松木です。
前回に続き、制動力テスト。
【実験1】「R9100」vs「9000」。新旧DURAブレーキ比較インプレッション。
今回はカーボンリム用シュー3種類の比較。
用意したシューは新品ではなく、
どれもそれなりの期間使用してきたものです。
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3種類それぞれのシューの特徴
Campagnolo「BR-BO500X」。重さ12.8g。
カンパニョーロのカーボンホイールによく付属してくるシューです。
「ブレーキの効きが良い」ということで、
カンパホイールユーザーでなくても
このシューを単体で購入して使っている人もいるぐらいです。
SwissStop「Black Prince」。重さ13.3g。
カーボンリムホイールに付属するシューが気に入らなくて交換する場合、
一番選ばれているのが、この「ブラックプリンス」です。
科学的データを公表していて信憑性がありますし、
リムの熱変性の原因となる「摩擦熱」にまで配慮されていて、
さすがブレーキパッド専門メーカーだけありますね(^^)
スイスストップ製のブレーキパッド3種類の比較データ。
(横軸:レバーを握る強さ、縦軸:ブレーキ力)
- ブラックプリンス(カーボンリム用)
- イエローキング(カーボンリム用)
- オリジナルブラック(アルミリム用)
「イエローキング」は”握り始めから強い効きを発揮する”のが売りなのに対し、
「ブラックプリンス」は握り始めの制動力が抑えられており、
”細かいブレーキコントロール”が可能となる設計で作られています。
「イエローキング」⇒素早く自転車を止めたいTT等
「ブラックプリンス」⇒アップダウン、コーナーの多い複雑なコースを走る場合
という使い分けのようです。
また「ブラックプリンス」は、カーボンホイールの弱点である
「雨天時の制動力」「ブレーキ時に発生する摩擦熱」に関しても
「イエローキング」に比べて、優れた数値を叩き出しています。
Bontrager「コルクブレーキパッド」。重さ6.5g。
ボントレガーのカーボンリムホイールに付属してきます。
- 消耗が早い
- 軟らかいのでリムへの攻撃性が少ない
- ゴム製よりも制動力が劣る
- 軽い
一般的に上のように言われるコルクシューですが、
長く使っていた印象では、①と②は当てはまりません。
ゴム製に比べて、特に消耗しやすいとは感じませんでしたし、
比較的短期間で、
黒く硬いものが表面に付着した状態になってしまい、
こうなると、リムへの攻撃性は高そうに思えます。
この正体は、
ブレーキ熱によってコルクシュー、もしくはリムのいずれかが
溶け焦げたものだと考えられます。
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実走比較インプレッション
まずはカンパ。
色んな方が言っているように制動力はかなり強い。
リムへの当たり始めからしっかり効くので、
一瞬つんのめる感覚があるぐらいです。
なので、他のシューから交換した場合は、
少し慣れておく必要があると思います。
それともう一点、
今回比較した3種類の中では、唯一「音鳴り」がしました。
ですが、そこまで大きい音ではなかったですし、
鳴るタイミングも限定的ではありました。
続いて、スイスストップ「ブラックプリンス」。
商品説明のグラフの通り、
リムへの当たり始めの効きはカンパより穏やかですが、
ある一定の強さ以上で握ると、制動力がグイッと上がります。
緩やかに減速させる「コントロール性」と
急減速する「制動力」をうまく兼ね備えている気がしましたね。
最後は、ボントレガーのコルクシュー。
カンパ、スイスストップを使った後だと明らかだったんですが、
絶対的に制動力が弱い。
慣れていれば、効きの弱さを考慮して
早めにブレーキをかけることで対処できますが、
「カンパ」「ブラックプリンス」と
同じ速度でコーナーに進入してしまうと、
コースアウトしてしまいます(^^;
「高速の下りコーナー」や「雨天時」といった
特に制動力が必要な場面では、
コルクシューは明らかに不利だと感じました。
3種類の内、どのシューを使うべきかという結論
午前中から始めたテストも、
日が落ちるまでかかってしまいました。
3種類のシューについて、
これまで長期的に使って感じたこと、
今回の実験で分かったことを表にまとめます。
カンパニョーロ 「BR-BO500X」 |
スイスストップ 「ブラックプリンス」 |
ボントレガー 「コルクシュー」 |
|
制動力(晴天) | 常に強い | 強いが、リムへの 当たり始めはマイルド |
弱め |
制動力(雨天) | かなり効きにくくなる | かなり効きにくくなる | 全然効かない |
コントロール性 | 〇 | 〇 | ▲ |
ブレーキ熱 | 発生しやすい | 発生するものの 他の2種類よりはマシ |
発生しやすい |
リムへの攻撃性 | 普通 | 熱が発生しにくい分だけ 攻撃性は低いと言える |
普通 |
シューの耐摩耗性 | 普通 | 普通 | 他の2種類よりは わずかに早い |
その他の特徴 | 他の2種類よりは 「音鳴り」がしやすい |
無 | 重量は、 ゴム製シューの半分程度 |
”雨天時の制動力”に関して、
「カンパ」と「ブラックプリンス」を比べて、
「どちらかが特別効く」とは感じませんでした。
雨にも強いと豪語する「ブラックプリンス」でも不十分です。
カーボンリムの雨天での制動力を上げるためには、
ブレーキシューだけでは対処しきれず、
リムのほうで”溝”や”特殊加工”を施す必要があります。
そして、”コントロール性”については、
「カンパ」と比べて「ブラックプリンス」のほうが高いとは一概に言えず、
慣れ、好みといったの問題になってくると思います。
「カンパ」のように
「リムへの当たり始めから効くほうがコントロールしやすい」
と感じる人もいるでしょう(自分もそっちのタイプ)。
最後に、3種類のどれを選ぶのかという結論。
- 絶対的に制動力足りないコルクシューは無い(ヒルクライム限定)
- ”制動力の高さ”を重視するなら「カンパ」
- 制動力以外も考慮すると「ブラックプリンス」が一番バランスが良い
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