松木です。
新型『S5』が発表されましたが、
現行『S5』乗りとしては、激しく気になってますね~(^^;
そこで、海外の試乗レビューを読み解いてみることに。
(分かりやすさを重視して、意訳・省略します)
取り上げるのは「Bikeradar」「CyclingTips」「Cycling Weekly」
「velonews」「Canadian Cycling Magazine」の大手5社ニュースサイト。
レビューを100%鵜呑みにしてしまうのはどうかと思いますが、
S5の「性質」「傾向」を探る上で、十分参考にはなるはずです。
【関連記事】
スポンサーリンク
目次
Cervalo S5試乗インプレッション
Bikeradar
幾分変わった見た目から
「快適性」のあるようには思えません。
その予想を裏切り、道路を走り出した時、
私はとても喜ばしい驚きを感じました。
滑らかなアスファルトと荒れた農業田舎道が混在する
カタロニアの試乗コースにおいて、
S5は「とびきり滑らか」だというように感じました。
最も感銘を受けたのは、”悪い路面”において。
S5のような高品質のバイクには、
あらゆることを期待してしまいますが、
その期待通り、私を失望させませんでした。
S5は美しいパフォーマンスを発揮してくれました。
ディープリムのENVEホイールは良好に加速し、
印象的なほど容易にスピードを維持できます。
また、S5が輝いている点は、
その「ハンドリング」にもあります。
カタログ上、Rシリーズよりも攻撃的なジオメトリーですが、
いざ試乗してみると、両者は似ていると感じました。
非常に鋭い「ハンドル操作性」と、
高速時における「安定性」がブレンドされています。
この点Cannondale『SystemSix』とよく似ており、
エアロロードと言うより、こぎみ良いレースバイクといった印象です。
8kgという重さに少なからず恐れを抱くかもしれませんが、
正直言って、長い登りにおいてさえもデメリットを感じません。
硬くて反応性の高いS5フレームは、
ヒルクライム特化型バイクのように軽快に上ってくれます。
そうであっても、もし軽量化に必死ならば、
よりリムハイトの低いホイールに交換し、重量を削ればいいでしょう。
一見複雑で、ユニークなハンドル周り。
フィッティングのために一度調整しましたが、特に平気でしたね。
遠征時、収納するためにハンドルをばらしても
他メーカーのものよりもシンプルな構造で、簡単に元に戻せるでしょう。
【Bikeradarのレビューまとめ】
- 荒れた路面においても滑らかに走ってくれる
- 8kg以上のエアロロードらしからぬ「反応性」「登坂性」を示す
- 複雑そうに見えるハンドル周りの調整は簡単
CyclingTips
テスト初日、運動不足である私が、
アップダウンのある50kmを容易に走り切れたのは、
バイクのおかげでしょう。
第一印象は「これは本当に速いバイク」でした。
最近試乗する機会のあった他社エアロロードとは異なり、
S5は、そのポテンシャルを誇示することはありません。
大半のエアロロードのような”攻撃的な走り”は感じられず、
その代わりに、S5は驚くほどバランスが取れているバイクです。
12人の小グループでの試乗会だったのですが、
全員がすぐに、S5に対して心地良さを感じているようでしたし、
また、自信を持って
速いペース、互いに近い距離を維持することができていました。
試乗前、エンジニアから「快適性」の改善に関する話を聞いていましたが、
それでも私は、コックピット(ハンドル周り)は高剛性だと予想していました。
見た感じでは、スプリンター好みに作られているように見え、
自分のような軽量ライダーは、その硬さに打ちのめされてしまうだろうと。
ですが、確かに硬いことには硬かったのですが、
ありがたいことに、”過剰なレベル”ではありません。
逆に、いくつかのエアロバーのように
まるで木製のように”しなりすぎる”こともありません。
さすがに、一日中快適でいられる程ではないものの、
S5の他の部分同様、良いバランスが取れていると感じますね。
一般的に「快適性」はエアロロードにおいて
重要視されるポイントではありませんが、
S5は長時間ライドにおいても、打ち負かされるような疲れを感じません。
ただし、贅沢と言える程ものではなく、
ハイエンドのオールラウンドロードバイクと同程度ですが、
なるべく長時間乗っていられることを目的とした
コンフォートモデルに対しても引けを取っていません。
荒れた路面を走っても、大きな衝撃を受けません。
エアロロードらしからぬ部分は「クライミング」においても同様。
試乗コースにおいて、坂道は2〜3kmでしたが、
S5には、エアロロードにありがちなネガティブさは感じません。
とてもナチュラルな挙動を示し、
特にダンシング時に顕著に感じました。
続いて「ハンドリング」に関しては、
初日のライド中、私がグループの先頭を走り、
小犬が飛び出してきた際に、究極的に試されました。
ゾッとするほど危ない瞬間でしたが、
素早い(だけど、落ち着かない訳ではない)「操作性」と
ディスクブレーキの高い「制動力」が光りました。
エアロロードが速いと感じるのは明白ですが、
新型S5は、ただ「巡航性」が優れているだけでなく、
予測しやすく、直感的で扱いやすい「操作性」と
高い「安定感」「滑らかさ」も兼ね備えています。
【CyclingTipsのレビューまとめ】
- 他のエアロロードよりもバランスが良く、乗り味に「滑らかさ」を感じる
- ハンドル、フレームともに過剛性ではなく、「快適性」もそれなりに高め
- 登りにおいてもクセを感じず、ダンシングも自然に行える
- 素早い「ハンドリング性」とディスクブレーキのおかげで、思い通りの操縦が可能
スポンサーリンク
Cycling Weekly
長期間R5に乗ってきましたが(R5は私のお気に入りバイクの一つです)
明らかに新型S5も共通するDNAを持っていました。
S5は、R5のカミソリのように鋭いハンドリングを忠実に再現しており、
それによって、エアロロード最高クラスのダウンヒル性能を発揮。
下げられたBBハイトのおかげで走りに安定感があり、
コーナリングにおいてもしっかりと車体を傾けられます。
また、延長されたトレイル長により、
逸れることなく狙ったラインをキープすることが出来ました。
上を向いたステムに騙されてはいけません。
S5は攻撃的なポジションのバイクです。
ジローナ周辺を90kmかそこら走った後、
背中の疲労にそのことを感じました。
「不快」という訳では無く「攻撃的」。
実際、とても従順だと感じました。
(太いタイヤのおかげでもありますが)
S5のポジションが攻撃的で乗りづらいと感じるのであれば、
スタックの16mm長いS3を選択すればいいでしょう。
【Cycling Weeklyのレビューまとめ】
- R5譲りのハンドリングは、エアロロード最高レベルにある
- BBハイト、トレイル長の微調整により、ダウンヒルが素晴らしい
- ポジションは攻撃的で背中に疲労を感じたが、「乗り心地」自体は悪くない
velonews
前進。前進。S5はとにかく前へと進み続けます。
S5の「巡航性」は驚愕で、ダウンヒルよりも速いと感じるほど。
また、スプリント時には、最高速を長時間維持可能。
これが風変わりなステムや
再設計されたエアロチューブ形状のおかげだと言い切れませんが、
逆に、そうでもないとも言い難いでしょう。
とにかく、このバイクは信じられないほど速く走れます。
そして、その重めの重量をものともせず、
下りから上りへの移行に努力をほとんど要さず、
登りが負担になることはありませんでした。
ただ、クライミングバイクのように
超絶的に反応性が良い訳でもありません。
そもそもエアロロードのS5にそこまで望んでいませんが。
「ハンドリング」も素晴らしかったです。
ライダーの入力に遅れることなく
狙ったラインを進んでいくことができ、
高速コーナリングを十分に楽しめました。
厳しそうなチューブ形状とは裏腹に、
120kmのテスト終了時、首と肩はそれほど疲れておらず、
実際は、かなり良い乗り心地です。
上半身が疲れた頃、バイク前方から多少振動を感じたものの、
それ以外、十分な「快適性」を感じました。
(TREK『Madone SLR』ほどではありません)
タイヤのシビアな空気圧設定に悩まされることは無いでしょう。
これはファーストレビューであり、
「100マイル以上」「悪路」「長い上り」等においては
まだしっかり確かめられてはおりません。
これらのシチュエーションにおいても、
予想を上回る走りを魅せてくれるとすれば、
Cerveloはエアロロードの定義を拡大するバイクを生み出したことになります。
【velonewsのレビューまとめ】
- とにかく推進力を強く感じる
- 坂においても負担を感じず、反応性はそこそこ
- ハンドリングは素直で、狙ったラインを走っていける
- エアロロードだと考えれば、「快適性」は十分
Canadian Cycling Magazine
多くのワールドツアープロチームの練習場所とされている
カタルーニャ地方のバニョラスにおいて試乗させてもらいました。
トレーニング場所とされる理由は、その”地形の多様さ”です。
たくさんの山々があり、海岸沿いには美しい平坦路が蛇行しています。
この最新のエアロバイクをテストするのにうってつけの
なだらかに起伏に富んだ地形も存在します。
いざS5に乗ってみると、
初めてロードバイクに乗った時のことを
思い出さずにはいられないでしょう。
グングンとスピードが乗って自由さを感じ、
初めて乗った時の「ロードバイクの楽しさ」を思い起こさせてくれます。
もちろん、膨大なエンジニアリングと研究という
「科学的」な側面のたまものではあるのですが、
何より「感情」に訴えかけてくるものがあります。
「もっと速く走ることができる」という自信をかき立てさせられ、
ダウンヒルとスプリント能力の限界値を押し上げてくれます。
バニョラスへの下りは、
5~6回の連続する急カーブを含んでいました。
通常、私は知らない下りでは慎重になるのですが、
S5はジオメトリーが微調整されていることによって
気持ち良く切り込んでいくことが出来ました。
また、長く伸びたフラットな道においては、
容易に45km/hもの高速維持が可能。
仲間のジャーナリストの方を向き、
つい笑みがこぼしてしまいましたね。
完璧と言える最先端チューブ形状のエアロダイナミクス、
そして、内蔵ケーブルと新たなコックピットのおかげでしょう。
坂においても、S5は驚くほどしっかり対応してくれました。
Rモデルに比べて140g(56サイズ)重いにもかかわらず、
走りの鈍さを感じません。
おそらくBB周りの剛性向上が大いに貢献しているのでしょう。
S5はペダルを踏み下ろすごとに即反応してくれました。
特に、急勾配でダンシングした際、
フレームはキビキビと進んでくれるので楽しい!
アルプスのように長く険しい坂道は無かったものの、
2.5〜3kmの良い具合の丘が組み込まれていたため、
S5が「上り」という苦手分野において
どのようなパフォーマンスを示すのかを確認できました。
アルプスの標高が高い地域に住んでいれば、
おそらくS5は第一の選択肢にはなりえませんが、
起伏に富んだ地形においては、完全なまでに十分な仕事を果たしてくれました。
今後、Canadian Cycling Magazineオフィス周辺の
いくつかの荒れた道路を走らせるつもりです。
それが「S5は快適なバイクである」と言うためのテストになるでしょう。
【Canadian Cycling Magazineのレビューまとめ】
- 初めてロードバイクに乗った瞬間を想起させる爽快感を感じた
- ダウンヒルとスプリント能力には特筆すべきものがある
- 45km/h巡航の容易さには、思わず笑みがこぼれるほど
- おそらくBBの剛性アップのため、坂道も軽快に登ってくれた
スポンサーリンク