松木です。
タイヤの空気圧って気にしたことありますか?
ほとんどの人が、「標準は7気圧」って認識だと思うんですが、
もうちょっと深く考えてみたほうが良いです。
空気圧を最適化することで数ワットの出力削減、
時速にして約0.3km/hほど速く走れるようになるかもしれません。
ただ、やみくもに高くすればいいってものでもありません。
空気を入れすぎたタイヤは、
「乗り心地」と「グリップ力」、さらには「路面伝達性」が下がり、
路面抵抗は減っても、逆に遅くなってしまいます。
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目次
転がり抵抗の正体
- ゴムが変形し、戻る際に、熱としてエネルギーが一部失われる(低圧時に大きい内部損失)
- インピーダンスによる抵抗(高圧時に大きいインピーダンス損失)
少し読みづらいですが、下の記事が参考になります。
7気圧という数字はどこから来ているのか?
ミシュランが発表している推奨空気圧です。
これのグラフを見ると、
65kgの人が、23cのタイヤを履いた場合、
推奨空気圧は7気圧ほどです。
7気圧という数字は、
標準体型の人が、一般的な太さのタイヤを
使った場合に限る適正空気圧です。
つまり、当然ながら誰にでも当てはまるものじゃありませんし、
それに加えて外的環境も考慮すべきです。
空気圧を決める4つの決定要因
- 体重
- タイヤの太さ
- タイヤの前後
- 走るコースの種類
- 路面状況
- その他の要因
これらの要因によって、適正空気圧は変わってきます。
1.体重
体重は空気圧に最も関わる要素で、
+10~15kgにつき、1気圧上げないといけません。
2.タイヤの太さ
主流になりつつある25cの太めのタイヤを使うなら、
タイヤの中の空気の量が増えますから、
空気圧を下げることができます。
ママチャリが3気圧ぐらいでいいのと同じ理屈です。
23cに比べて0.5気圧ほど下げることができ、
「乗り心地」と「グリップ力」、さらには「路面伝達性」が上がって、
快適、かつ無駄の少ない乗車フィーリングになります。
3.タイヤの前後
前輪と後輪では、後輪のほうが多く荷重がかかっています。
体重で適正空気圧を調整するのと同じように、
前後のタイヤで空気圧を変えるべきかもしれません。
具体的には、後輪を前輪よりも0.2~0.5気圧ほど高くします。
4.コースの種類
危険なコーナーの多いコースを走るなら、
グリップ力を重視して空気圧を0.5気圧ほど下げます。
それから”ヒルクライム”の場合。
「低速かつ、グリップ力が要らない」という考えから、
空気圧を高めに設定する人が多いですが、
色んな要素を考えると、これはなかなか難しいところ。
自分としては、ヒルクライムの空気圧設定を考える上で、
一番重要な部分は「通常よりかなり後輪荷重になること」だと思っていて、
前輪は特に変えず、後輪を+1.0気圧高めにします。
ただし、路面状況の凹凸が酷かったり、
斜度が緩かったりすると、そんなに高い空気圧にはしません。
たまに、1000m以上標高が上がるヒルクライムレースの場合に、
空気圧上昇を気にする人がいますが、
1000mアップにつき0.1気圧強しか空気圧は上がりませんから、
全く気にしなくて大丈夫です。
(ただし、下山時には忘れず空気圧を下げておきましょう)
5.路面状況
荒れた路面を走る場合は「乗り心地」と「路面伝達性」、
濡れた路面を走る場合は「グリップ力」を高める必要があります。
つまり、空気圧を下げます。
どれだけ下げるべきかは路面状況によりますが、
だいたいの目安は-0.5~1気圧。
これは昨日行われた「ロンド・ファン・フラーンデレン」を走った
選手達の車体の空気圧メモですが、たった5.5~6.3気圧です。
コース上に石畳の箇所があるからですが、
通常よりも2気圧ほど下げて走っているんです。
6.その他の要因
「乗り手の好み」、「タイヤの種類」、「他のパーツとの相性」、「ラテックスチューブ」など。
「乗り手の好み」
⇒コロコロ感が好きな人は、通常よりも高めの空気圧にしたりします。
「タイヤの種類」、「他のパーツとの相性」
⇒また、ゴムの硬いタイヤの場合や、
乗り心地のイマイチなホイールやフレームに乗っている場合などは
普通よりも空気圧を下げることもあります。
「ラテックスチューブ」
⇒ラテックスチューブは、1日で1.5気圧、SOYOだと2.5気圧ほど抜けます。
ロングライドなどで12時間乗るとすると、
出発時と帰宅時では、1気圧前後変化することになりますから、
ラテックスチューブを使用しているなら、
走行時間を考慮して、空気圧を少し高くしておきます。
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タイヤ空気圧の例
これまで話した空気圧調整を
具体例を挙げて考えてみましょう。
体重78kgの人が、25cのタイヤ、ラテックスチューブを履いたロードバイクで、
路面の荒れ、カーブも多いコースを、6時間ほど走るとします。
「体重65kg、23cタイヤで7気圧」を基準に考えると、
体重が重いので+1気圧、
25cタイヤなので-0.5気圧、
ラテックスチューブなので+0.3気圧、
路面やコースが危険なので-0.5気圧。
さらに、後輪を前輪よりも+0.5気圧高めにすると考えれば、
前輪は、7+1-0.5+0.3-0.5=7.3気圧、
後輪が、前輪の+0.5気圧の7.8気圧入れればいいことになります。
かなり大雑把ですが、こんな風に考えるといいでしょう。
普段からタイヤ空気圧には気にしておくべき
サドル高と同じで、
タイヤの空気圧にも絶対的な正解はありません。
「だいたいこのぐらいの空気圧が良いように感じる」
という曖昧なものしかありません。
それでも、
「何気なく決まった空気圧を入れている人」と
「考えながら空気圧を入れて日々試そうとしてる人」では、
少なからず差が生まれます。
ぜひ今回の記事で話したことを参考にして、
速く、そして気持ち良く走れる空気圧を見つけてみてください(^^)
「高い気圧ほど速い」は迷信みたいなもので、
気持ち良く、速く走れるのは、意外と少し低めの気圧だったりします。
最後に、下の図は
プロチーム宇都宮ブリッツェンメンバーの空気圧です。
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空気圧前6.0、後6.5にしたら2㎞のヒルクライムで30秒タイム短縮できました、しかもPowerが5%落ちているのにです
すごい効果です!ありがとーーーーーございました
しげしげさん、こんばんは(^^)
それはすごい効果ですね!!空気圧の重要性がよく分かる結果です。
少しはお役に立ったようで何よりでした。