2020年ロードバイクタイヤ頂上決戦!大手10社19種類テスト。

英国で、サイクリスト向けに空洞実験、コーチングを行っている
エアロダイナミクスのエキスパート集団AeroCoach

 

「空力」が彼らの専門分野ではあるものの、
”楽に速く”という情熱は「空力」のみに留まらず、
タイヤやチューブの「転がり抵抗」にまで及びます。

 

チューブ転がり抵抗データに関しては以前記事にしましたが、

 

  1. Vredestein『Superlite Latex』(SOYOと同品)
  2. Revoloop『Ultra Race』(Wolfpack TPUチューブと同品)
  3. Schwalbe『Aerothan』(エアロザン、最新のTPUチューブ)

 

以上を加えた9社14種類のチューブ転がり抵抗比較データを更新。


 

 

~お品書き14品目(製品名、実測重量、定価、日本代理店)

ラテックス
(New)Vredestein Superlite Latex: 53g、2035円(フタバ商会)
Vittoria Latex: 72g、1848円
Challenge Latex: 74g、2420円(日本代理店無し?)
Michelin Aircomp Latex: 81g、2200円

ブチル
Continental Race Supersonic: 55g、参考1990円
Continental Race Light: 78g、参考1430円
Continental Race: 104g、1980円
Michelin Aircomp Ultra Light: 76g、1100円
Schwalbe Extra Light: 80g、1650円
Hutchinson Air Light: 80g、1100円

TPU(熱可塑性ポリウレタン)
(New)Revoloop Ultra Race: 25g、4400円(同品のWolfpack TPUチューブはトライスポーツ)
(New)Schwalbe Aerothan: 46g、参考3100円(PR international、取扱い無し?)
Tubolito S Tubo Road(ディスクonly): 22g 、4730円(日本代理店無し?)
Tubolito Tubo Road: 40g、5280円(日本代理店無し?)

 

これでようやく「役者は全員揃った」という感じがしますねぇ~(^^)

それでは早速”2021年キングオブチューブ”を考えていきましょう!

 

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チューブ「転がり抵抗」実験方法

2020年ロードバイクタイヤ頂上決戦!大手10社19種類テスト。
2020年ロードバイクタイヤ頂上決戦!大手10社19種類テスト。
(「空力」測定中の写真ですが、イメージとしては近いはず)

【ライダー】およそ75kg
【空気圧】90psi≒6.12bar
【ホイール】外幅24.7㎜、内幅19.6㎜のアルミリム
【タイヤ】GP5000クリンチャー25㎜

 

以上の条件にて、専用ソフトを用いて
「出力」「速度」「ライダーの体重」「大気の状態」を計測。

そして、Crr(転がり抵抗係数)を導き出し、
そのCrrから45km/hにおける前後輪合計の「転がり抵抗(w)」を計算します。

チューブ「転がり抵抗」データ&そこから読み取れる事

まず先に、復習として2020年度版のデータから。

 

ロードバイクチューブ頂上決戦Ver2020!猛者7社11種をテスト。

 

これに新たに3種類のチューブを加えた2021年度版が次です。

 

 

以上のデータからチューブの「転がり抵抗」について言える事は、

 

  1. 【重量】軽いほど小さい傾向にあるが、当てはまらない部分も見られる
  2. 【素材】ラテックス<TPU≦ブチル
  3. 【重量&素材】70g台のラテックスチューブ<20g台のTPUチューブ
    ”重量”よりも”素材”の方が「転がり抵抗」に与える影響ははるかに大きい
  4. 【ブチル】Continental<Hutchinson<Michelin<Schwalbe
  5. 【ラテックス】Vredestein(SOYO)≦Vittoria≒Challenge<Michelin
  6. 【TPU】Revoloop(Wolfpack)≦Schwalbe<Tubolito

 

なるほど……最新のTPUでもラテックスには及んでいないようですねぇ~

 

そして、誰もが気になっていたであろうVredestein(SOYO)ラテックス!

こちらのチューブがやはり”最速”という結果に。


「軽さ」も考慮してヒルクライム決戦用チューブを決める

「転がり抵抗」に関しては、やはりラテックスに軍配!

ですが、TPUチューブの一番の売りはズバリその「軽さ」です。

そしてヒルクライムにおいて、この「軽さ」という要素は無視できぬ!(`ω´)キリッ

 

ですから「転がり抵抗」「軽さ」の両方を加味して考える必要がありますね。


ケース① Vredestein Latex(53g) VS Revoloop Ultra Race(25g)

原文:Due to this weight difference, the Revoloop Ultra Race is only faster than a Vredestein Superlite latex once the gradient reaches around 15%.

翻訳:この重量の違いにより、勾配が約15%に達すると、Revoloop Ultra RaceはVredestein Superliteラテックスよりも速くなります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・—AeroCoachの考察より抜粋—

童話『おむすびころりん』の舞台でもある(※諸説あり)
かの有名な「富士あざみライン」ですら平均勾配は10%。

という事は”15%”という急勾配はひじょ~に極端な条件です。

 

ですから、

 

「ヒルクライムでもRevoloopよりVredesteinの方が速い」

そう断言してしまっても差し支えないでしょう。

ケース② Challenge Latex(74g) VS Revoloop Ultra Race(25g)

現在、私の中で時期最有力候補であるのが
Challenge『Seamless Latex Inner Tube』

 

  • 「転がり抵抗」のデータが優秀
  • TPUより柔らかくて乗り心地が良いラテックス
  • バルブ長が48㎜と、Lun『Hyper』38㎜にぴったりの長さ
  • 市販のラテックスチューブの中で唯一の”シームレス構造”
    (バルブ周辺が二重構造ではない。上の写真参考)
  • 適度な厚みがあって「パンク耐性」がそこそこ高そう
  • Vredesteinは”薄さ”、Vittoriaは”品質”の面でパンクリスクがやや高めなので敬遠している
  • ただし、日本代理店が存在せず入手しづらいのが難点…

 

 

”勾配10%の上り坂を16km/hで走行する場合、
164gの軽量化は-0.8wの節約、+0.03km/hの速度UPにつながる”

 

AeroCoachのこちらデータをもとに勾配10%想定で計算してみると、

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【Revoloopの「軽さ」によるアドバンテージ】
前後輪2本分の重量差(74g-25g)×2=98g
よって、勾配10%、16km/hにおける100gの軽量化は、

Revoloop Ultra Race:0.8w×98g/164g≒-0.48w

 

【Revoloopの「転がり抵抗」によるディスアドバンテージ】
Revoloop Ultra Race:(28.2w-27.2w)×16kph/45kph≒+0.36w

『「転がり抵抗」は「速度」の影響をほとんど受けない』という見解もあれば、
『「転がり抵抗」は「速度」に比例する』というデータもありますが、
今回はChallengeに不利な後者の「比例する」パターンで考えました。

 

以上から
”勾配10%の上り坂を16km/hで走行する場合において
Revoloop Ultra Raceの方が(₋0.48w+0.36w=)-0.12w削減できる

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

しかしながら、国内のほとんどのヒルクライムレースが10%以下

なのでRevoloopの「軽さ」のアドバンテージはここまで大きくはならず、
現実的にはChallengeの方が速いと考える方が正しいでしょうね(^^)

 

Revoloopの方がタイム的に速くなるのは平均勾配8~9%以上といった所かと。

 

ただ、平均勾配がそれ以下のヒルクライムにおいても
「少しでも加速力が欲しい!」「激坂区間で楽/勝負したい!」と望むのであれば、
ホイール外周部が圧倒的に軽くなるRevoloop Ultra Raceの選択は効果的だと思います。

 

 

以上諸々を勘案した結果………

 

 

8月末の乗鞍ヒルクライム(平均勾配6.1%)は
Challenge『Seamless Latex Inner Tube』で挑みます!!


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