松木です。

 

世間でジワジワと人気が出てきているSACRAホイール。

 

先日、その開発者である田中さんが出版した本を取り上げました↓

『「ロードバイク本音のホイール論」を読んだ感想』

 

どうやら現在の「4G-50」の上位版に当たる新作
「4G-50-JX」「4G-50-CX」が発売されるようです。

 

せっかくなので、現行のSACRAホイールについても
少し書いて話しておこうと思います。

 

クリンチャーのディープリムモデル「4G-50」を取り上げます。

 

【関連記事】
SACRA『KYLE(カイル) 5』実走インプレッション【サクラホイール】
SACRAの新作『KYLE5』ホイール【乗車前インプレッション】
『SACRAホイール50mmをインプレ・レビュー「横風」「ブレーキ」「急登坂性」「快適性」』
『SACRAホイール50mmをインプレ・レビュー「巡行性」「加速性」「緩登坂性」「剛性感」』
『SACRAホイール「4G-50-TU」乗車前インプレ。徹底分析してみた。』
『「ロードバイク本音のホイール論」を読んだ感想』
『4/25発売。「ロードバイク本音のホイール論」について。』

 

スポンサーリンク

SACRAホイール「4G-50-CL」の基本スペック

元シマノ技術者が生むSACRAホイールについて考える。チューブラーモデルも発売予定。 4G-50

『4G-50-CL』
税込価格:¥139,000
公表重量:1590±30g
公表リム重量490±15g(実測510~520g)
リムハイト:50mm
リム幅25mm
スポーク:首折れステンレスSUS304
前輪スポーク:20本ラジアル組
後輪スポーク:24本(フリー側12本タンジェント組、反フリー側12本ラジアル組)

※6/5追記 後輪のハブが2:1組のものに変更されました。

 

SACRAのHPの「4G-50」ホイールの紹介ページ↓

コンピュータ空力解析により最高のエアロ性能を実現!!ホイールに当たる風の大半は0~7.5°!前方はもちろん横風にも抵抗が低い設計としました!SACRAホイールは50mmハイトリムなのに横風にあおられません!エアロ性能は大手メーカーさえ...

 

さて、田中さんの設計思想に触れながら、
このホイールについて考えていきます。

リムについて

第3章 ホイールのウソ・ホント(担当:田中 良忠)について

『ロードバイク本音のホイール論』の中で、
「ホイールはリムが7割。そして、重量よりも剛性と空力形状が重要」
だと説いています。

 

剛性と空力が両立させるには、
ハイトの高いディープリム、そして幅の広いワイドリムが良く、
それがほぼ100%の大手メーカーも採用する、現時点で正解のリム形状です。

 

もちろんSACRAホイールも例外じゃありません。

 

 

ただ、「4G-50-CL」に関して言えば、

「素材、形状に関して突き詰めた感じのない、当たり障りのないリム」

というのが素直な印象です。

 

 

リム幅が25mmというのは、
今の主流からすると2~3mmぐらい狭いですし、
その割にリムの実測重量が510g台と重いです。

 

大手メーカーが、
もっと攻めたリム幅(26~29mm)にして、
限界まで空気抵抗削減を試みつつ、素材にもこだわり、
「剛性」、「空力」、「軽さ」の最高バランスのリムを開発しようとしています。

 

それに比べると、SACRAのリムは霞んで見えてしまうんです。

 

SACRAホイール 4g-50-CL 空力性能 コンピューター解析

SACRAホイール 4g-50-CL 空力性能

SACRAのHPにある空気抵抗の実験結果も、
あくまでコンピューター解析によるものであって、
風洞実験を行っているのではありません。

 

空気抵抗をコンピューター解析だけでできるなら、
どのメーカーも莫大な費用(レンタルで数百万かかると耳にしたことがあります)
を払ってまで、風洞実験なんて行うわけがありません。

 

つまり、
コンピューター解析による空気抵抗実験は、

参考にはなるけども、あてにならない部分を大きいのです。

 

実際、大手メーカーのやり方は、
まず数十~数百パターンの候補形状のコンピューター解析を行い、
その結果の良かったものを風洞実験で確かめていく、という手順を踏みます。

 

SACRAのようにコンピューター解析のみの空気抵抗実験は、
開発費をかけられない妥協的な方法です。

 

しかし、「4G-50-CL」リムがダメだと言いたいわけではなく、
リム価格(税込¥49,800)に対しての性能は見合っていますので、
その点は誤解しないでください。

 

ただ、少なくとも本人が手がけたR9100ホイールのリム以上だとは
自分には思えないだけです。

 

※追記 風洞実験を行ったようです。

空洞実験 SACRAホイール

空洞実験 SACRAホイール

コンピューター解析と実際の風洞実験を比べると
傾向は似てなくもないですが、やはり違いがありますね。

コンピューターだと5°で空気抵抗が下がってますが、
風洞実験だと、そのようにはなっていません。

ハブについて

SACRA ホイール ハブ

ハブはおそらくTNIの「エボリューションハブ」と同じもの。
(現在、TNIハブは軽量版の「エボリューションライト」)

 

フロント:重量85g/税抜6,000円/カートリッジベアリング×2
リア:重量242g/税抜12,000円/カートリッジベアリング×4

 

手組ホイールでよく使われる標準的なハブです。

スポークについて

SACRA ホイール スポーク

使われているスポークは、1.5mmの首折れエアロスポークです。

 

メーカーはPillar製ですが、仮にSAPIM製だったとしたら、
「LASER」というエアロスポークの中でも比較的廉価なモデルです。
(「LASER」が1本180円、トップモデルの「CX-RAY」は1本500円)

 

SACRA ホイール ハブ

リアホイールの組み方を見てみます。

 

フリー側タンジェント組、反フリー側がラジアル組です。

 

24Hの場合、横剛性を出す目的で、
フリー側を4本組、反フリー側を6本組にして、
左右のスポークテンション差を近づける、という考え方もありますが、

SACRAホイールの場合、左右のテンションバランスは考えず、
フリー側を駆動剛性の高いタンジェント組(4本組)、
反フリー側を横剛性に強いラジアル組にする、という考え方で組んでいます。

 

この「反フリー側をラジアル組にする」ということを嫌う人もいますが、
AEOLUSやZIPPを始め、有名メーカーも採用する組み方ですから、
自分としては許せる組み方です。

「4G-50-CL」のインプレ

コンピュータ空力解析により最高のエアロ性能を実現!!ホイールに当たる風の大半は0~7.5°!前方はもちろん横風にも抵抗が低い設計としました!SACRAホイールは50mmハイトリムなのに横風にあおられません!エアロ性能は大手メーカーさえ...

 

脚利きの店長3名のインプレ記事です。

 

他の色んなサイトでも、インプレが見られますが、
書いていることは大体次のような感じで共通しています。

 

「巡行性が良く、高速域での加速のかかりも悪くない。
コーナーやブレーキの安定感もある。

ゼロ発進や急坂ではリムの重さは感じることもあるが、
全体的な性能で考えれば、価格以上のホイール。」

 

スポンサーリンク

新作「4G-50-JX」「4G-50-CX」について

「4G-50-JX」シリーズ

「4G-50-JX」「4G-50-CX」 SACRAホイール
『4G-50-JX-TL』
仕様:チューブレス対応クリンチャー
公表重量:1480g±30g
税込価格:219,000円

『4G-50-JX-TU』
仕様:チューブラー
公表重量:1280g±30g
税込価格:199,000円

 

「4G-50-JX」シリーズは、
ハブに「DT SWISS 240」、スポークに「SAPIM CX-RAY」を使った
軽量性、駆動剛性を向上させたロードバイク用ハイエンドモデル。

リムの変更はありません。

 

「4G-50-JX」「4G-50-CX」 SACRAホイール

「駆動剛性が向上」という根拠は、
反フリー側のスポークがタンジェント組になっているからです。

田中さん曰く、左右ともタンジェント組にすることで、
反フリーラジアル組の場合に比べ、駆動剛性は30%も上がるそうです。

 

スターラチェット DT SWISSスターラチェット DT SWISS

あとはDTハブに内蔵される「スターラチェット構造」

数多くのあるギザギザが噛み合う
このフリーハブ構造によっても駆動剛性は向上しています。

「4G-50-CX」シリーズ

「4G-50-CX」ホイール 「4G-50-CX」 ホイール
『4G-50-CX-TL』
仕様:チューブレス対応クリンチャー
公表重量:1690g±30g
税込価格:145,000円
(クイックレバー仕様、12mmスルーアクスル用交換アダプター付き)

『4G-50-CX-TU』
仕様:チューブラー
重量1450g±30g
税込価格:141,000円
(クイックレバー仕様、12mmスルーアクスル用交換アダプター付き)

 

「4G-50-CX」は、
シクロクロス、もしくはディスクロード用の
ディスクブレーキ対応ホイールです。

こちらは現行の「4G-50」のディスクブレーキ版と考えればいいでしょう。

 

「4G-50-CX」 ホイール ディスクハブ

使われているハブですが、

 

「4G-50-CX」 ホイール ディスクハブ  エボリューションディスクⅡ

TNIの「エボリューションディスクⅡ」と、ほぼほぼ同じものです。

 

スポンサーリンク