松木です。
物議を醸しているAltoのテスト。
Enve、Mavicがブチギレ。Altoのカーボンクリンチャー制動熱実験に物申す!
何℃で壊れる?9社カーボンクリンチャーでブレーキをかけ続けた結果。
先日、Boyd、Enve、Mavicの反論の話をしましたが、
さらに、Bontrager、Knight、Specialized、Zippが加わり、
8社中FSE以外の7社の反論が出揃いました。
各メーカーの反論の内容をまとめてみましょう。
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目次
Bontragerの反論
ISO(国際標準化機構)で規定されている
ホイールテスト基準は多くありますが、
Altoが行ったテストは、
どれにも基づいていない独自の手順で行われました。
対して、私たちは製品開発にあたり、
ISOを上回る厳しい基準で、
”プロライダー”や”実世界”を使ってテストを行います。
ここ6年間、世に出た10万台分のAelousホイールで、
事実上「欠陥」と言えるような問題は起こっていません。
Knightの反論
AltoのテストはISOに基づいていないし、
実際のダウンヒルの状況を再現もしていません。
Altoのテスト内容のように、
実際のライドで何分間もブレーキをかけ続けることなどなく、
現実には何度もブレーキレバーから手を離します。
Enveの反論
Altoのテストには、
- メーカー推奨のブレーキパッドを使用していない
- ブレーキの効くホイール(=熱が発生しやすい)には不利な条件
など、多くの欠陥があります。
私たちは何年も前にブレーキ熱に対する安全性はクリアしており、
今ではその問題に関して、もう話題に上ることはありません。
仮に、本当にAltoのリムがEnveより”耐熱性”に優れていたとしても
それは実際のニーズとは無関係(=過剰スペック)であり、
むしろ”制動力”や”重量”といった別の性能を落とすことになります。
Specializedの反論
Altoのテストは、
Altoホイールに都合の良いシナリオで行われました。
ブレーキ熱テストは、
現実の走行になるべく近づけないと意味がありません。
我々は、現実世界のあらゆる状況下で問題無く使えるように
社内、そして第三者機関による厳密なテストを実施していますので、
安心してRovalホイールをお使いください。
Mavicの反論
Altoのブレーキ面を見てみると、
何ら加工されていること無く、ツルツルに見えます。
私たちのカーボンホイールのブレーキ面には
レーザー処理「iTgMax」を施して制動力を高めていますが、
仮にレーザー処理する前の状態でも
Altoホイールと同等かそれ以上の制動力を発揮すると、
100%確信しています。
【実験開始50秒後のホイール回転速度】
Alto | Alto2 | Enve | Zipp | Mavic | FSE | Roval | Bontrager | Boyd | Knight |
32.8 | 31.2 | 31.4 | 32.0 | 32.0 | 32.3 | 31.5 | 30.9 | 31.4 | 32.0 |
また、Altoのテスト内容にも問題があります。
モーターを使い、常に1200wで
ホイールを回転させるドラムを動かしていますが、
速度のばらつきが少ない(上の表を参考)のも不可解です。
私たちの実験によれば、
最大50%の速度差が出るはずなのです。
それから、Altoのテストでは、
”制動負荷”を3.18kgと一定にしていますが、
ブレーキ面の滑り具合に合わせて”制動負荷”を調整するべきです。
つまり、滑るホイールなら”制動力”を確保するために
もっと大きな”制動負荷”を与えて実験しないといけません。
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Boydの反論
Altoのテストは”制動負荷”こそ3.18kgと統一していますが、
各ホイールのブレーキ面の加工はバラバラであり、
実際に各ホイールにかかる”制動力”には大きな差があるはずです。
ブレーキ面を滑りやすく作れば、
Altoのテストを合格できるでしょう。
現在、カーボンクリンチャーというカテゴリーは安全で、
むしろ損傷を加えることのほうが難しいです。
”急勾配”、”高い気温”、”重いライダー”という条件下でも、
安全にカーボンクリンチャーに乗ることができます。
ZIPPの反論
私たちは”安全性”を最優先事項にしており、
2010年までカーボンクリンチャーホイールを
リリースしなかったのはそのためです。
私たちの実験装置、実験手順は、
現実世界のブレーキングを正確にシミュレートしています。
また、ISO4210、EN14781などの国際安全基準、
UCI認可、実績ある自社の安全基準など、
全てにおいてZIPPホイールはクリアし、安全が保障されています。
Firecrestシリーズが発売されてから10万セット売れましたが、
「熱関連でのリムの故障」と実質言えるものは、1つも出ていません。
Altoへの反論に対するAlto反論
Altoはあくまで
- Altoホイールに使用される樹脂が優れているということ
- 過剰なブレーキ熱を加えた際のカーボン素材の挙動を見てみること
が目的の実験であって、
「他メーカーのものが安全ではない」と言いたいわけではないし、
20分間ブレーキをかけ続けるという
ISOに基づかず、現実世界をシミュレートもしていない
実験手順だったことも問題は無かったと主張します。
しかし、派手に他社のホイールを破壊しまくり、
多くの誤解を招きかねない内容でしたから、
そうは問屋が卸さないでしょう。
Altoに軽率な部分があったと言わざるを得ません。
ただ、昨日アップされたAltoホイールの耐衝撃実験動画を見る限り、
Alto自身は反論のことをあまり気にしてなさそうですね(笑)
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