松木です。
FACTORが誇るエアロロード『ONE』が、
3年ぶりにモデルチェンジしました。
ヒンジ構造のフォーク、ダウンチューブのスリットなど、
その特徴的な見た目はただのパフォーマンスではありません。
通常は相反する「エアロダイナミクス」と
「ライディングクオリティ」を両立するために、
フェラーリ、アストンマーティン、ランボルギーニ、マセラティや
F1、MotoGP、WRCの複数チームに空気力学の専門知識を提供してきた
エンジニアリング会社である「bf1systems」と提携し、
科学的アプローチの末に生み出された産物。
空力はもちろん、
カーボン素材をなるべく少なくして重量増を抑えつつ、
高い横剛性値を叩き出すことをも実現した構造・形状です。
いぶかしげに見てしまう外観とは裏腹に、
オールラウンドな性能を持つ『ONE』が、
どのように進化しているのか?
見ていきましょう。
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目次
新旧比較
まずは旧型。
そして、こちらが新型です。
パッと見では気づきにくいですが、
両者には結構な違いがあります。
- ダウンチューブへの「Twin Vane Evo」の導入
- BB周辺が連続的で、パワフルな形状に改善
- シートチューブのえぐれ
- シートステイ形状のワイドスタンス化
- リアブレーキ位置の移動
- シートクランプがよりインテグラルな位置に変更
①ダウンチューブへの「Twin Vane Evo」の導入
元からダウンチューブにスリックが入ってはいました。
ただし、これは「Twin Vane Evo」ではありません。
ただスリットを入れただけなのが「Twin Vane」、
さらに空力形状を押し進めたものが「Twin Vane Evo」。
「Twin Vane Evo」は、
ファクターのTTモデル『SLICK』に採用されているテクノロジーで、
それを新型『ONE』にも応用した形となります。
『SLICK』と『ONE』。
両者を並べると、よく似ているのが分かります。
②BB周辺が連続的で、パワフルな形状に改善
左が旧型、右が新型。
新型のほうが、シートチューブはスリム化されていて「空力」が改善。
その反面、
ダウンチューブ、チェーンステーを連続的なデザインに再設計し、
しかも、横幅を広げて「剛性」を強化(BB規格は共に「386EVO」)。
ペダリングを推進力へと変換する「パワー伝達効率」が向上されています。
③シートチューブのえぐれ
旧型のシートチューブはまっすぐでしたが、
新型のほうは、リアホイールに沿うようにえぐれています。
これによって
シートチューブから後輪への空気の流れが整えられます。
④シートステイ形状のワイドスタンス化
旧型のシートステイは細身の四角で、
やや内側に絞られた形状をしていました。
対して、新型のシートステイは流線形で、
かつ外側に膨らんだ形状になっています。
- ワイドスタンス化による横剛性の向上
- リアホイールとの隙間を広げることでエアロ改善
- ダイレクトマウントに耐えうる強度の確保
こういったことを狙っています。
ちなみに、
「リアホイールとの隙間を広げることでエアロ改善」に関してですが、
シートステイの横幅を狭めてしまうと、
後輪の回転によって生み出される「前向きの空気の流れ」と
「前方から吹いてくる風」が衝突してしまって逆に空力が悪化するらしく、
シートステイとリアホイールの間には
空気が通りやすいように適度な隙間を設ける必要があります。
この発想は、GIANT『Propel Disc』にも見られます。
⑤リアブレーキ位置の移動
リアブレーキの位置は、旧型では”BB下”でしたが、
新型は”上”へと移動。
数年前はBB下が流行っていましたが、
- ダンシングでシュータッチする
- 泥や水がかかって性能が低下しやすい
- メンテナンス性が悪い
など、デメリットが多すぎます。
”エアロ”という点で考えても、
GARNEAUが行った風洞実験によれば
0.2%という誤差程度のメリットしかありません。
となると、リアブレーキは、やはり上側がベストな位置。
⑥シートクランプがよりインテグラルな位置に変更
旧型には、”臼”が露出していましたが、
新型では、これが見当たりません。
新型には、写真のようにフレームが張り出してるのですが、
ここに”臼”が埋め込まれていて、
表からはまったく見えなくなっています。
これはコルナゴ『C64』と同様の仕組みです。
スペック&ラインナップ
ファクター『ONE』完成車
DURA-ACE Di2仕様で$11,499。
ホイールはBlack Inc(セラスピ、CX-Ray仕様)ですが、
今年はグラフィックが変更されるようですね。
ファクター『ONE』フレームセット
ハンドル(専用サイコンマウント付)、シートポスト、
BB(Ceramic Speed製)、バーテープが付属して$5,499。
カラーは、完成車、フレームセット共に
「クリムゾンレッド」のワンカラーです。
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より高次元に統合された新型ファクター『ONE』
ファクターが新型『ONE』に掲げたコンセプト。
”BEYOND AERODYNAMICS”
(エアロダイナミクスを超えて)
ロードバイクにおいて空気抵抗の小さいフレーム形状が重要なものの、
そこだけにとらわれた結果、
「重量」「快適性」「剛性」「ハンドリング」など、
空力以外の性能が損なわれたバイクは不完全です。
ファクターは真摯にエアロダイナミクスに取り組みながらも、
そこに安住せず、ライドクオリティの両立を成し遂げるべく、
独自の形状を持つ『ONE』を生み出しました。
それから3年。
「プロからのフィードバック」と「不断のR&D」によって技術は醸造され続け、
そして、より高次元に統合された新型ファクター『ONE』へと進化を遂げました。
「すべてを兼ね備えた究極のバイクとは?」
この問いに対してファクターが出した答えがここにあります。
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いつも楽しく拝見しております。
ご存じであれば教えていただきたいのですが
この新型ONEは、ノーマルステムに対応しているんですかね。
横谷さん、はじめまして。
ブログ読んでいただけているようで有難うございます(^^)
元のフォークのままですと、構造上ノーマルステムの付けようがありません。
だからと言って、フォークを別の物に交換できるかと言えば、
そのようにも見えませんので、専用ステム&ハンドルしか使えないと思われます。