松木です。
ロードバイクチューブと言えば、
ブチルが一般的ですが、
性能を考えると、ラテックス一択な気がします。
「乗り心地が良い」「転がり抵抗が低い」
こういったことは、もはや分かり切ったことですが、
「一日で何気圧抜けるのか?」
「パンクはどれぐらいの頻度でするのか?」
「何ワットの出力が抑えられるのか?」
「何℃まで耐えられるのか?」
「カーボンクリンチャーとの組み合わせは危険なのか?」
このあたりの疑問を
「SOYO(左下)」「ミシュラン(右下)」「ボントレガー(上)」「ヴェレデステイン」
のラテックスチューブを実際に使ってみて、検証していきます。
「Vittoria」のラテックスチューブも比較対象とします。
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目次
ラテックスチューブ5種類のスペック
まずは、各チューブの詳細データを表にまとめておきます。
SOYO | ミシュラン | ボントレガー | ヴェレデステイン | Vittoria | |
ラインナップ | 23-25c | 22-23c | 25-30c | 20-25c | 19-23c/ 25-28c |
バルブ長(mm) | 42/60 | 40/60 | 51 | 50 | 48 |
バルブコア | 外せる | 外せない | 外せる | 外せる | 外せる |
実測重量 | 51g(42㎜バルブ) | 79.6g(40㎜バルブ) | 公表重量83g | 52.5g | 公表重量75g(19-23c) 85g(25-28c) |
実測厚さmm | 0.4 | 0.65 | 0.6 | 0.4 | ? |
実測幅mm | 23 | 30 | 25 | 23 | ? |
耐パンク性 | やや弱い | 強め | 強め | やや弱い | ? |
色 | 肌色 | 青緑 | エメラルド | 肌色 | ピンク |
7barからの 一日の減圧 |
3気圧 | 1.4気圧 | 1.4気圧 | 3気圧 | 約1気圧 |
税込定価 | ¥2,700 | ¥2,200 | ¥3,080 | ¥1,870 | ¥1,848 |
オススメ度 | ★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★ | ? |
「SOYO」のラテックスは、一日で3気圧以上の空気が抜けます。
対して「ミシュラン」や「ボントレガー」のものは、
厚みがある分だけ空気抜けは遅く、
実際に測定した結果、両方とも同じ1.4気圧減でした。
それから、VREDESTEINのラテックスチューブですが、
SOYOと製造元は同じです(左:SOYO、右:VREDESTEIN)。
ですから、830円高いSOYOを選ぶ理由は、特に見当たらないです。
ラテックスチューブはパンクしにくいのか?
SOYOの箱の横には、上のような写真が載せられています。
これは「伸びやすい=穴が開きにくい」という理屈です。
写真と同じように、千枚通しを刺してみると、
確かにブチルよりは伸びますが、
これ以上刺そうとすると、普通に穴が開きます。
3年ぐらいSOYOのラテックスチューブを使っていますが、
実際に使ってみて感じた耐久性は、
「薄い割には意外と強い」程度のものです。
今までSOYOで2~3回はパンクを経験していて、
ペース的にはおおよそ1000~1500km毎にパンクしていることになります。
それに比べると「ミシュラン」と「ボントレガー」の
ラテックスチューブはパンクしにくい気がします。
この2種類は、SOYOと同じぐらいの頻度で使っていますけど、
今まで1度しかパンクした記憶がありません。
「よほどのことが無い限りパンクはしない」といった印象で、
厚くて重い分、耐パンク性能は高いということですね。
”あの写真”は本当なのか検証してみた
SOYOラテックスチューブに空気を入れたこの画像。
果たして本当なのでしょうか?
穴は開いていないけども、
やたらと空気抜けが酷くなって使い物にならないSOYOで実験。
耳栓をセットして、割れるまで空気を入れてみようと思います。
極薄なので、少し空気を入れると、
写真のように、特に薄い部分から大きく膨れ上がってきます。
大分とは入ってきましたね。
膨れ上がっている部分の厚さは、およそ0.01~0.02mm程度しかありません。
おおぉ~凄い!!
どうやら最初の写真は本当だったようです(^^)
かなり危険な臭いがしますが、更に空気を入れていきます。
すると、すぐに割れました(笑)
ラテックスチューブを使うと、どれ程度の出力を削減できるか?
タイヤの”路面抵抗”、”耐パンク性能”に関して
おそらく世界一の情報を持っている第三者機関
「BICYCLE ROLLING RESISTANCE」の検証結果です。
【条件】
・時速29km/h
・負荷42.5kg(体重+車体÷2をと考えると、片輪にかかる負荷はこれぐらい)
【比較タイヤ】
・シュワルベONE チューブレス 25c
・シュワルベONE+ミシュランのラテックスチューブ
・シュワルベONE+コンチネンタルの軽量ブチルチューブ(70g)
・シュワルベONE+コンチネンタルの標準ブチルチューブ(100g)
【結果】
ラテックスチューブを使用した場合、
標準的なブチルチューブと比較すると-1.7W、
軽量ブチルチューブと比較しても-0.8W。
これが両輪だとすると、
それぞれ2倍の-3.4W、-1.6Wということになります。
これはビッグプーリーなんかよりも効果が大きい数字です↓
ビックプーリー頂上決戦。大手7社20種類を徹底比較してみた。
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「ラテックスチューブは熱で破裂する」は本当か?
”ラテックスチューブとカーボンクリンチャーの組み合わせは危ない”
これはブチルに比べて低い温度で解けるラテックスチューブと、
放熱性能の低いカーボンクリンチャーの相性が悪く、
「峠の下りでバーストする恐れがある」とされているからです。
SOYOのラテックスチューブをライターで、軽く炙ってみました。
赤丸部分が、茶色く溶けているのが分かります。
下っている最中に、この現象が起こると考えるとゾッとしますね‥‥
しかしながら、
「下りのブレーキングによってカーボンリムは何度まで上がり、
ラテックスチューブは何度まで耐えられるのか」
という、具体的な数字というのは分かりません。
ただ、カーボンクリンチャーリムの温度上昇のほうは、
実際に検証した人がいます。
以下のサイトの記事です。
この記事によると、チューブの触れるリムビート部分は
75℃以上(110℃未満)までは上がるということが明らかになっています。
では、ラテックスチューブのほうは、どうでしょうか?
天然ゴムの耐熱性を調べてみても、
65℃から110℃までの記述が見られ、かなり幅が広いです。
先日、『七葛』を行った際、
前輪「アルミリム+ボントレガーのラテックスチューブ」の組み合わせでしたが、
急で長い下りでも、時々停止してリムを休ませれば、何も問題は起きませんでした。
それでもアルミリムに指を当てると、
一瞬しか触れないほど熱くなっていたので、
少なくとも70℃ぐらいまでは上がっていたと思います。
(ちなみに、後輪に関しては、
「Aeolusカーボンクリンチャー+SOYOのラテックスチューブ」の組み合わせでしたが、
ずっとブレーキをかけっぱなしにでもしなければ、
前輪のように高温にならないので、まったく問題ありません。)
実際のところ、ラテックスチューブは何度まで耐えられるんだろうか‥‥
そこで、SOYOラテックスチューブを1分間煮沸してみました。
まるでペンネ(笑)
これで100℃の温度にさらされた際の変化がはっきりします。
左が「煮沸無し」で、右が「煮沸有り」。
縮んだり変色したりせずに見た目は同じ、
手で伸ばしてみた弾力性も同じで、
まったく変化は見られませんでした。
結果、ラテックスチューブには、
予想以上の耐熱性があることが分かりました。
それでも、前輪のカーボンクリンチャーは
瞬間的に150℃以上にも達することもありえるようですから、
やはり、「前輪カーボンクリンチャー+ラテックス」が良くないのは間違いありません。
命を懸けてまで使うものでもありませんからね(^^;
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まとめ
色んな角度からラテックスチューブを見てきましたが、
やはり「使わない手はない」というのが結論です。
「SOYO」と「ヴェレデステイン」のものは、
軽さに特化させ、限界まで性能を高めている分、
「耐パンク性」は低めで「空気の抜けも早い」というデメリットがあります。
それでも明らかに速く走れるので、
ここ一番というときには「ヴェレデステイン」を使うのはアリだと思います。
対して、「ミシュラン」「ボントレガー」「Vittoria」の3種類は、
多少重たいことに目をつぶれば、バランスがとても良いですね。
「ボントレガー」は廃版になってしまっていますから、
「ミシュラン」か「Vittoria」がオススメで、
Amazonだと「Vittoria」は1,340円台で買えて、かなりお買い得です。
「ミシュラン」のラテックスチューブの推奨は23cまでですが、
25cのタイヤでも問題なく使えます。
明らかに薄いSOYOのほうは「25cまで使える」としていますから、
対応タイヤ幅は、あくまでメーカーの”自己申告”なのでしょう。
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> 世に出回っているラテックスチューブは
> 以上の5種類で全部です
challengeのもありますよ~
19~28Cと29~38Cの二種類です(後者は最近ずっと品切れですが)
ご指摘ありがとうございます。
完全に失念していましたが、確かにchallengeもありました。