松木です。
元アテネオリンピック自転車競技(MTB)日本代表の中込由香里(なかごめゆかり)さん、
ペンネーム 風の子ふうこさんが描いた小説『本気×本気』
何度か同じヒルクライムレースに参加されていた事がありましたし、
”オリンピアン”として有名な方なので、もちろん存じ上げていました。
「リハビリ中の仲間との関わりを通じて感じた事を
フィクションで表現した感動青春物語なのかな?」
「オリンピックに出場された経験のある方が、
”初めて本を書いた理由”、”伝えたかった事”とは一体なんなのだろう?」
それをどうしても知りたくなって読ませていただきました。
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『本気×本気』を読んだ感想
前半は、セリフの少ない説明口調で淡々と進みます。
重要なレースの山場であっても”サッパリ”と終わってしまって、
あまり感情は揺さぶられず、失礼ながら正直読み進めづらかったです。。。
ところが、帯にある「闇の世界に突き落とされた」後から一変しました。
物語が大きく転換するのはもちろんなこと、
「同じ方が書いてるの??」と訝しんでしまう程に文章自体も激変します。
感情を吐き出すようなセリフが多くなり、読みやすくなると同時に、
キャラクターの輪郭がはっきりして、どんどん増していく登場人物の魅力。
前半控えめだった心理描写・情景描写が丁寧・繊細に描かれることで、
まるでキャンバスに色が塗られていくかのように鮮やかになっていく世界。
しかも、それらは想像だけの産物ではなく「FICTION×REAL」として、
作者の様々な経験が元になっているからこそ文章の心に訴えかけてくる力が凄い!
読んでいる最中、あまりにも色んな感情、思いが沸き起こるものだから、
それらを咀嚼し、整理するために何度も読むのを止めさせられさえもしました。
「笑顔の力」「本気の力」「スポーツの力」そして「人の力」
これらあまり”ピン”とこないようなメッセージも、
小説、フィクションという形で、繊細に、そして情緒豊かに表現することで、
読み手の心を動かし、深い影響を与えることができるのだとも感動しました。
小説の力は素晴らしい!
自分と似た境遇、心に響いた言葉があれば、”支え”となるでしょう。
どうしようか悩んでいる事があれば、行動させる”きっかけ”になるでしょう。
「なんか違う…」と疑問を抱きながら生きているなら、心に正直になろうと思えるでしょう。
世の中は思い通りにいかない事で溢れ、
大小多くの挫折を避けられない人生において、
生き方の手本となる、美しい本。
”思い通りに進んでいけば、それは楽で楽しいかもしれないけれど、
思い通りにいかないから、人は考え成長できるのだと思う。
その時その時、ベストと思えることを選んできたのならば、後悔はいらないと思う。
もし、それを選んだ事を失敗と思うならば、
今ベストと思えることをここから選んでいけばいい。
「本気×本気」で生まれたこの物語とこの本が、
読者の方々に少しでも力を与える事が出来たら嬉しいな。”(あとがきから一部抜粋)
最後に、作中に登場する『車いすラグビー』というスポーツの
”激した”と”面白さ”を紹介している動画を載せておきますね(^^)
初心者のはずの鈴木亮平さんのプレーが上手すぎですよ(笑)
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