松木です。

 


(以下、写真は主に「カーボンドライジャパン」より拝借)

カーボンドライジャパン(CDJ)の新型ビッグプーリー”V3”が発売されました。

 

2016年4月に登場した”V2”の際は、
「ケージの形状最適化 & 軽量化」「フルセラミックベアリングの追加」
という2点が主な改良でしたが、今回のV3はと言うと、

 

  1. プーリーに新素材AURUM(オーラム)+30CFを採用
  2. 上プーリー11T⇒12T、下プーリー15Tに17Tが追加され、大口径化
  3. 12T-17T用の巨大ケージが登場
  4. グリーンイエローのケージが増え、標準カラーが全6色に

 

 

初代、V2エボルツィオーネと使用してきた身としては、興味津々の新作。

写真を交えながら、具体的に見ていきましょう。

 

【関連記事】

 松木です。 今まで、カーボンドライジャパン(初期型とV2)、BERNER、TNI、RIDEAの計5種類のビッグプーリーを使ったことがあります。 2010年にBERNERから始まったビッグプーリーですが、そろそろ出揃った感があるので、代表7メーカーのものについて話そうと思います。 なるべく客観的な情報を詰め込んでいきます。 【関連記事】    ビッグプーリーの3つのメリット チェーンのアールが緩やかになる結果、チェーンの摩擦抵抗が減る プーリーの回転数が減る結果、その分ベアリング抵抗が...

 

スポンサーリンク

第三世代”V3”に見られる4つの特徴

①プーリーに新素材「AURUM(オーラム)+30CF」の採用

新素材&大口径化!カーボンドライのビッグプーリーが第三世代"V3"へ。 新素材AURUM(オーラム)+30CF

「AURUM(オーラム)+CF30」は、
カーボンファイバーが30%含有されたAURUM」という意味。

そしてAURUMは、三井化学が独自開発した熱可塑性ポリイミド樹脂だそう。

 

つまり、「AURUM+CF30」を簡単に言うなら、
カーボンファイバーが30%含まれた特殊なプラスチックという事になります。

 

【アルミプーリーとの物性比較】

新素材&大口径化!カーボンドライのビッグプーリーが第三世代"V3"へ。 新素材AURUM(オーラム)+30CF
※摺動(しゅうどう)特性とは「部品同士の接触部分の抵抗」のこと

 

「AURUM+CF30」プーリーを採用する主なメリットは、次の通りです。

 

  1. フルカーボン並みに軽い(アルミ「11T-15T」⇒AURUM+CF30「12T-15T」で-4.8g
  2. チェーンとの接触によるチャラチャラ音が出にくい
  3. 「AURUM+CF30」は、”耐摩耗性”が高くて高寿命である

 

 

新素材&大口径化!カーボンドライのビッグプーリーが第三世代"V3"へ。 新素材AURUM(オーラム)+30CF

そもそもの話、
”チャラチャラ音”が鳴り、耐久性にも乏しいアルミ素材を
プーリーに使うこと自体が良くありません。

 

にもかかわらず、
サードパーティー製のプーリーにアルミ素材のものが多いのは、
「製造コストに優れる」という作る側の都合による所が大きいです。
(それから、アルマイト処理でカラーカスタム感が出せて売り込みやすい)

 

新素材&大口径化!カーボンドライのビッグプーリーが第三世代"V3"へ。 新素材AURUM(オーラム)+30CF

そのため、
大手メーカーのRDの純正プーリーのような「樹脂」、
もしくは、それに類する素材がベスト。

 

このように考えると、
「AURUM+CF30」はプーリーに向いている素材ですし、

「カーボンが30%が含まれている」という点でも
”カーボン”ドライジャパンのビッグプーリーにうってつけだと感じますね(^^)

②さらに大口径化されたプーリー

新素材&大口径化!カーボンドライのビッグプーリーが第三世代"V3"へ。 プーリーの大口径化。上プーリー11T⇒12T、下プーリー15Tに加えて17Tが追加。

16、17、18、19T……と、
他のメーカーが歯数を競うように巨大プーリーを発売する中、

その流行に飛びつくようなことはせず、
CDJは初代から「上11T、下15T」を堅持し続けてきました。

 

それは、

  • ”変速性能”を重視すると、上は11T
  • 下は15Tで十分な効果が得られるため、それ以上は必要ない

といった、”ポリシー”に近い考え方をCDJが持っていたため。

 

 

新素材&大口径化!カーボンドライのビッグプーリーが第三世代"V3"へ。 プーリーの大口径化。上プーリー11T⇒12T、下プーリー15Tに加えて17Tが追加。

ですが、V3では歯数を増加させてきました。

 

ガイド(上)プーリーが、11Tから12Tへ。

テンション(下)プーリーは、15Tを残したまま17Tを追加。

 

これを聞いた時は
「11T-15T堅持はなんだったの?」と一瞬首をかしげましたが、

 

この理由に関してCDJは、

「12Tでも遜色なく変速し、かつ抵抗軽減につながると分かったから」
「17Tも使用ギアポジションによっては効果が増すことが確認できたから」

と、下の納得できるデータ付きで説明してくれています。

 

新素材&大口径化!カーボンドライのビッグプーリーが第三世代"V3"へ。 プーリーの大口径化。上プーリー11T⇒12T、下プーリー15Tに加えて17Tが追加。 抵抗データ
※画像クリックで拡大

V2(11T-15T)とV3(12T-15T)の抵抗軽減率を比較すると、
ほぼ全ギアポジションで1%改善(2~3%の所もあり)。

 

対して、
V3(12T-15T)とV3 PLUS(12T-17T)の比較はもう少し複雑です。

 

「変わらない」「悪化」「より効果あり」が入り混じっており、
どうやら「より効果あり」のギアポジションの傾向としては、
フロントはアウター、リアが「真ん中付近~トップ」の模様。

 

なるほど……これは興味深いですね(^^)

 

 

ただ、このデータを信じるならば、
「V2とV3」「V3とV3 PLUS」の抵抗の違いは微々たるものであり、

体感できる程でないのはもちろん、
実走での速度差も限りなく0であると言えるでしょう。

 

 

ですから、もし現時点でV2を使用中で、
V3へのアップグレードするならば、
「さらにペダリングが軽くなる」ことは狙えません。

 

また、「V3、V3 PLUS、どちらを買うか」という選択の際も、
性能はあまり気にせず、”好み”で決めてしまって構わないはずです。

 

スポンサーリンク

③12T-17T用の巨大ケージ

新素材&大口径化!カーボンドライのビッグプーリーが第三世代"V3"へ。 12T-17T用の巨大ケージ新素材&大口径化!カーボンドライのビッグプーリーが第三世代"V3"へ。 12T-17T用の巨大ケージ

R9100/R8000用のV2、V3、V3 Plusの3種類を並べてみました。

 

V2とV3のケージはやや形が違うようですが、
V2使用者が「AURUM+CF30」12T-15Tプーリーに入れ替えることは出来ます。

 

ですが、さらに大きい17Tのプーリーを入れたいならば、
一番右側のロングケージが必須となります。

 

ちなみに、重量について少し触れておくと、
V3が「実測61g」ということのようですので、
V3 PLUSは、V2と同程度の65g前後だと考えられます。

※追記 V3 PLUSの実測重量は66g

④ケージの標準カラーに、新色グリーンとイエローが追加

新素材&大口径化!カーボンドライのビッグプーリーが第三世代"V3"へ。 新色グリーン/イエローのケージ

グリーンは深緑、イエローはゴールドといったカラーリングですね。

 

アップチャージはかかりますが、
この6色以外のカスタムカラーも受け付けられています。

”V3”の「ラインナップ」と「価格」

新素材&大口径化!カーボンドライのビッグプーリーが第三世代"V3"へ。 価格 ラインナップ

V3、V3 PLUSは、決して安くはないものの、
V2とV3の価格を比べると+500~1000円

 

「AURUM+CF30」プーリーは、
アルミより費用がかかっていると思いますから、
良心的な値上げではないでしょうか?

 

 

新素材&大口径化によりCDJビッグプーリーが第三世代”V3″へ【カーボンドライジャパン】

近頃は、RIDEAの巨大ビッグプーリーに押され気味だったCDJ……

 

”カーボン素材へ注がれる情熱”

”抵抗軽減データの十分な検証”

”RD変速性能が損なわれないことへの強いこだわり”

”広いニーズを満たす豊富なラインナップ&カラー”

 

ビッグプーリー本来の性能はもちろんのこと、
これら「日本メーカーらしい美徳」を強く感じるV3の出現によって、
大きく盛り返してきそうが予感がしますね(^^)

 

スポンサーリンク