松木です。
コルナゴ『C64』が発表されてからというもの、
かなり評判になっていますね。
【シクロワイアード】コルナゴ C64 更なる高みへ踏み出した伝統のラグドレーシングバイク
【サイスポ】コルナゴ・C64 伝統のフラッグシップに新型登場
【Cyclist】コルナゴの新フラッグシップカーボンロード「C64」発表 前モデルから186gの軽量化
『C64』の特徴は上の記事に任せるとして、個人的に気になる
- 『C64』が生み出される過程
- 『C64』と『C60』の違い
- 『C64』の乗車インプレッション
この3つに絞って話そうと思います。
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目次
動画で見るコルナゴ”C”の系譜と製造工程
まずは『C64』の製造動画。
かなりコンパクトにまとめられているものの、
大雑把にどんな風に作られているのかは見て取れます。
ただ、次に紹介する
『C60』の発表時に作成された動画のほうが面白く、
その上、クオリティも高いです。
『C60』フレームの”製造”。
続いて、”塗装”。
これは感動ものですねぇ。
「どうやっているんだろう?」と疑問だった
”サイン”や”絵”の部分も
緻密なマスキングによって出来ていたのには驚き‥‥
『C64』と『C60』の相違点
まずは『C60』。
”オーソドックス”という言葉がピッタリの外観です。
そして『C64』。
186gの軽量化
こちらは、『C64』の「サイズ」と
「未塗装フレーム単体重量」の関係をグラフ化したものです。
- カーボンの素材/設計の見直し
- カーボンチューブをこれまでよりも薄くできる新技術
- フレーム構造の変更、エンド部分のカーボン化
これら多くの改善の合算により、
『C60』に比べ、186g軽量化(50サイズ)を達成。
塗装によって+90~100g増えるとしても、54サイズでおよそ1000g。
軽すぎると、逆に不安な部分もありますし、
丁度良いぐらいの重量な気がします。
カーボンチューブの仕上げが「3K」から「UD」に変更
上『C60』が3Kカーボン柄、
下『C64』はUD(ユニディレクショナル)カーボン。
『C64』でも3Kカーボンが使用されているものの、
表から見える最上層は、UDカーボンに変わりました。
「UD」のほうが若干軽量という事もありますが、
”シックな高級感を演出するため”
という点を重視しての変更だと思います。
ラグとシートチューブの一体化
左が『C60』、右が『C64』。
ラグとシートチューブを一体化してしまうことで、
「軽量化」と「剛性アップ」に貢献するそうです。
ブレーキがダイレクトマウント方式に変更
ブレーキが、
「制動力が高い」「エアロ」などと謳われる
ダイレクトマウント方式に変更。
メンテ性が良くないので、個人的には好きじゃない(笑)
ちなみに、
シートチューブを「ダブルステー化」(右『C64』)した理由は、
ダイレクトマウンド方式の強い制動負荷に耐えうる構造だからです。
ヘッドチューブとフォークの”リブ”
ヘッドチューブとフォークに見られる特徴的な”リブ”。
これは「横剛性」を向上させるためのギミック。
この部分の「横剛性」が上がれば、
主に高速ダウンヒルにおけるコーナリングに安定感が出ます。
特に、フォークのほうは、
45gもスリム化(355g)されている上に、
負荷の大きいダイレクトマウントを採用していますから、
このリブの意義は大きいと思います。
シートポストのD型化
スペシャ、BMC、TIMEなど、
色んなメーカーで浸透してきた”D型シートポスト”。
カームテイル形状のため、
丸パイプよりもエアロであると同時に、
路面からの衝撃に対してしなりを生みやすく、
「快適性」を上げる効果があります。
こちらはシートポスト固定方法。
何だかサドルが下がってこないか
少し微妙な構造に見えてしまいますが、
ライダーの自重で固定力が高まるように設計されているため、
不安に思うよりは大丈夫なはずです。
洗練されたケーブルの取り回し
まずは”機械式”の場合。
シフトワイヤー入り口が、後方へと移動。
2018年モデルに多い位置で、
ケーブルの取り回しに余裕が生まれます。
続いて”電動式”。
右が『C64』ですが、
ブレーキワイヤーとDi2ケーブルの入り口が一緒で、
かなりスマートな見た目になってますね。
ヘッド周辺以外のもう一箇所の
ケーブルーティンの違いは”BB下”に見られます。
左が『C60』、右が『C64』。
『C60』が樹脂製のワイヤー受けを装着しているのに対し、
『C64』のほうはフレーム自体に
ワイヤー受けの役割を果たさせています。
メンテ性は落ちますけど、さすがにカッコイイ。
ボトルケージ取り付け部の凹み
ダウンチューブ上にある大きな窪み。
これは、ダウンチューブとボトルの一体感を増し、
「エアロ効果を高める」ことを主に狙っています。
ですが、
「お気に入りのボトルケージを取り付けたいけど、
フレームと干渉してしまう」といったケースも起こりえそう‥‥
そうなったら、ワッシャーを噛ませて底上げする必要があるでしょう。
振動吸収素材を採用したヘッドパーツ
『C64』のヘッドパーツには、
コルナゴ『Concept』と同じで、
カーボン/ナイロン/エラストマーから成る
「振動吸収性」を備えたパーツが組み込まれています。
こちらがヘッド内部のパーツ構成。
左側矢印で示す二つのパーツは、
普通のロードバイクでは見かけないので、
これが振動吸収素材になっているのかな?
もしかすると、右側点線矢印のほうのパーツかもしれません。
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『C64』の乗車インプレッション
サイクルモードライド2018での試乗インプレ↓
それから、bikeradarの乗車インプレッションを紹介します。
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信じられないほど風が強く、
ランサローテ島の、非現実的な火山の景色を巡る100kmの試乗は、
海岸沿いの穏やかなクルーズに始まり、
その後は、楽しくないダラダラと長いヒルクライムのコースでした。
脚が許す限り激しくペダルを踏んでみると、
『C64』は、『C60』とよく似て
「信じられないほど硬く、活発なバイクである」と、
すぐにはっきり分かりました。
いくら強く踏み込んでも、
フレームから有意な”たわみ”を引き出すことはできません。
脚が温まってきて、
上下左右にウネウネした道路を進み続けた後、
長くアールの緩いコーナーが多々ある
かなり速度の乗る下り坂を走りました。
高剛性フレームの『C64』と
スーパーレコードのダイレクトマウントのおかげで、
かなり無謀なスピードでしたが、
自信を持ってコーナーを曲がることができました。
元からダイレクトマウントの大ファンでしたが、
市場において、カンパニョーロのブレーキが、
一番パワフルに効くと思います。
そして、3Diamantブレーキ面を持つボーラとの組み合わせは、
私がこれまで使ってきた中で、
最も素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれました。
下り終わった後、
海岸線沿いで信じられないほどに吹きさらされたのですが、
この時、ディープリムホイールを履かされていなかったことに、
この上なく感謝しましたね。
経験したことのない、あまりに強く、激しい向かい風の中だったため、
集団後方で吸い込まれるような感覚を感じ、それが不思議でした。
驚いたことに、ランサローテ島には
荒れた路面の場所が何か所かありました。
道路の大半はガラスのようにキレイだったのですが、
いくつかの長いガレたセクションがあったんです。
高剛性バイクから想像していた通り、
半パヴェのようなセクションは
『C64』にとって、少し手に余るようでした。
ヴィットリアのタイヤは明らかに
路面からの振動を軽減するのに一役担っていましたが、
一風変わった素材が組み込まれたヘッドセットに
有意な振動減衰を感じられたとは言えません。
最終的な結論を出すには、
もっと距離を乗る必要があるものの、
このヘッドセットの効果は疑問です。
その後、海岸線へと向かう
大部分がまっすぐな下りを8㎞走り、試乗を終えました。
「激しい風」「高速ダウンヒル」という
バイクの”ぐらつき”を確かめるのに
ふさわしいシチュエーションでしたけど、
『C64』は完璧なほど安定して走ってくれていました。
結論として、
『C64』は非常に良いバイクであることは間違いありません。
ただ、個人的な好みを語ることになるかもしれませんが、
「革新だ」と声高に叫ぶほどではなく、
その価格を正当化することは難しいです。
しかし、あなたが十分な現金を持っていて、
コルナゴの”ラグ”と、イタリアブランドの”名声”を愛しているのであれば、
『C64』で喜べることは間違いないでしょう。
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