松木です。
自分のロードバイクが
どのように作られているのか考えたことがありますか?
金属製のものは、簡単に想像できますが、
カーボンフレームの作り方は、ほとんどの人が知らないはずです。
そんなこと知らなくても何も困ることは無いんですが、
自らの命を預け、日ごろから愛用しているものが
「どのように生み出されているか」を知らないというのも
少し不思議な感じがします。
そこで今回は、
「MERIDA」「COLNAGO」「TIME」「GIANT」の
フレーム製造工場で撮影された動画を見ていくことにします。
”カーボンの奥深さ”を十二分に堪能できて、
かな~~~り面白いですよ(^^)
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GIANTに次ぐ台湾メーカー「MERIDA」の製造工程
MERIDAのフレームは
他の多くのメーカーも採用している
最も一般的な方法で作られています。
MERIDAは台湾メーカーですが、
”設計”と”デザイン”だけは、
ドイツの「MERIDA R&D(研究開発)センター」で行われています。
これはドイツの「CENTURION」を傘下としたことが理由です。
カーボン繊維は「東レ」と「三菱」のものが使われているそうです。
カーボンフレームは、カーボン繊維をエポキシ樹脂に浸して、
上の写真のようにシート状にしたものが基本材料となります。
これを「プリプレグ」と言います(普通に「カーボンシート」とも言う)。
そして、エポキシ樹脂が完全に硬化してしまわない1週間以内に
細かく切断され、フレームの製造に使われていきます。
MERIDAのハイエンドフレームの場合、
1台につき400枚のプリプレグが使用されるみたいです。
ちなみに、スペシャライズドの「S-Works Tarmac SL6」は500枚、
LOOKの「785 HUEZ RS」は350枚です。
その後、シリコン、ポリウレタン、金属などでできた芯材に
決められたプリプレグを、指定の位置・角度で巻き付けていきます。
この工程を「(カーボン)レイアップ」と言います。
写真からも分かる通り、
前三角は一気に作り上げられていますが、
これがいわゆる「モノコック構造」です。
対して、カーボンチューブ同士を
ラグを使って接続するのが「ラグ構造」。
Colnagoの「C60」なんかは、その代表です↓
最近のフレームは、ほとんどが「モノコック構造」。
「ラグ構造」よりも軽く作れる上に、
設計の自由度も高く、フレームの各部分に狙った性能を持たせやすいからです。
動画中の製造の様子から、そのことは理解できると思います。
閑話休題。
芯材にプリプレグを巻き付け終わったら、
それを、重さ400kgにもなるスチール製の金型に挟み込み、
写真右に見える巨大オーブンへと入れて加熱します。
この際、エポキシ樹脂内の細かい気泡と、
余分なエポキシ樹脂を排除するために
フレームの内外から同時に”圧”を加えながら加熱しています。
エポキシ樹脂内の空気が少ないほどフレームの強度は増し、
余分なエポキシを排除するほどフレームは軽く仕上がるからです。
トレックのOCLVカーボンなんかは、
極力気泡を抜くことができる特殊な方法で製造されており、
「高密度で、強いカーボンである」ということが売りになっていますね。
これでカーボンフレームの前三角の部分が出来上がりました。
浸み出してきた余分なエポキシ樹脂は削り取ります。
その後は、前三角と後ろ三角をつなげたり、
BBに金属カップを挿入したりと、
まるでプラモデルのように各パーツを組み立て、
1本のフレームを作り上げていきます。
そして、最終工程の「塗装」へと移ります。
MERIDAの場合、
ロゴや模様はペイントではなく、
「水転写式のシール」を使っているようです。
最後にクリアを吹きかければフレームの完成です。
出来上がったフレームは、
一本一本耐久試験にかけていきます。
ヘッド部分、BB、フォークに力を加え、
「決められた数値内のしなりで収まるか」といったことをテストします。
以上の過程を経て、生み出されたカーボンフレームは、
アルミを遥かに上回る耐久年数を持つのだそうです。
1987年、理想のペダルを求めて始まった「TIME」の製造工程
続いて、意外と歴史が浅く、
「ペダル」から始まったTIMEの製造工程を見ていきましょう。
家族経営みたいな雰囲気と、BGMおかげで、
どこか穏やかな気持ちになる動画になってきますね(^^)
MERIDA、COLNAGOの製造方法を知った上だと、
その特殊さがよく分かります。
まず最初に、
巨大な機械が、まるでカラクリのような面白い動きをしながら、
筒状、もしくはシート状にカーボンの糸を編んでいきます。
まだこの時点では、エポキシ樹脂に浸されません。
そして、ロウ(蝋)でできた芯材にカーボンを配置していきます。
シート状のカーボンは普通に配置していますが、
筒状のカーボンは、靴下を履かせるような感じになります。
MERIDAの場合と違って、
カーボン繊維にエポキシ樹脂を浸透させていませんから、
繊維がかなりバラけてしまっているのが分かります。
バラけた部分をハサミで切って整えたり、
糸で縛り付けたりしていますね。
そうして出来たフレームの原型は
金型に挟まれ、オーブンへと入れられます。
この段階になって、ようやくエポキシ樹脂をカーボンへと浸透させます。
写真は、チューブを介して金型へと注入している様子。
これを「RTM(Resin-Transfer-Molding)法」と言います。
日本語に直すと「樹脂含浸成形」。
「重さ」「強度」「性能」などの個体差を極力抑えることができ、
また、長期的に見ても、カーボン層の剥離も生まれにくいそうです。
芯材に使ったロウは、溶かして吸い出すことで、
ほとんどシワの見られないキレイな内面に仕上げることができます。
TIMEは、とても評判の良いメーカーですが、
フレームの製造工程を見てみると、
その理由の一端が垣間見えた気がします。
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ウナギの養殖から転身した「GIANT」の製造工程
最後は、世界一巨大なメーカー「GIANT」の
フレーム製造現場を少し覗いてみましょう。
「カーボン糸を編んでプリプレグ化」⇒「芯材へのレイアップ」
⇒「オーブンで加熱・高圧成形」⇒「ヤスリがけ・塗装・ロゴ水転写・クリア」
⇒「9時間に及ぶ最終検査」
製造工程は、MERIDAとほぼ同じですから、
説明は無くても何を行っているのかは理解できるはず。
さすが、世界最大という言われるメーカーだけあって、
非常にオートマチックにフレームが作られていきますね(^^)
TIMEの家庭的な雰囲気とは対照的です。
こちらは、フレームへのパーツの組み付け動画ですが、
流れ作業感が面白いですね!
特に、2分40秒ぐらいから始まる
ホイールへのタイヤの組み付けの速さは異常(笑)
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