松木です。
「alto(アルト)」というホイールメーカーが、
ある面白いテストを実施しました。
上の装置を使い、カーボンクリンチャーが
摩擦熱でぶっ壊れるまでブレーキをかけ続ける
といった、なかなかクレイジーな実験です。
その目的は、
「alto」を含めた9種類のカーボンクリンチャーの
「耐熱性」「放熱性」を比較することにあります。
では、早速見ていきましょう。
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実験内容
比較したのは、下の9種類のホイールです。
左から順に
- Alto「CC52」
- ENVE「SES 4.5」
- Zipp「404 Firecrest」
- Mavic「Cosmic Pro Carbon SLC」
- FSE「EVO 55C」
- Roval「CLX 50」
- Bontrager 「Aelous 5 TLR D3」
- Boyd(ボイド)「60mm Clincher」
- Knight(ナイト)「65 Clincher」
FSE、Boyd、Knightなんかは
ほとんど馴染みがありませんね(^^;
Reynolds、Shimano、Campagnoloのホイールも
テスト候補に上がっていたそうですが、
”タイミング”や”条件”が合わず、
残念ながら今回は見合わせられています。
こちらが、ホイールにブレーキをかけ続ける(最大1200秒)装置。
(室温76℉≒24.4℃)
複雑でもないので、特に説明の必要はないでしょう。
この装置を実走で置き換えるならば、
10%強のダウンヒル中、
握力3.18kgでブレーキをかけ続け、
速度が32.2km/h前後で下り巡航状態にある
といった、イメージに近いと思ってください。
ちなみに、3.18kgというのは小さそうですが、
意外としっかりブレーキをかけた状態です。
◆実験動画フル(18分20秒)↓
◆壊れる瞬間のみを切り取った動画(1分)↓
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結果と考察
最後まで破損しなかったのは「alto」のみです。
(Phase 2は、レバーを引く力を4.08kgにUP)
また、この結果は、
リムが破損するまでブレーキをかけ続けた結果であって、
熱変性しておかしくなる時間・温度ではない点には注意。
熱変性は破損より前に起こっているはずです。
ちなみに、自分は
Bontrager「Aeolus 5 TLR D3」(9種類の中では下位)を
ヒルクライムレースを含めた色んな環境で使い続けていますが、
リムの熱変性は起きていません。
温度変化のグラフです。
「最初の5秒ほどで急激に上昇し、徐々に緩やかになっていく」
といったリムの温度変化が見られます。
Bontrager「Aeolus 5 TLR D3」を例に挙げると、
具体的数値は下のようになっています。
- 0秒:21.5℃
- 5秒:44.5℃(+23.0℃)
- 10秒:56.8℃(+12.3℃)
- 15秒:69℃(+12.2℃)
- 20秒:77.9℃(+8.9℃)
- 25秒:86.3℃(+8.4℃)
- 31秒:92.0℃(+5.7℃)
- 36秒:97.1℃(+5.1℃)
- 40秒:104.2℃(+7.1℃)
続いて、放熱させた際の温度変化グラフです。
「高温になったカーボンリムは急激に冷える」と思い込んでいましたが、
このグラフを見る限り、どうやらそうではなさそうです。
先ほどと同じく
Bontrager「Aeolus 5 TLR D3」を例に挙げると、
- 0秒:約137.8℃
- 50秒:約95.6℃(-42.2℃)
- 100秒:約81.7℃(-13.9℃)
- 150秒:約72.2℃(-9.5℃)
- 200秒:約65.0℃(-7.2℃)
- 250秒:約57.2℃(-7.8℃)
- 300秒:約53.3℃(-3.9℃)
- 350秒:約51.1℃(-3.3℃)
最初をもう少し細かく分けると、
- 0秒:約137.8℃
- 10秒:約115.6℃(-22.2℃)
- 20秒:約107.2℃(-8.4℃)
- 30秒:約101.7℃(-5.5℃)
- 40秒:約97.8℃(-3.9℃)
- 50秒:約95.6℃(-2.2℃)
最初10秒ほどこそ急激に温度は下がるものの、
それ以降は、想像以上に下がりにくく、
「カーボン素材の放熱性が非常に悪い」ことが分かります。
カーボンリムを熱変性させないために
「熱変性が始まる温度」こそ明らかになっていないものの、
「ブレーキ面の温度がどう変化しているのか?」
という謎を解明している、とても興味深い実験でした(^^)
今回試していないメーカーを集めた第二段の予定もあるそうです。
最後、カーボンクリンチャーを
ダウンヒル中のブレーキ熱でダメにしないための
”4つのポイント”を列挙しておきます。
- ブレーキ熱が発生しにくいシューを使う(ex.「Black Prince」)
- リムにシューを当て続けない(軽く効かせ続けるのが最悪)
- 熱が発生しやすい前ブレーキばかりに頼るのは危険
- 1~3で対応しきれない場合は、停止してリムを休ませる
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はじめまして、こんにちは(^^)/
カーボンホイール目の前で崩壊したのを見たことあります。
下りで、ブレーキングで変な音出してるなって思った瞬間崩壊しました。
確かファストフォワードだったと思います。
なんとか転倒をまぬがれたみたいですが、カーボン樹脂が熱に弱いことははじめから知ってましたので、キャリパーブレーキが当たる部分はアルミリム以外は信用していません。
シゲッチさん、こんばんわ。
おお、それは恐怖‥‥
ファストフォワードはあまり熱に強くありませんね‥‥(^^;
ブレーキでかけ方で熱対策はできますが、
やっぱりアルミリムに勝るものはありません。
FastFowardってすごい安いやつですね。そういう弱点がありましたか。とても参考になる情報ありがとうございます。