松木です。
東商会さんの粋な計らいでCervelo『S5 Disc』を暫くお借りしていました(^^)
Cervelo『S5』には思い入れが強いです。
2011年、当時としては革新的にエアロであった初代『S5』を購入。
気に入って3年間乗り続けていたものの、別車に乗り換えました。
ですが、半年ほどで『S5』が恋しくなり……
2014年12月、2015年モデルCervelo『S5』に舞い戻って現在に至ります。
という訳で、計7年以上『S5』にお世話になっている事になり、
ある程度慣れ親しんでいるフレームではあります。
「同じ黒だし、2015年モデルとパッと見似ているな」と思っていたのですが、
実物を目の当たりにすると、全然形が違う……
2015年モデルが”シャキッ”と角ばったエアロ形状なのに対して、
2019年モデルはその角が取られ、全体的に”ニュルリ”と滑らか。
下記Funrideのページでも外観比較されているので、ご参考に。
さて、そろそろインプレッションを。
頂いたホワイトペーパーの科学データなんかも掲載しつつ、
新生『S5 Disc』を乗車インプレ&解析していきます。
見せて貰おうか。最先端のエアロダイナミクスの性能とやらを!
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目次
2019年『S5』乗車インプレッション
細かく話すより先に、分かりやすく点数化しておきましょう。
【剛性感】9.00点⇔8.50点⇔8.50点
【加速性】9.25点⇔8.75点⇔8.50点
【登坂性】8.25点⇔8.50点⇔?
【巡航性】9.50点⇔9.50点⇔10.0点
【快適性】8.00点⇔8.25点⇔9.00点
【お気に入り度】9.75点⇔9.75点⇔9.75点
(※8点で「なかなか良い」)
左『S5 Disc』(市販完成車)、中央2015年『S5』(フルカスタマイズ)
(ついでに右がTREK『Madone SLR Disc』に以前付けた点数)
ちなみに、下図はCerveloが公表している『S5』の性能比較チャートです。
『S5 Disc』開発にあたって何を目指したのかが見て取れるでしょう。
剛性感 9.00点
ただでさえ”ディスクブレーキ”という
フォークとチェーンステイの「剛性」が上がる構造なのに加え、
モデル | BB剛性 (N/mm) |
フレーム全体のねじれ剛性 (Nm/deg) |
2011年モデル |
190 | 76 |
2015年モデル |
200 | 100 |
2019年モデル | 251 | 115 |
ワールドツアーのプロの脚力に十分応えられるだけの硬さを実現すべく、
意図して「BB剛性」「フレーム全体のねじれ剛性」を高めてきています。
2015年と2019年に感じた大きな違いがこの剛性UP!
脚当たりが”カッチリ”と。
フレームに芯が通っているような感触とでも言いましょうか……
その感触が2015年『S5』よりも強いです。
ここで「フレーム剛性」を「ホイール剛性」との相性で考えてみるならば、
「硬めのS5 Disc」+「硬めのホイール」=「車体全体として硬い」
「硬めのS5 Disc」+「柔らかめのホイール」=「全体として標準的な硬さ」
『S5 Disc』を購入するのは、十中八九競技志向の強い方。
どちらかと言えば「剛性不足」は嫌う傾向にあるでしょう。
ですから、どのようなホイールを組み合わせた場合でも
車体全体の剛性が「標準~硬い」の範囲で収められるのは有難いはず。
2015年モデルに「柔らかめのホイール」を組み合わせると、
車体全体として少々柔らかすぎるなと感じる時がありますので(^^;
加速性 9.25点
”スカッ”とした加速が超気持ち良いぃぃぃーーー (*´∀`*)
まるで軽量ロードバイクのような軽快さです(b^ー゚)Good
これは明らかに剛性UPによる「パワー伝達性」の向上と、
DT Swiss『PRC 1450 Spline 35』(35mm/公表1444g)の足回りが効いてますね。
『S5』となれば、見栄え的に50mm以上を履かせたくなりますけど、
トータルバランスを優先するなら35~40mmのホイールの方が正解。
登坂性 8.25点
坂の走りに関しては、2015年モデルと同様に
「エアロロードにしては十分登れる」です。
もう少し細かく説明すると、
0~4%:「エアロ効果」が発揮されてむしろ速いと感じる
4~5%:軽量ロードバイクと同等に走れる境界勾配
5%~:普通に登れるが、軽量ロードバイクの方が楽に感じる
「54サイズ/ULTEGRA R8000仕様/ペダル(190g)有り」で7.84kgでした。
急勾配では少しばかり重さを感じましたよね…(^^;
これを電動DURA-ACEに改装したとしても約7.5kg。
さらに自らの『S5』(7.1kg)と同じ軽量パーツを付けたとして7.3kgほど。
モデル | 56サイズフレーム重量 |
2015年モデル |
1065 |
2019年モデル |
975 |
フレーム単体重量で言えば『S5 Disc』の方が90g軽いのですが、
ディスクブレーキに耐えうる強度を出すためのフォーク重量増、
そして、特徴的なCS28ステム+AB08ハンドルが軽量化の足を引っ張り、
完成車としては、2015年『S5』比で約+200g重く仕上がることになります。
ただ、先に話した剛性UPによる軽快さのメリットが+200gを上回ると感じたため、
2015年『S5』より『S5 Disc』の方が登れるという結論になります。
いくら”平地”を速く走れたとしても、”坂”で遅かったら何の意味も無いですから、
「上れるエアロロード」だという点は、非常~~に大事なポイントです。
巡航性 9.50点
”サーッ”と風を切り裂くような疾走感が最高!とにかく進む進む!
エアロの申し子である『S5』シリーズに相応しいスピード狂っぷり!
ただ、2015年『S5』との違いはあまり大きくは感じないかな。
ここで少し話は逸れて、『S5 Disc』フレーム製作秘話を一つ。。。
『S5 Disc』の開発に着手するにあたって
まずは図のように車体を5つのゾーンに分けたのだそう。
そして、各ゾーン毎に「空力」などの各性能を突き詰めていきました。
こちらのCADのフレームデザイン案なんか面白いですね~(^^)
シートチューブに”張り出し”が見られたり、”二又”になっていたり。
そして、『S5 Disc』の空力最大の肝である「ハンドル周り」も
様々な紆余曲折を得た後に”V字形状”に辿り着いたのだろうと推し量れます。
シミュラクラ現象www
この部分がエアロダイナミクスにどう影響しているのでしょう?
左:3T『ARX』+Cervelo『AB04』(通常ステムを取り付けられるアダプターを使用)
右:Cervelo『CS28』+Cervelo『AB08』
両者のCFD(数値流体力学)解析の図です。
通常ステム(左)付近で乱されていた空気が、
V字シェイプ(右)だとスムーズに流れていることが分かります。
V字シェイプステム(右)の場合、
空気抵抗を示す青色が小さくなっています。
この「V字シェイプステム&エアロハンドル」が大いに貢献する結果、
2015年『S5』比、40km/hで-5.5wを達成。
-5.5wか………
車体全体の形の違いの大きさからすると、
もっと大きな効果があって良さそうな気もしますが……
まあそれだけ「2015年『S5』+AB04ハンドル」も優秀という事。
快適性 8.00点
海外サイトでは口を揃えて「快適性は十分」とのレビューでしたが、
自分が乗った感想では振動吸収は至って普通といったところ。
「ゴツゴツして乗りづらい」という事も無ければ、
逆に「快適性が高い」とも感じない通常レベル。
「シートチューブ~シートステイ~チェーンステイ」のリア三角。
この領域にも「快適性」を高めそうな、特別な工夫は見られず。。。
ホワイトペーパーを読んでいても、
「振動吸収性UP」は『S5 Disc』の開発目標に掲げられていませんし、
「ある程度乗り心地が良ければOK」というスタンスなのでしょうね。
チューブラーならVittoria『Corsa』25c、
クリンチャーならContinental『GP5000』25c+Latex Tubeなど、
タイヤ&チューブさえ良い物を付ければ問題無さそうに感じましたし、
『S5 Disc』の「快適性」に関して、個人的にも十分合格ラインです(^^)b
Cerveloエンジニア達の叡智の結晶
サドルに跨り、ペダルに脚を下した瞬間から官能的なまでに速い。
前へ前へとグイグイ押し出させるように進み、
イメージよりも速く視界から流れていく景色。
世界が少し変わったかような錯覚に陥ります。
そして、ただ眺めているだけでも美しい。
「ケーブルの完全内蔵化」
「フレーム全域に及ぶ一体感ある形状」
「水が流れているように流線的なデザイン」
「シンプルながら強烈に惹きつけられるカラーリング」
「キラキラと高級感・重厚感を漂わせるディスクブレーキ」
これら全ての要素が完璧に調和しており、
「カッコイイ」を通り越して「美しい」という造形美すら感じられます。
エアロロードである事を忘れる「癖の無さ」をそのままに、
性能とデザインを洗練させて生み出された『S5』の究極形。
エアロロードCervelo『S5 Disc』
サーヴェロエンジニア達の技術と叡智が作り上げた
超一級の芸術品である事に疑いの余地はありません。
ただ「手にしたい」という狂おしさだけが募ったわ(`皿´)グヌヌヌ
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いつも楽しく拝見させていただいてます。
こちらの記事をみてマドンSLR9決めましたのでお礼をさせてください。
ありがとうございました!!
マドン、本当にいいロードバイクですね。
うみさん、はじめまして。ブログ読んでいただいているようで有難う御座います!
参考になったのであれば何よりです。Madoneももの凄く良いバイクで、羨ましいですね~(^^)
はじめまして、いつも楽しく拝見させて頂いています!zwiftもフォローさせて頂いていて、アクティビティにもいつも刺激を貰っています。
ヘビーなCervelo S5ユーザーである松木さん視点のインプレッション、首を長くして待っていました。実はこのバイク、リーク写真が出た時から気になっていて、特に重量についてどうなんだろうと。
感じ方は人にもよるのでしょうが剛性アップのメリットが+200gを上回ると聞いて、私の「手に入れたい」スイッチもいよいよ入りました。
もしよろしければ教えて頂きたいのですが、お借りしたS5はサイズ54ということですが、ステムにスペーサー入れない場合、サドル高何センチだとハンドルトップとの落差はどのくらいか、一例でいいのでわかりますか?
KENさん、初めまして。ブログ読んでいただいているようで有難う御座います(^^) ZWIFTでお会いした際は是非宜しくお願いしますね!
さて「ハンドル(上面)-サドル(上面)落差」に関するご質問ですね!以下のサイトできっちり計測してくれており、「54サイズ BB~サドルTOP730mmの場合 ハンドル~サドル高低差は約9cm」だそうです。
CERVELO S5 DISC のサイジング
試乗車のS5 Discがスペーサー無しの一番下の状態で心配でしたが、サドル高71㎝にしていざ乗ってみると「思ったよりは落差が出ていなくて丁度ぐらいだな」と感じました。実際ロングライドでもほとんど違和感はありませんでしたし「おそらく自身のS5の落差7cmとほぼ同じか、多少大きいぐらいなのでは?」との予想でしたが、上記サイトが裏付けてくれましたね(笑)
まさにこの情報を探していました!
私は54サイズで落差約8cmになりそうです。普段は落差約9cmなので、気持ち上体が起きそうですが個人的には誤差範囲です。56とも迷っていたのですが、落差を優先した場合大き過ぎることがわかって良かったです。
有益な情報を紹介して頂きありがとうございました!これからもブログ共々応援しています。