「残り20km‥‥ゴールできるだろうか‥‥」
体中から赤信号が発せられているような感覚。
このレースの過酷さを存分に味わっていました。
松木です。
『シャカリキ』を読んだのは8年ぐらい前だったでしょうか?
カイザー、コンドル、鳩村、ユタ、そしてテル。
彼らが死闘を演じた舞台が「ツール・ド・おきなわ」。
それ以来ずっと「出たい」と想い続けていました。
名だたる市民レーサーたちが
一年間の多くの時間を費やし、集大成として挑むレース。
一体何に魅了されるのでしょうか?
「ツール・ド・おきなわ」について詳しくは↓
【結果速報リザルト】2017年第29回ツール・ド・おきなわ生中継
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レース前日
レース前日11時頃、神戸空港から出発。
9時半には空港に着いていましたが、
Di2のバッテリーがうんたら、
六角レンチの長さがうんたらで、
出発予定ギリギリに‥‥‥‥焦る焦る。
さて、今回ご一緒した仲間。
一人で四国一周とかしちゃう最強自転車女子「ほのたろー」。
彼女のおかげで明るく楽しい旅になりました(^^)
色んな意味でプロな「横田プロ」。
都合の悪いことは聞こえないフリをする特技があります。
腰の低い柔和な雰囲気とは裏腹に
走りがとにかく熱く、ホットで、ファイヤーな「利田(かがた)さん」。
身近な人の中で、最も尊敬しています。
そして一番奥、5人をまとめるリーダー「岩城(いわき)さん」。
「ツール・ド・おきなわ」を知り尽くしたお方、”Mr.おきなわ”です。
この旅では、感謝し尽くせない程にお世話になりましたm(__)m
2時間もせずして沖縄に到着。まずは受付会場へ。
予報では沖縄にいる間の天気はずっと「曇り」。
この日も南国に来た”暑い”といった感じは一切ありませんでした。
スッポリ5台!!
ほのたろーの自転車は、ほとんど利田さんが組み上げていきます。
どうやらメンテは、お手上げな様子‥‥
「サドル抜けない!!」と、本気で慌てる横田さん。
すみませんが、彼が何かやらかすとネタとしか思えませんww
「名護市21世紀の森体育館」
ここが、受付、ゴール地点、アフターパーティー、表彰式など、
各種会場となる拠点です。
その後、少し車でコースを下見してから「大戸屋」で夕食。
ホテルに着いたのは、確か21時頃。
「沖縄かりゆしビーチリゾート・オーシャンスパ」。
‥‥‥‥(゚Д゚)!?
゜ ゜( Д ) スッポーン!!
ホテル散策したいところですが、
準備を済ませ、大人しく11時30分ぐらいには寝ました。
レース当日の朝
レース当日4時15分起床。
「うっ、寒っ!!」
朝ご飯を食べつつバルコニーに出てみると、
「ここ沖縄?」と疑問に思えるほどの肌寒さです。
準備万端オールレディーな岩城さんと、
全然準備できてない裸の横田さん。
「寝る子は育つ」と言って起きるのが遅いww
駐車場で利田さんと「頑張りましょう」と、
互いの健闘を祈りつつ別れ、その後、岩城さんとも別れました。
自分と横田さんが出場するのは「市民140km」。
スタート地点、道の駅「ゆいゆい国頭(くにがしら)」まで40㎞弱を自走。
「向かい風で全然進まねぇ~(`皿´)グヌヌ!!」
横田プロが前に出てくれないのはもちろん、
後ろ振り向いたら、他にも何人か付いてました(笑)
それほどの強風。
7時半過ぎに到着。レースまで1時間45分前にしてこの状態‥‥
序盤での落車を避けたい気持ちは、みな同じですか(^^;
「この天候なら」とシューズカバーを装着。
鼻輪(タービン)も付けます。
あとは、スタートまでトイレに行ったり、
空腹にならないようにバナナ、補給食を食べたりと。
走りながら補給食を食べるのは慣れていないので、
前日から間食して、エネルギーを蓄え続けていました。
定刻通り9時20分スタート。
レースレポート
- 市民210km優勝:高岡選手のレースレポート
- 市民210km2位:松木選手のレースレポート
- 市民210km4位:森本選手のレースレポート
- 市民210km6位:井上選手のレースレポート
- 市民210km11位:利田選手のレースレポート
熱いレース模様は、上の方々のレースレポートをどうぞ!
スタート後、6㎞までは海沿いの平坦路。
100番手ぐらいでスタートしましたが、
左サイドからスルスルと前方へ上がっていきました。
途中、トンネルもありましたが、
思っていたよりも怖くありません。
後ろでも落車は起きていなかった気がします。
序盤のハードルを一つクリア。
「普久川(ふんがわ)ダム」
距離約6㎞、平均勾配5%強、標高差320mのプロフィールの
「ツール・ド・おきなわ」最長の登りへ。
「思ったよりもキツくないかな?」
パワーウェイトレシオ4.5倍ぐらいの感覚。
勝手に先頭に出て、少し先行しまうぐらいのペース。
全然練習できていなくて、
レース前は「初っ端の普久川ダムで千切れるかも」と懸念していましたが、
「終始これぐらいのペースなら終盤まで残れるかも?」と淡い期待が湧いてきます。
その後、12~46km「奥」~「辺戸(へど)岬」の間は、
ジェットコースターのようなアップダウンが、休む間もなく続きます。
苦手な下りで最高75km/hぐらい出ますが、
コーナーは緩やか、道幅も広いため、
特に遅れることもなく、無難にこなしていきます。
すると「奥」の登りで知っている姿。
「岩城さん!」
抜く際に声をかけました。
岩城さんは市民210kmなので、
すでに100km以上走っています。
そう言えば、一緒に走っている横田さんを一度も見ていないな。
かなり後方からスタートしていたようですし、
どっかでヘマして千切れた可能性が‥‥
レース前後もそうですが、
レース中も何かしらやらかさないと気が済まないプロです(^^;
最北端の「辺戸岬」を越えて南下。
二度目の「普久川ダム」へと向かう、海岸線沿いの平坦路12km。
集団は150人ぐらい?
正確には分かりませんが、とにかく多い!
安全そうな左端のほうで走るも、
スピードが速くて片手離しが怖く、補給食を食べる気になれず。
まったく暑さは感じないものの、
普久川ダムに向けて、水分補給だけはしておきます。
ここで、ようやく横田さんを発見。
ここまで後ろのほうで格闘してたんだろうな~(笑)
二発目の「普久川ダム」。すぐに千切れる。
体感的には一度目よりも速く、
「先頭でクライマーが引いてるのかな」と思いました。
まだ80kmも残っているおり、
ここで無理して玉砕覚悟の走りをする訳にもいかず。
先頭のペースが落ちることを願うも、その願いも届かず‥‥
レース後、集団に付いていけた横田さんのデータを見せてもらうと、
1回目の普久川ダムよりも、2回目のほうが1分も遅かったと判明。
「速い」と思ったのは気のせいで、
単に自分のパワーが落ちていただけでした。
途中飛び出したりすることはなかったのですが、
振り返ってみると、無駄に脚を使ったと思える箇所もありました。
少しの消耗も許されないのが「ツール・ド・おきなわ」。
マラソン並みの自制心が必要です。
結局、登り切る前にタレて単独になってしまうものの、
運良く山岳賞のところで、
同じカテゴリーの”BALBA”の二選手に追いつかれ、
しばらく後ろに付かせてもらいます。
下り切って、またすぐに250m近く上がる「高江」に向かう坂。
同じカテゴリーで前から落ちてきた選手がチラホラ出てきて、
抜き際に吸収して集団がドンドン大きくなっていきます。
本来はダメなのかもしれませんが、
他のカテゴリーの選手もごちゃ混ぜ状態。
90~100km地点にかけて人数は増え続け、
100人ぐらいの大きなグルペット集団が出来上がりました。
平坦、下りは脚が残っている人で回してハイスピードを維持、
上りは250wぐらいで、のんびりといった具合。
付いていくだけなら、それほど問題ありません。
キツい中でも、時々前を引いたりもできました。
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残り35㎞ぐらいだったでしょうか?
キツさが一気に上がりました。
ペースが上がったのではなく、自分の身体の問題。
グルペットで黄信号の状態で走っていましたが、
ついに赤信号に突入してしまったらしい。
「息が苦しい」とか「脚パン」とかとは違った、
言葉では言い表しがたい身体全体から発せられる辛さ。
「こんな状態で、ゴールまで行けんのかな‥‥」
「慶佐次(けさじ)」の補給所。
スポーツドリンクをがぶ飲みしてから
少しでも軽くしたいため、残りは捨てました。
結果、残り20kmにして水分が猛烈に欲しくなる‥‥orz
「マズイ!マズイ!マズイぞ、これは!」
最後、「羽地(はねじ)ダム」の計200mアップの坂を考えると、
ここでの水分不足は、完走すら危うくなってくる!
ポケットに残っていたメイタンジェル2袋を水分代わりに口に突っ込む。
何とか難を逃れます。
羽地ダムに入ると、グルペット集団からも千切れてしまいました。
たかだか200mの上り、それほどペースも速くはありませんが、
まったく付いていける感覚のしない”カスカスの状態”。
頭もボーっとして、うつむき気味。
一番急な所には、地面に応援。
”マツキ”
「えっ?自分?210kmに出場している松木選手のほう?」
いきなり飛び込んできた自分の名前に
このときは頭が回りませんでしたが、
レースを終えた「ほのたろー」が
ここまで応援しに上って来てくれていました(⌒―⌒)=bグッジョブ
岩城さんの応援団も!!
「羽地ダム」を越えたら、ひたすら平坦。
追い風?下り基調?ゴールが近いから?
よく分かりませんが、やたらとスピードが乗ります。
そして、ゴール。
【記録】4時間15分24秒(TOP +21分20秒)66位
出場してみて感じた「ツール・ド・おきなわ」の魅力とは?
”ホビーレーサーの甲子園”
優勝した高岡さんが表現している、この言葉。
最強の選手たちが一堂に会し、
脚の無くなった者から千切られていくアップダウンが続く、
暑く、そして熱い闘いが繰り広げられるサバイバルレース。
ロードレーサーが、夢を追いかけるに値する最高の舞台だと感じました。
”大会運営の素晴らしさ”
会場には沢山のブースが並んでいて
お祭りのように賑わっていますし、
レース中、補給所に限らず、色んな所で声援が聞こえてきました。
特に、レース後のアフターパーティー&表彰式は、
それぞれの健闘を讃え合いつつ、
限界まで追い込んだ身体に、
飲み物・食べ物が染み渡り、最高の気分に浸れます。
”レース後の沖縄料理”
打ち上げなくして「ツール・ド・おきなわ」完走とは言えません(笑)
そして一番は”仲間”。
本当にありがとうございましたm(__)m
また、来年もここへ戻って来れたら良いなと思います。
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