松木です。
今まで、カーボンドライジャパン(初期型とV2)、BERNER、
TNI、RIDEAの計5種類のビッグプーリーを使ったことがあります。
2010年にBERNERから始まったビッグプーリーですが、
そろそろ出揃った感があるので、
代表7メーカーのものについて話そうと思います。
なるべく客観的な情報を詰め込んでいきます。
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ビッグプーリーの3つのメリット
- チェーンのアールが緩やかになる結果、チェーンの摩擦抵抗が減る
- プーリーの回転数が減る結果、その分ベアリング抵抗が減る
- ミドルケージと同じ効果があり、アウター×ローが使いやすくなる
逆に、デメリットは変速性能がシビアになることですが、
「ケージに剛性を持たせる」「アッパープーリーを大きくしない」
「プーリーの設計を工夫する」ことで、各メーカー解決しようとしています。
ビッグプーリーの科学的効果
セラミックスピード社の実験↓
最大2.37w(時速にして0.13km/h)の差が出るという結果。
これは40kmTTで、12秒削減できる数字です。
ちなみに、2.37W削減の内、
プーリーが大きいことによる効果が7~8割、
セラミックベアリングによる効果が2~3割です。
Friction Facts社の実験をサイスポが抜粋して記事にしたもの↓
イマイチ分かりにくい記事ですが、少なくとも次のことは分かります。
- プーリーは大きいほど抵抗は少なくなる
- 同じ11-11Tでも、セラミックスピード製のほうがデュラ純正より0.35w削減できる
- デュラからBERNER(13-15T)のセラスピ仕様にすると、1.76w削減できる
カーボンドライジャパン社の結果↓
アウター×ロー(チェーンテンションが貼っている状態)での
摩擦軽減効果が大きく、純正よりも最大27.2%削減できるという結果。
出力削減効果についての言及はありません。
ただ、セラミックスピードのビッグプーリーが、
純正よりも60%抵抗削減と謳っていますから、
これを基準に考えると、最大で2.37w÷0.6×0.272≒1.074w削減できる計算です。
良いビッグプーリーの4条件
- プーリーが大きい⇒抵抗が少ない
- ベアリングがフルセラミック⇒抵抗が少ない
- ケージの剛性がある⇒変速性能が落ちにくい
- その他、変速性能を落とさない工夫がある
ビッグプーリー20種類の比較
基本的に9000系、6800系対応モデルで比較しています。
変速は、◎:純正レベル 〇:あまり気にならない △:ややシビアになる です。
メーカー | 商品名 | 税抜価格 | 重量(プーリー込) | 歯数 | プーリー | 剛性感 | 変速 | その他の特徴 | オススメ度 |
カーボンドライジャパン | ビッグプーリーキットV3 ⇒HP |
¥38,500 |
61g 実測 |
12-15T |
AURUM+CF30
フルセラは+¥6,000 |
〇 両側ピン2つ |
◎ | ケージは6色、黒、艶消黒、赤、青、緑、黄 | ★★★★★ |
カーボンドライジャパン | ビッグプーリーキットV3 Plus ⇒HP |
¥39,000 |
66g 実測 |
12-17T | 同上 | 同上 |
◎ | ケージは6色、黒、艶消黒、赤、青、緑、黄 | ★★★★★ |
カーボンドライジャパン | ビッグプーリーキットV2 ⇒HP |
¥38,000 | 61g 実測 |
11-15T | 3色(黒、赤、金)
フルセラは+¥6,000 |
同上 | ◎ | ケージは4色、黒、マット黒、赤、青 | ★★★★ |
カーボンドライジャパン | ビッグプーリーキットV2エボルツィオーネ(軽量モデル) ⇒HP |
¥42,000 | 57.5g 実測 |
同上 | 同上 | 同上 | ◎ | ケージはマットブラックのみ | ★★★★ |
TNI | スピードプーリー ⇒HP |
¥11,800 | 68.5g 実測 |
11-15T | セラミックは+¥3,000 | 〇 アルミケージ |
△~〇 | オプションのプーリーの種類が豊富 | ★★★ |
TNI | スピードプーリー15-15T⇒HP | ¥13,800 | 77g 実測 |
15-15T | 同上 | 〇 アルミケージ |
△~〇 | ① 同上
②5800用あり |
★★★ |
TNI | スピードプーリーカーボンケージ ⇒HP |
¥24,000 (セラミックベアリング標準) |
57g 公表 |
12-16T | フルセラは+¥8,000 | △~〇 | △~〇 | 無 | ★★★ |
セラミックスピード(CERAMIC SPEED) | over sizedプーリーケージ ⇒HP |
¥64,000 (フルセラミックベアリング標準) |
56.5g 実測 |
17-17T | 5色(黒、赤、金、青、ピンク)
COATED(軸受部にクロムコーティング)は+¥11,000 |
△~〇 | △~〇 | ・高い ・プーリーの肉抜きが不安 |
★★ |
セラミックスピード(CERAMIC SPEED) |
over sizedプーリーケージ(R9100/R8000系専用モデル) ⇒HP |
同上 |
75.6g 実測 |
13-19T |
同上 | △~〇 | △~〇 | 同上 |
★★ |
トーケン TOKEN |
Shuriken TK1729S Zenith(R9100/R8000系のみ) ⇒HP |
¥36,800 |
74g 実測 |
12-19T | TBTベアリング PVDコーテフィング |
〇 両側ピン2つ |
〇 | ・ケージは2色(黒、金) ・アッパープーリーが歯数少な目&歯が高い⇒変速性能高い |
★★★ |
バーナー(BERNER) | シマノ15-15Tケージ ⇒HP |
¥51,000 | 77g 公表 |
15-15T | CERAMIC SPEED製ベアリングは+¥11,000 | 〇 ケージが広い |
〇 | ビッグプーリーの元祖 | ★★★ |
トライピーク(TRIPEAK) | ジェットストリームアロイ ⇒HP |
¥29,800 | 70g 実測 |
11-15T | 樹脂製 | 〇 アルミケージ |
◎ | 最新のビッグプーリー | ★★★★ |
トライピーク(TRIPEAK) | ジェットストリームカーボン ⇒HP |
¥54,800 | 55.5g 実測 |
11-15T | 樹脂製 | △~〇 | ◎ | 同上 | ★★★ |
リデア RIDEA |
T35 ⇒HP |
¥19,400 | 66.5g 実測 |
13-15T | 3色(黒、赤、金)
セラミックは+¥1,840 フルセラは+¥7,430 |
◎ アルミケージ |
◎ | ケージ2色(黒、赤) | ★★★★★ |
リデア RIDEA |
C35 ⇒HP |
¥21,400 | 61g 公表 |
13-15T | 同上 | ◎ 裏側アルミケージ |
◎ | 無 | ★★★★★ |
リデア RIDEA |
X66 ⇒HP |
¥26,080 (セラミックベアリング標準) |
78g 公表 |
16-16T | 2色(黒、赤)
フルセラは+¥4,520 ナローワイドギア採用 |
◎ アルミケージ |
◎ | ケージ2色(黒、赤) | ★★★★ |
リデア RIDEA |
C66 ⇒HP |
¥27,480 (セラミックベアリング標準) |
80g 公表 |
16-16T | 同上 | 〇 裏側アルミケージ |
◎ | 無 | ★★★★ |
リデア RIDEA |
C38(R9100系、R8000系専用モデル) ⇒HP |
¥27,750 | 88g 公表 |
13-18T | 2色(黒、赤)
フルセラは+¥4,650 ナローワイドギア採用 |
〇 裏側アルミケージ |
◎ | ・変速性を上げるために上プーリーは小さめ ・Aeroモデルあり |
★★★★★ |
リデア RIDEA |
C88 ⇒HP |
¥35,000 | 95g 公表 |
18-18T | 2色(黒、赤)
フルセラは+¥3,600 ナローワイドギア採用 |
〇 裏側アルミケージ |
◎ | ・世界最大級のサイズ ・Aeroモデルあり |
★★★★ |
リデア RIDEA |
C60 ⇒HP |
¥44,500 | 85g 公表 |
16-20T |
フルセラが標準装備
ナローワイドギア採用 |
〇 裏側アルミケージ |
◎ | ・R9100系、R8000系に対応する世界最大のサイズ ・大口径ベアリング ・Aeroモデルあり |
★★★★★ |
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総論
上の表の★4つ以上のものが、
交換する価値があるビッグプーリーです。
「TNI」はコスパが良く、知名度も高いんですが、
変速性能が少しシビアになります。
でも、下のMr.CONTROL製のビッグプーリーは、
TNIと製造元が共通しており、全くの同一商品。
15-15T、セラミック仕様ながら、
¥12,000台とコスパは最高ですから、
ビッグプーリーを試してみたいならオススメです。
「カーボンドライジャパン」は、初期型は微妙でしたが、
V2以降は変速性能はかなり改善され、
そしてV3では、全性能が更に高められました。
価格は高めですが、細かいこだわりと、美しい見た目は、
さすが日本メーカーという感じがします。
「トライピーク」は、比較的新しいビッグプーリーですが、
プーリーが樹脂製でチャラチャラ音が少なく、
変速性能にも強くこだわっています⇒詳細記事
ベアリングもセラミックスピード並みに優れています。
お手頃な価格で、剛性感のあるアルミのほうが使いやすいでしょう。
「リデア」は、変速良し、価格良し、バリエーション良し。
「プーリーが大きいと変速性能に支障をきたす」と思われがちですが、
リデアは設計がよく考えられているため、不具合はほとんどありません。
ですから、
「大幅な駆動抵抗削減」を狙って取り付け可能な最大モデル、
つまり88シリーズや60シリーズを選ぶべきだと思います(^^)b
- 徹底した肉抜きデザインにより軽量化を図っている
- アッパープーリーが小さい⇒変速性能がより高い
- 大口径ベアリングを採用⇒ブレが小さく変速性能に貢献するらしい
これらの理由から、60シリーズがベストでしょうね。
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お久しぶりです。
以前、ソールスターの件でご相談させていただきました。
今回は、ビッグプーリーについて相談です。現在、RIDEAにしようと検討していますが、松木さんは60シリーズが推しでしたね。自分もそこに落ち着こうと思いますが、他にもおすすめありますか?
松木さんのデータ収集力、マニアックなところが個人的に好きで意見がほしいです。時間があるとき、気が向いたらで結構ですので。
ご無沙汰しております(^^)ご返事遅くなりました。
私がビッグプーリーを使用する上で外せないのが「変速性能がなるべく下がらない」という点です。変速がスムーズでないのはストレスですからね……。RIDEAよりも安いビッグプーリーは変速性能が甘くなりますし、逆にRIDEAより高価であっても、特に秀でた性能を感じたりはしません。ですから、”性能面”に関しては「他にオススメ」のメーカーは正直申し上げて特に思い付きませんね(笑) CDJはデザインの”オリジナリティ”が素晴らしいとは思いますが。
そしてRIDEAの中で考えますと、一般的にプーリーが大きいほど抵抗が減る分「セッティングのしにくさ」「チェーン落ちのリスク」も少しづつ上がってきますので、やはり”60シリーズ”が、低リスクで最大効果が得られるベストバランスなのかなと考えています。そういう意味で、私が使用するC88はやや尖っていたりします(笑)