15年に渡るホイールの旅路が ようやく終焉を迎えました。
「WINSPACE JAPAN様から是非購入させていただけますか?」
自腹購入ホイール20本、
試乗したものも加えれば100種類以上か。
Lun HYPER自体も新旧すべて試乗した上で(前作38㎜は所有)
ついに「ずっとこれを求めていた」と確信できるホイールに出会えました。
前回、HYPER33の一番伝えたいところは既に話したのですが、
今回は各性能を点数化し、滔々とレビューしたいと思います。
目次
Lun HYPER R33採点インプレッション
「強度・耐久性」9.5点
軽い割に重量制限高め。
前作38㎜を100kg以上の荷重がかかった状態で2000km走行しましたが、
フレ無し、ベアリングのゴリも出ず。
豪雨を数時間走ってもベアリングは錆びず、
手ですっぽ抜ける蓋のみのシンプルな構造ながら、耐水性は必要十分。
また、この動画のように「カーボンホイールを壊せるか?」という
クレージーな検証をしても多少フレが出ただけという結果に(リム強ぇ…)
「剛性・パワー伝達性」9.5点
前作での横剛性テストでは高い数値が出ています。
(新型も似たような剛性値だと予想できます)
リム、スポーク自体が剛性高く作られていますし、
なによりハブの設計・寸法が秀逸(22.5㎜という短さが肝!)
実際に、リムを押したり、スポークを握ったり、
地面に平置きした状態でリムの両端に体重をかけてみたり、
自転車に装着した状態でリムを左右に歪ませてみたりしても、
非常に”たわみ”が少なく、剛性の高さの程がうかがえましたね。
なのにカーボンスポークのおかげで「嫌な硬さ」はゼロ。
これはHYPERに特有である
踏み心地の良さ・ソフトな脚当たりともつながっています。
(脚への反発が優しく、ライド後半に疲れてきても踏みやすい)
それから、パワーロスの元凶である”たわみ”が極力抑えられているが故に
出力Wが無駄に吸収されず、ペダル踏力に100%応えてくれる感触あり。
「軽さ」9.75点
【リムブレーキ】
HYPER前作38㎜:実測1259g
HYPER R33(35㎜):実測1218g
CADEX 42(42㎜):公表1265g
BORA WTO 33(33㎜):公表1395g
【ディスクブレーキ】
HYPER D33(35㎜):公表1330g
CADEX 36(36㎜):公表1302g
ROVAL ALPINIST CLXⅡ(33㎜):公表1250g
WH-R9270-C36(36㎜):公表1350g
BORA ULTRA WTO 33(33㎜):公表1385g
CADEXやROVAL ALPINIST CLXⅡよりは数十g重いですが、
これらの後輪だけでHYPER前後セットが買えてしまいます。
バタフライエフェクトが重量増(たぶん20~30g)に繋がってしまってるものの、
いたずらな軽量化より、リムの強度と剛性を重要視する姿勢はむしろ好印象です。
「加速力・かかり」10点
『390gという軽量リム』×『高剛性』=『超機敏』
あえて急勾配であるイン側を攻めたくなる鋭き刀。
それから、新型のフリー側のスポーク角度は+10.5°。
チェーンが引っ張る力をスポークが効率的に受け止められるように
スポークの向きが微調整されました。
数値上は「捻じれ剛性」が15.7%アップ。
体感的には、この効果を感じられることはなかったですが、
「加速力・かかり」が最適化されたのは素直に喜ぶべきでしょう。
「登坂力」9.75点
ヒルクライム力というのは複合的な性能です。
その性能を分解するとすれば、
- 平均的な高出力に受けうる「剛性・パワー伝達性」9.5点
- 急勾配になるほど必要性が高まる重量的な「軽さ」9.75点
- 激しいペースチェンジに対応できる「加速力・かかり」10点
それら全てが最高レベルなR33の登坂力が、
高くない道理などあるはずもないでしょう。
TLRクリンチャーというカテゴリー内であれば、限りなく10点。
R33より登れる奴がいるとすれば、それはジャンル違いのホイール、
つまり、リム350g以下も可能なチューブラーぐらいなもんです(ex.WH-R9270-C36)
「高速巡航性」8.75点
ディープリム特有の「伸びのある走り」
この感覚を感じられるかどうかの境界線が9点。
R45では如実に「推進力」が感じられたため9.5点。
(風を切り裂く前輪46㎜ & 突進力を生む後輪54㎜)
対してR33に”伸び”までは感じられず……しかし空気抵抗感は皆無!
あらゆる方角からの風の処理に優れている印象でした。
横の突風にも、ハンドルがピクッと動く程度で済み、
”安全”にかかわる操作性が損なわれにくいところも〇
「制動力」8.5点(リムブレーキのみ)
晴れであれば、カーボンリムの割にはしっかり効きてくれます(9点)
付属のブレーキシューの質が良いのだと思います。
雨だと制動力は、普通に落ちますね…(7~8点)
少々の雨であれば強めに握るだけで どうにかなりますけど、
大雨では、ブレーキ面の水膜を取り除く「早めブレーキ」が必須です。
私の場合、ヒルクライムであれば雨問わず使いたいですが、
雨が強いロードレースであれば、前輪だけアルミリムに変えますね。
「快適性・路面追従性」9.5点
高剛性ホイール→”たわみ”が少→振動がダイレクトに伝わりやすい
・・・・・・・・・・・・・・⇘(★カーボンスポークの物性により)
低剛性ホイール→”たわみ”が多→振動はいなされ、乗り心地は良くなる
HYPERの他、片手で数えられるほどのメーカーしか
採用に踏み切ることができていないカーボンスポーク。
剛性は高くてよく進む。なのに路面からの振動は不思議とマイルド。
(同国に優秀なカーボンスポークメーカーが存在しているのが強い!)
2㎜近いリム幅拡大(外27.6㎜、内20.8㎜)によって25cとの相性は良くなり、
コーナリング時のグリップ力、安定性ともにUP。
また、前作38㎜に比べてタイヤ内に保持できる空気量も多くなった恩恵により
体感レベルで乗り心地は変わり、ひいては路面抵抗となるインピーダンスも減少。
(エアボリューム+6.3%、タイヤ幅+0.7㎜)
23cタイヤは使えなくなってしまいましたが、
その代償を補って余りある上質なライドフィーリングを味わえます。
【まとめ】一度も乗らずには死ねないホイール
HYPER 33は単に速いだけではありません。
重箱の隅をつつくことさえ許さない弱点の無さと、
突き詰めに突き詰め抜かれた超絶技巧バランスが、
・・・・・知識・想像の外にある新しい体験をした際の「新鮮な驚き」
・・・・・自ずと鼻歌を歌ってしまう程の快速性能に「爆上がるモチベ」
・・・・・一流店のメインを味わっているかのような、走行中の「多幸感」
・・・・・ 生涯 色褪せないであろう名作ホイールを所持している「満足感」
・・・・・ライバルより優れたホイールを履いているという「確たる自信」
そんな感覚的充足にまで昇華してしまった、官能的な逸品。
新型HYPERと戯れる日々は、
あなたのロードバイクライフを鮮烈豊かに彩ってくれるでしょう。
Winspace Japanさんは全国津々浦々で試乗会を開催してますし、
試乗ホイールを用意されているサイクルショップも多いです。
もしどうしようもなくても、すごーく親切なんで
問い合われば どうにか機会を設けてくれるかもしれませんしw(^^)
是非お試しあれ!!
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松木さん
もろもろのポイントを得点化していただき、誠にありがとうございます。
これまで数多のホイールを乗られてこらえれている松木さんだからこそ、
数値化してくださることで、客観的に比較をすることができます。
そして、どのポイントも9点以上という、恐るべき評価となっていますね。
さらに、前にも思ったのですが、S5でも35mmがジャストに見えるのが
面白いですね。 S5くらいのダウンチューブだと、当然のように50mm
以上を選択したくなりますが、35mmでもインパクトが相当ですね。
最後にお願いがあるのですが、せっかくなので、R45についても得点化を
お願いしたいです(笑)。
>S5くらいのダウンチューブだと、当然のように50mm以上を選択したくなりますが、35mmでもインパクトが相当ですね。
やはりバタフライエフェクトの主張が強いからだと思いますねー(笑) DURA35㎜だと少し寂しく、Aeolus50㎜のほうが似合っていましたから。
>せっかくなので、R45についても得点化をお願いしたいです(笑)
「強度・耐久性」9.5点(同点)
「剛性・パワー伝達性」9.75点(9.5点)
「軽さ」9.5点(9.75点)
「加速力・かかり」9点(10点)
「登坂力」9.25~9.5点(9.75点)
「高速巡航性」9.5点(8.75点)
「制動力」8.5点(同点)
「快適性・路面追従性」9.25点(9.5点)
総合得点74.38点(75.25点)
平均点9.3点(9.4点)
「剛性」「快適性」は、気になるほどの違いは感じなかったので0.25点差。
「加速力・かかり」と「高速巡航性」は、明確に違いましたから1点と0.75点差。
「登坂力」は、「剛性」「軽さ」「加速力」3項目の平均値を点数としています。
「加速力・かかり」と「全体的なバランス」を好みますので私はR33派。「平地での伸び」を感じられないと嫌なライダーはR45ですね。
それから記事内では触れなかった「スプリント」に関して。剛脚で加速力をカバーでき、高い最高時速を出せるパワフルなスプリンターならR45が良いでしょうけど、スプリンター脚質でなければ「加速力・かかり」に優れるR33が先行して、そのまま先着できる可能性が高そうに思います。それに先駆けされた際に反応しやすいのもR33のほう。なので「スプリント重視⇒R45」ではない、というのが私の感想です。
松木さん、わがままな希望にもかかわらず、ご対応いただき誠にありがとうございました。
松木さんがあえて大きく差を付けられたポイントが、まさに、両者の特長なのですね。
お陰様で、全て腹落ちしました。 本当にありがとうございました!
松木様
色んな投稿楽しく拝見しております!
紹介されているホイールとマビックのcosmicSLRで迷っております。フレームはこれまたインプレでも紹介されてたBMCのteammachineですが、ご評価いただけないでしょうか。
ホリホリさん、はじめまして(^^)
マビックも良いホイールですね!両者の一番大きな違いは「転がり感」です。同リム高の場合、空力は若干HYPERが上のはずなのですが、MAVICのほうが巡航性が高く感じる、つまり高速時の減速感が少なく、懸命に踏まなくても速度維持がしやすい感触が強いです。これはMAVICがリム重量をむやみに軽くせずに「回転慣性」を上手く機能させていることが大きな要因でしょう。ですが、その分「登坂性」「加速性」はHYPERに劣っていますね。
あとは両ホイールとも優しい乗り心地をしているのですが、HYPERはカーボンスポークによるもの、MAVICはホイール全体から受けるもの。言葉では表現しきれないですが、優しさの「質」みたいなものが微妙に異なります。この点も両ホイールを特徴づける、乗り味の違いとなっていると感じますね。MAVICの心地良さには”上品さ”があり、ワンランク上のバイクになったかのような印象を受けるため、個人的はかなり好みです。
まとめますと、両メーカーの近しいリム高モデルを比較した場合
①総合性能・バランスはHYPERがやや上
②運動性・機敏さを重視するならHYPER
③巡航性・コロコロ感が強いのはMAVIC
④どちらも乗り心地は良いが、その質は異なる。個人的にはMAVICのほうが好き
以上 ホリホリさんの参考になれば幸いです。他に気になることがあればお気軽にどうぞ(^^)
松木さん ホリホリさん
横から失礼いたします。 今回も興味深いご評価、参考にさせていただきます。
マヴィックは、倒産?する少し前あたりから、ハブが大きく変わったと聞きました。
また、完組みで売られているものでも、けっこうな割合で、フレはもとより、センターが出てないものもあると聞きました。
正規のお店なら、ユーザーへのお渡し前に、そのあたりはしっかりと点検されると思いますが。
僕も倒産少し前のキシリウムを気に入って使っております。 ハブをホワイトインダストリーズに変えちゃいましたが^_^。
誠に僭越な話ですが、参考になりましたら幸甚です。
松木さん
急に寒くなってきましたね。 自転車乗るにはちょうど良い感じです。
今さらですが、松木さんのS5にR33という組み合わせを拝見して、エアロフレームにはハイハイトがお似合い?という固定概念を完全に打ち崩されました。
自分でも、もう、50mmハイトでさえ億劫になっているほどで、それ以上なんてもうお腹いっぱいで敬遠するほどです。
もちろん、緩やかな下りをかっ飛ばすにはハイハイトが最高ですが^_^。
そういえば、ゴキソのディスクバージョンが受注開始しましたね。 松木さんのご評価は「高いお金を払ってというものではない」とのことでしたが、試乗をした友人はベアリングがどうのこうの言ったものとは全く別ものだ!と感動してました。
近く、某Yロードの東大和店で試乗会をするかも?とのことでしたので、是非、試乗したいと思っております^_^。
松木様
今年も何卒よろしくお願いします!
さて、好評のLunHyperですが、なにやら高級ラインが販売されるそうな。
MEGAっていうらしく、ライ●ウェイ●そっくりな作りで、価格も40万くらいだとか。
最近、自転車関連商品の値上げ幅が半端なく、完成車でも200万は珍しくなぬなってきました。 Zipの353あたりも、前後で80万弱、、、。 軽自動車買ってもお釣りがきます^_^。
手頃な価格で高性能。 LunHyperはそこに存在意義があったのに、、、