松木です。
今回は『KYLE 5』の実走インプレッション。
先にインプレのハイライトをまとめておきます。
- 「巡航性能」「煽られにくさ」は”さすが”の一言に尽きる。
- 非常に軽快。初作から-81gのリム重量434gは伊達じゃない。
- 欠点は皆無。ただ「強く踏んだ時のかかり」に若干物足りなさを感じた。
⇒リア21H/2:1組ではなく、24H/左右クロス組の方が印象良さそう。
個人的には、”ドッシリ”と安定した走りの前作も好みでしたが、
「軽快さ」が際立つ新作『KYLE(カイル)5』は、
よりオールラウンドに、万人受けしやすくなったように感じます。
借していただいている身ではありますが、
”良い所” ”標準的な所” ”物足りないと感じた所”
ありのまま、掛け値なしで話していきたいと思います。
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目次
【走りの印象】軽快(前作との一番の違い)
434gのリム重量が効いていて、
50mmディープリムとは思えない程に軽快。
35~40mmクラスと比べて、なんら遜色ありません。
走行中、リムから”コォォー”と独特の反響音が発せられ、
そこからもリムが軽い(もしくは薄い)ことが感じ取れます。
50mmが避けられる最大の理由が「走りの重さ」ですから、
「軽やかな走り」を実現している『KYLE5』は、
誰にでも受け入れられやすいだろうなと思います。
【加速性】低~中出力では俊敏、高出力ではやや物足りない
「少しペースを上げようか」と脚に力を込めると、
ペダルが”スッ”と下りてくれて、リニアに反応します。
「加速性」においても、リムの軽さが活きてます。
ただ、「コーナーでの立ち上がり」「アタック」「スプリント」など、
バイクを振りながら高出力で踏むようなシチュエーションでは、
「かかりの良さ」「切れるような加速」は発揮されなかったです。
例えば、「スプリント」ならば、
”ジワジワ~”と伸びていって頭打ち感が少ない反面、
”スパーーンッ”と鋭い加速感は感じ取れません。
この点は物足りなく思ったところ。
おそらく自分の「体重」「パワー」だと、
リアホイールの『横剛性』が足りていないのが原因の一つかと……
なので、必要最小限の21H/2:1組ではなく、
24H/左右クロス組であれば、良い印象を得られそうな気がします。
SACRAホイールは、スポークの「本数」「組み方」を選択可能で、
各々の”ニーズ”、”好みの乗り味”に寄せられるのは有難いですね(^^)
もしくは『KYLE 3』にするのもアリか……
リムハイト38mm、リム重量401gで、
『KYLE 5』よりも「加速性」重視のホイールです。
【巡航性】真骨頂
疾走感がハンパじゃない!!
まるで路面を”滑走”しているかのよう……
3~4%ぐらいまでの緩斜面・中速域でも、
「エアロ効果」は体感できる大きさで残っていましたから、
「巡航性」は相変わらずバッチリかと。
ただ、前作とは”伸びる感覚”が異なっていました。
前作は「エアロ」に加えて
「重めのリムによる回転慣性」が働いているイメージでしたが、
リムの軽い『KYLE 5』では、「回転慣性」はあまり作用せず、
その代わりに「エアロ」にますます磨きがかかっている印象を受けました。
(※体重65kg、バイク7kg、装備1kg、速度48km/hでの走行を想定)
JAXA調布航空宇宙センターにおける
『KYLE 5』他2種類のホイールの風洞実験データです。
『BORA 50』はまだしも
世界最高クラスのROVAL『CLX50』以上というのは素晴らしい!
「ここまで良い結果が出るとは……」と、田中さんも嬉しい誤算だったそう(笑)
少し余談になりますが、
SACRAが実施しているホイールの風洞実験に関して
面白いコラムがUPされてましたので良かったら(^^)
【登坂性】10%でも引きずる感じは無い
やはり実測1355gというホイール重量は、
50mmチューブレス対応クリンチャーとしては優秀なのでしょう。
ホイールに”引きずるような重さ”は感じませんでした。
ただ、普通にダンシングする分には問題ありませんが、
ダンシングで力強くアタックしようとする際、
抜群の加速を魅せてくれることは無かったです。
ちなみにですが、この『KYLE 5』の続く使用者は、
SACRAがサポートしているプロ選手だったのですが、
200回以上登っている峠で、自己新が出たらしいです。
【乗り心地】普通
前輪が、コンチネンタル『4000sⅡ』25mm+パナレーサー『R’Air』、
後輪は、シュワルベ『ONE』25mm+ミシュラン『Air Comp Latex』。
そして、空気圧が前後ともに7bar。
この状態での『KYLE 5』の「乗り心地」は、
可もなく不可もなくといった”並”。
「快適だな~」と感じることも無ければ、かと言って
「振動がコツコツ伝わってきて不快……」ともなりませんでした。
乗り心地を求めるなら、
”チューブレスタイヤ”を装着すれば良いでしょう。
「パンクしているのか??」と疑うほどの”快適性”が手に入ります。
【ブレーキ】問題無し
「ブレーキ」に関しては、カーボンリムの平均。
制動力に特別不満を感じることは無く、
下りでも「効かなくて怖い……」となることもありません。
また、”ムラ”のある掛かり方はせずに一定。
(ブレーキ面が平滑でないと脈動する)
「雨」の中では使用していませんが、
ブレーキ面に特殊加工は施されていないことから察するに、
カーボンリムなりの”制動力の低下”は起こると考えられます。
【横風】不思議な程あおられない
この日、旗が”バタバタ”とたなびく
強め風が吹いていたのですが……
全然あおられない(゚∀゚d)サイコー!
大型トラックが通り過ぎる際の突風でさえも、
ハンドルが少し揺れる程度。
横風に対する強さは、もはやアルミリムと同等ですね。
「ディープリムはハンドルが取られて怖い」は、もはや過去の話。
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【まとめ】満足度を最大化しうるホイール
『KYLE 5』ホイールを試すにあたって
自前の『Aeolus 5 TLR』と比較しながら走ってましたが、
各性能、全く遜色ないと感じました(少しばかり複雑な気持ちw)。
- Bontrager『Aeolus 5 TLR』368,000円
- SACRA『KYLE 5』197,640円
『Aeolus』はちょっと高すぎだとしても、
『KYLE 5』のコスパが相当に良いのは間違いありません。
とは言え、
「体重」「脚質」「パワー」「乗り味の好み」「用途」によっては、
物足りないと感じる部分は少なからずあるでしょう。
そういった際、既に話した
- スポークの本数&組み方
- チューブレスタイヤ対応
さらには、
- 振動吸収層「DBR」の追加(詳しくはSACRAのHP)
- 車体にマッチさせられるカラーバリエーション
「高水準にある各性能レベル」「良心的な価格」に加え、
これら数多くのオプションから適切に選び取ることにより、
『KYLE』は、大手30~40万ハイエンドクラスにも一切引けを取らない
極めて満足度の高いホイールになりうる可能性を秘めていると思います。
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松木さん、いつもありがとうございます。
ワケあって、こちらのホイールについて教えてください^_^。 すでにメーカーはなくなっており、情報がなかなか取れずにいます。
オークションサイトで、5Bという表記のホイールを散見しますが、ただの5とは異なるものでしょうか?
松木さんのインプレではかなり高評価なので使ってみたいと思う反面、今から手に入れるものかどうかとも思えたり^_^。
常用しているアイオロス5と比較しても仕方ないのです(笑)が、松木さんの感想として、両者に明確な違いみたいなものがあれば、ぜひご教示いただければと思います。
いつもつまらない話で申し訳ありません!
私も検索してみましたが、5Bと表記しているサイトはごく一部ですし、おそらく”B”に深い意味はございません。
ご質問の性能に関してですが『Kyle 5』はアイオロスに非常に近い特徴、性能、寸法をしています。その前提の上であえて違いを述べるとするならば、空気の抜けの良さ/エアロ感は『KYLE 5』が僅かに上。硬さは『Aeolus 5』がやや上(Aeolus自体も硬いホイールでは無いため、Kyleが(特にリムが)柔らかめです)。リムやハブの「質」が良いと感じるのは『Aeolus 5』。といった具合です。
紹介した当時『Kyle 5』は「注目のホイール」でした。ですが各メーカーの技術力が上がった昨今では……忌憚なく申し上げて今や「過去のホイール」となってしまっており、現在購入の価値はほぼ無いかと存じます。新しいハブ、カーボンスポーク採用の『KYLE 5 IGNITE』の方であれば、まだ一考の余地はありますが。。。
松木さん、いつもご返答ありがとうございます^_^。
そもそも松木さんのお言葉をまんま参考にできるはずもないジジイライダーの戯言、どうぞお許しください。
ドマーネから始まったロードバイク人生ゆえ、ボントレガー一択でやってまいりましたが、そこそこ乗れるようになってきた?と自惚れもあり、いろいろ試したいなと思っております。
松木さんのホイールに関する書き込みは、Lunが久々ですね^_^。 またぜひ、ホイールのインプレを期待しております!