松木です。

 

『Roval CL50』は買いなのか?『Roval CLX 50』と徹底比較してみた。

スペシャ『Roval CL50』カーボンクリンチャーが発売されました。

 

このホイールは、
下の記事で取り上げた『Roval CLX50』の弟分に相当します。

『roval CLX 50』インプレ。2017年最強カーボンクリンチャーホイールの予感。

 

roval clx50 リム roval cl50 リム

上『CLX50』、下『CL50』。

同じリムですが、『CL50』のほうがグラフィックが良い。

 

roval clx50 ハブ roval clx50 ハブ

roval cl50 ハブ

上『CLX50』、下『CL50』。

形状は完全一致。

 

実の所、『CL50』はハブスポークの部分で
コストダウンされているそうなのですが、

もう少し突っ込んで両ホイールの違いを精査し、
性能的に考えて”97,200円”という価格差が妥当なのかを考えていきます。

 

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 『Roval CLX50』VS『Roval CL50』

『Roval CLX 50』 『Roval CL 50』
重量 公表:1375g
実測1408g(F:624g/R:784g)
公表1465g
リム高 50mm 同じ
リム幅 29.4mm(内幅20.7mm) 同じ
スポーク数 F:16本/R:21本 同じ
スポークパターン F:ラジアル組
R:2to1クロスラジアル組
同じ
スポークメーカー DT SWISS「エアロライト」
DT SWISS「コンペティションレース」
ハブベアリング方式 カートリッジベアリング方式
(F:2個/R:4個)
カートリッジベアリング方式
(F:2個/R:4個)
ベアリング セラミックベアリング(Ceramic Speed製) スチールベアリング
ハブ F:Roval AF1
R:Roval AF1(内部構造はDT SWISS 240
F:Roval AF1
R:Roval AF1(内部構造はDT SWISS 350
税込定価 297,000円 199,800円(-97,200円)

 

2つのホイールの違いをまとめると、

 

  • スポークが、DT SWISSの「エアロライト」か「コンペティションレース」か
  • ベアリングが、「Ceramic Speed製」か「スチールベアリング」か
  • ハブ内部が、DT SWISSの「240」か「350」か

 

の3点になります。

スポークの違い

DT SWISS エアロライト
(※画像クリックで拡大)

『Roval CLX50』に使われている「エアロライト」は、
DT SWISSのラインナップ中、最高のエアロスポーク。

中心部分は、厚さ0.9mm、横幅2.3mmの扁平。

1本670円。

 

DT SWISS エアロライト コンペティションレース

対して
『Roval CL50』に使用される「コンペティションレース」は、
DT SWISSでは下位に位置する丸スポークです。

中心部分は、直径1.6mm

1本およそ130円。

 

ここで気になってくるのが、
丸スポークの「エアロ」「重量」「ホイール性能への影響」といった部分。

エアロの違い

翼断面 楕円 形状 空気抵抗

こちらはサーヴェロが公表している
「物体の形状」と「空気抵抗」の関係です。

 

これに当てはめるとすると、
「エアロライト」が左から2番目、
「丸スポーク」が左から4番目。

その差は、およそ5~6倍

 

この倍数だけに注目すると、
「丸スポークはダメ」だと勘違いしやすそうですが、

そもそもの話、
1.6mmの丸スポークが受ける空気抵抗は
それほど大きくはないと考えます。

 

r-sys カーボンスポーク 直径4mm

R-SYSのカーボンスポークの直径は約4mm。

 

さすがにここまで太くなってしまうと、
「35km/hを超えると、スピードの伸びが悪い気がする‥‥」
と耳にすることもあるのですが、

「エアロスポーク」と「1.6mm丸スポーク」の比較というケースであれば、
体感できるレベルの空気抵抗の差は無いんじゃないでしょうか?

重量の違い

エアロライト コンペティションレース 重量差

DT SWISSのホイームページによると、
264mm64本で「エアロライト」278g、「コンペティションレース」312g。

 

264mmという長さは、
50mmハイトのホイールにおける一般的な長さと誤差は少ないため、
そのまま計算してしまうと、

 

(312―278)g×37/64本≒19.7g

 

スポークによる重量差は、20g程度のものだと分かります。

ホイールの性能への影響

高級なホイールは、
ほぼ必ずエアロスポークで組まれています。

 

ですので、

”良いホイール=エアロスポーク”

というイメージがあると思うのですが、

 

rapide CLX40

かつてスペシャが生んだ名作『Roval CLX40』は丸スポークでした。

 

”軽快さ” ”巡航性” ”乗り心地”など、

その圧倒的万能さを好み、今でも愛用している人も少なくありません。

 

DT SWISS レボリューション

『Roval CLX40』のスポークは、DT SWISS「レボリューション」

 

中心部分の直径は、
「コンペティションレース」よりも0.1mmだけ細い1.5mm

 

価格を見ても、1本146円で、
「コンペティションレース」に近い位置付けのスポークです。

 

 

つまり、この事実から思うのは、

『Roval CL50』が丸スポークの
「コンペティションレース」で組まれているからと言って、

それだけで性能が劣っていると言い切るのは早計ではないか

ということです。

ベアリングの違い

roval clx50 セラミックスピード

『Roval CLX50』に使われている
Ceramic Speed製のセラミックベアリングは、
1つ1万円と、恐ろしく高価です。

 

それがホイール前後に計6つ‥‥

 

ちょっとやり過ぎなんじゃないかと感じる訳です(笑)

 

確かに手で回したりすると、
抵抗を一切感じないほどに滑らかなのですが、

もし『Roval CL50』のスチールベアリングが気になるのであれば、
セラミックに打ち換えればいいと思います。

 

比較的安価なセラミックベアリングでも
Ceramic Speedに引けを取らないぐらいには回転が軽くなります。

 

TNI セラミックベアリング 打ち替え

現在使っているAeolusには、
元々日本製のスチールベアリングが入っていました。

 

ただ、回転がイマイチだったので、
TNIのセラミックベアリングに自分で打ち換えています。
(思い切ってCeramic Speedも試しましたが、なぜかゴリゴリにw)

 

 

『Roval CL50』もAeolusと同じDT SWISS製ハブですから、
同じ方法でベアリング交換できるはずです。

 

TNI セラミックベアリング 打ち替え

ちなみに、セラミックベアリングは”TNI”がオススメ。

「抵抗の軽さ」「コスト」「耐久性」

どれも満足できるレベルにあってコスパは最高です。

 

ハブの違い

roval clx50 ハブ roval cl50 ハブ

左『Roval CLX50』、右『Roval CL50』。

 

外見上、両者は同じように見えますが、
”内部”を構成するパーツのベースが違っています。

 

『Roval CLX50』がDT SWISS 240
『Roval CL50』はDT SWISS 350

 

「「240」のほうがグレードが高い」
ということは知っていると思いますが、

 

DT SWISS 240 350 違い スターラチェット

「240」と「350」の構造自体は全くの同じ。

 

「ベアリングの数」も「スターラチェット構造」も
「スターラチェットの歯数」も共通です。

 

ただ、パーツの”材質”が異なってるようでして、
「240」のほうが、60~70gほど軽量ではあります。

 

DT SWISS 240 350 違いDT SWISS 240 350 違い

値段(日本での販売価格)に関しては、
「350」が27,000円に対して、「240」のほうは51,840円

 

”チタン製”の部品とかを使ってないと思うですが、
軽量化の代償はなかなかに大きいですね‥‥

『Roval CL50』は明らかに買いだと思う

Roval CL50 インプレ

さて、
『Roval CLX50』と『Roval CL50』の
”97,200円”という価格差についてですが、

 

【スポークの価格差】
(670―130)×37≒20,000円

【ベアリングの価格差】
60,000―3,000=57,000円(スチールベアリング600円/個として計算)

【ハブの価格差】
51,840―27,000≒25,000円

計102,000円

 

各パーツの違いから計算してみると、ほぼ帳尻が合います。

 

そして、
『Roval CLX50』と『Roval CL50』の重量差90gは、
スポーク20g、ハブ70gといったところでしょう。

 

 

性能をあまり損なわないであろう部分で、
上手くコストダウンを図れているように思います。

 

 

Roval CLX50 インプレ

もし本気で『Roval CLX50』を検討しているのであれば、
少し思いとどまって考えてみましょう。

 

代わりに『Roval CL50』を購入し、
ベアリングをセラミックに打ち換えてしまえば、

価格を大幅に抑えながらも、
『Roval CLX50』に近いパフォーマンスを発揮してくれる
ホイールが出来上がるはずです。

 

さらに言えば、

 

roval clx50 スターラチェット

『Roval CLX50』と『Roval CL50』の
スターラチェットの歯数は共に18Tなのですが、

 

roval clx50 スターラチェット 36 roval clx50 スターラチェット 54

『Roval CL50』にして浮いた差額で、
18Tから36T54Tにグレードアップしてやるのも面白いと思います。

 

ラチェット音は少し大きくなってしまいますが、
ホイールの”かかり”は確実に良くなりますからね。

 

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