松木です。
Lapierre(ラピエール)新型『PULSIUM』(パルシウム)が、
2018年モデルとして出てきました。
2015年に「快適性」と「運動性能」を両立させた
”コンフォートレーシングモデル”として登場しましたが、
その二代目ということになります。
今回、フレームの設計を一から見直し、
かつプロ選手からのリクエストに応える形で改良が加えられ、
見た目の以上に、大幅に性能が良くなっています。
国内での正式発表はまだですが、
先んじて詳細を見ていきましょう。
スポンサーリンク
目次
新旧フレーム形状の比較
まずは旧型。
そして、こちらが新型です。
パッと見、一番目につく違いは「フォーク」。
旧型では、「直進安定性」を出すために、
前に折れ曲げていましたが、
新型では、プロ選手の「軽やかなハンドリングが欲しい」
というの要望をくみ取った結果、標準的な形状になっています。
直進安定性のあるバイクは、確かに乗りやすいですが、
急カーブで狙ったラインを走りにくくなりますし、
スプリントで激しくハンドルを振る際にも支障をきたしてしまいます。
レーシング性能を求めるプロにとって、
「直進安定性」が邪魔になる場合もある訳です。
一から見直すことで「快適性」「剛性」が向上
『パルシウム』は、フレームの各部で明確な役割分担を図っています。
上の図は、フレーム概念図ですが、
水色の部分は「快適性」を考慮して”曲線で細い形状”、
赤色の部分は「剛性」を重視して”直線的でゴツい形状”なのが分かると思います。
新型の『パルシウム』では、
「フレーム形状」
「カーボン素材の種類」
「カーボンの配置」
これらを、フレームの多くの箇所で見直した結果、
フレーム上半分の「快適性」は向上していますし、
ヘッド20%、BB40%、チェーンステイ20%の「剛性」アップにも成功。
「快適性と剛性の両立」を更に推し進めました。
刷新されたトップチューブの振動吸収技術「SAT」
枝分かれしたトップチューブ。
その下側に埋め込まれた振動吸収構造が、
「SAT(Shock-Absorpition-Technology)」です。
旧型『パルシウム』では、
上図のような複雑な3ピース構造になっていました。
衝撃があった際、エラストマーリング(水色)が
最大3.5mm稼働して衝撃を吸収する仕組みです。
新型にも「SAT」は採用されていますが、
大きいエラストマーが挟まれただけの1ピース構造にシンプル化。
ですが、こちらのほうが効果的に振動を吸収するようです。
それから、「SAT」周辺に目を向けると、
新型では①の部分が流れるようなデザインになっている上に、
シートチューブの②の距離もより長くなっています。
新型のほうが滑らかで美しい形をしていますし、
実際、路面からの突き上げに対してシートチューブがよりしなってくれます。
この形状の変更は「SAT」の単純化によって可能になったそうですが、
「なぜ始めからこうしなかったのか‥‥」とも思ってしまいますね(^^;
スポンサーリンク
その他2ヶ所のマイナーチェンジ
旧型では、リアブレーキを下方にオフセットするための
赤丸のパーツがありました。
このパーツを取り除き、
ロングアーチブレーキを取り付けることで、
最大32cタイヤにも対応できるという構造です。
新型『パルシウム』では、これを廃止。
間に噛ませるパーツなど使わずに
太いタイヤが使えるフレーム設計になっています。
もう一カ所、リアディレイラーのケーブルの取り回しを見てみると、
出口が①から②へと移動しました。
①のほうが、ケーブルの露出は減りますが、
その分取り回しがキツくなるデメリットがあります。
なので、取り回しに影響されないDi2ケーブルなら
①の場所のほうがスマートだと思いますが、
機械式で組むなら、②のほうが変速性能に支障にきたしにくいです。
全方位に進化を遂げた『PULSIUM』
3年の間に蓄積したフレーム技術のノウハウ、
ロードレースで走らせて得られたデータ、
使用する選手からのフィードバック。
これらすべてを開発の糧とし、
「より速く、快適に」というコンセプトの理想形に近づけたバイクこそが、
新型『パルシウム』です。
一定の負荷で走っている時は
「高い快適性」によって長時間乗っても疲れにくいですし、
いざ負荷を上げた際にも、
「軽快なハンドリング」と「パワーを余すことなく受け止める剛性」によって、
鋭い反応を示してくれるでしょう。
さらにはフレーム重量も軽くなっており、
全方位に進化を遂げた良いバイクに仕上がっているなと思います。
スポンサーリンク