、
旧型は下の3つでした。
- ハイエンドモデル「SL ULTIMATE」のフレームセット(税込409,320円)
- カーボンのグレードを落とした「SL」フレームのアルテグラ完成車「SL 600」(税込513,000円)
- カーボンのグレードを落とした「SL」フレームの105完成車「SL 500」(税込405,000円)
おそらく似たようなラインナップになると思いますが、
価格は少し高くなってしまうでしょうね。
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