松木です。
サクラホイールの50mmハイトチューブラー
『4G-50-TU』をお借りし、使わせてもらっています。
この記事より前に、下の「乗車前インプレ」の記事を読んでもらえると、
このホイールについて、もっと深く理解できるはずです。
『SACRAホイール「4G-50-TU」乗車前インプレ。徹底分析してみた。』
自分は、科学的な数字もよく参考にしますが、
「実際に乗ってどうか」が最も大事なことだと考えます。
科学的な実験というのは参考にするものであって、
ライダーが実際に使用し、体感する以上に価値のある情報はないと思っています。
そういう意味で「乗車前インプレ」よりも
今回の記事のほうが『4G-50-TU』の本質に近い情報と言えるかもしれません。
お借りした田中さんからは「やらせ無しで試乗してもらっています」と言われていますので、
遠慮なく、忌憚のないインプレッションを書かせてもらいます。
【関連記事】
『SACRAホイール50mmをインプレ・レビュー「巡行性」「加速性」「緩登坂性」「剛性感」』
『SACRAホイール「4G-50-TU」乗車前インプレ。徹底分析してみた。』
『SACRAの新作ホイール「4G-50-JX」「4G-50-CX」が発売されます。』
『「ロードバイク本音のホイール論」を読んだ感想』
『4/25発売。「ロードバイク本音のホイール論」について。』
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横風:驚くほど煽られない
風の強い日、淀川に架かる橋の上を走ってみました。
もちろん横からの突風もありましたが、
不思議なほど煽られませんでした。
先に身体に強い風を感じ、
「おっ、ハンドルが持っていかれる!」と瞬時に身構えるにも関わらず、
突風がやってきた瞬間のハンドル、フロントホイールの挙動はほぼ変わらないんです。
これには一番驚かされました。
横風に強い「AEOLUS 3D 5」を常用していますが、
「4G-50」は、それ以上に横風の影響を受けない感覚で、
まるでローハイトリムホイール、例えばC24デュラと同レベルに煽られにくいホイールです。
調布にあるJAXAの施設で行われた
「前輪単体で48km/h走行」という条件下での風洞実験結果です。
A社に関しての明記はありませんが、
35mm、50mmハイトがあるメーカーと言えば、
あの有名なメーカーではないでしょうか。
これだけを見ると「A社に比べて横風に強い」とは言えないのですが、
SACRA「4G-50」ホイールを実際に使ってみると、
「50mmクラス最高レベルに横風が強い」と感じました。
この「横風に強い」というのは、ディープリムホイールのかなり重要な要素です。
ディープリムは風が強さに比例して「空気抵抗の低さ」を発揮するわけですが、
実際には「風が強いから怖くて使えない」という判断で、
強風時にはローハイトホイールに交換してしまう場合も少なくありません。
しかし、「4G-50」のように横風に強いディープリムホイールであれば、
強風時にも比較的安心して使うことができますから、
周囲がローハイトリムに履き替える中、大きなアドバンテージが得られることになります。
つまり、
「空気抵抗削減効果の大きい強風時に、ディープリムが使えない」
というパラドックス的な状況から抜け出すことができるわけです。
SACRAホイールの備える「横風の強さ」は、
このホイールの真骨頂とも言える性能であり、
他のホイールとの差別化ができている一番の部分だとも感じました。
少し余談ですが、
「横風に強いタイヤ幅」というのがあります。
それはホイール幅-2~4mm。
詳しく知りたければ、下の記事を読んでみてください。
今回、上のような寸法の「4G-50」リムに対して、
コンチネンタルコンペティション22mm(実測23mm幅)を使用していますから、
空気抵抗の少ない、理想に近い状態で試乗しています。
ブレーキング性能:カーボンリムの平均
「4G-50」リムのブレーキ面には、
ブレーキ性能を高めるような処理は施されていません。
実際に使ってみても、
ブレーキの効きに関しては「カーボンリムの平均」で、
アルミリムの制動力を10とした場合、SACRAホイールは7~8といったところでしょうか。
それから、雨などでブレーキ面が濡れた場合、
他のカーボンホイール同様、制動力は相当落ちるでしょうね。
ただ、これに対する解決策はあります。
「4G-50」リムのブレーキ面には、
耐摩耗性に強いガラス繊維が組み込まれ、
さらに、耐熱性のある樹脂で固めているため、
ノーマルブレーキシューが使えます。
カーボンリム用シューでも「怖い」と感じるほどではないんですが、
ノーマルブレーキシューを使うことで、
SACRAホイールの制動力を上げることはできます。
それから、ブレーキ面の精度に関してですが、
一部のメーカー(exマッドファイバー)のように
「脈打つような制動」は一切起きなかったので、
ブレーキ面の精度は問題ないと言えます。
急登坂性:不満を感じない
10%の急坂で実走。
時速15~20km/hぐらいです。
ちなみに「4G-50-TU」は、
前後1451gのホイールで、実測リム重量は405~410gです。
50mmディープリムにもなると、ホイールによっては
「後ろに引っ張られるような重たさ」を感じるものもあったりしますが、
「4G-50-TU」には、そのような感覚はありませんでした。
後ろに引っ張られる感覚があるのは、
「ホイールが極端に重い」か「強い入力に対しての剛性が足りない」ことが
原因だと考えているのですが、
SACRAホイールはいずれの面もクリアできているんでしょうね。
急勾配で武器になるホイールではありませんが、
卒なくはこなしてくれるので、デメリットにはなりづらく、
「ホイールのせいで急坂で千切れてしまう」ことは、あまり起こらないはずです。
むしろ、平地で楽ができ、坂に向けて脚を残せるホイールで、
結果的には「坂では他の人より強く踏める」という考え方もできます。
快適性:特に快・不快を感じない
快適だとは感じませんでした。
ただ、これはブレーキ性能同様
「カーボンディープリムの平均」というだけです。
そもそもの話、
SACRAは「空力」と「剛性」を重視して設計したホイールであって、
「快適性」に関しては、あまり考えて作っていないと思います。
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インプレ前半戦のまとめ
今のところの感触はかなり良いですね(^^)
「重量」「スポークの組み方」「ハブ」などの
スペック上からの賛否はあるかもしれませんが、
実際に乗ってみるとバランスは相当高いように感じています。
その中でも、特に空力に対しての印象はかなり強く、
うまく風を味方につけているように思います。
次は『巡行性』『加速性』『緩登坂性』『剛性感』あたりを中心に話すつもりです。
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