松木です。
Bicycle Rolling Resistanceが、
ついに日本メーカー「パナレーサー」に目を向けました。
テストされたのは2モデル。
オールラウンド『Race A Evo 3』と軽量モデル『Race L Evo 3』。
なかなか面白い結果が出ています。
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目次
パナレーサー『Race A&L Evo 3』の特徴
【コンパウンド:ZSG(Zero Slip Grip)デュアルコンパウンド】
雨天時にも高いグリップ力を誇る新開発素材。
【コンパウンド形状:オールコンタクトトレッドシェイプ】
接地面をわずかに尖らし、車体を傾けた際の接地面積を増やせる形状。
【ケーシング:AX(Advanced Extra)-αコード】
柔軟性に優れ、転がり抵抗も小さい超軽量0.14mm極細コードを高密度に織り込んでいる。
【耐パンクベルト:プロタイトシールド】
高い貫通パンク強度を誇る補強材。
接地面がやや尖った、山なりのコンパウンド形状は、
他のメーカーには見られないパナレーサー独自の技術と言えますね(^^)
また、”A”(左)と”L”(右)の主な違いですが、
「耐パンクベルトがサイドまでカバーしているかどうか」
「コンパウンドの厚さ」の2点です。
”A”は全面が「プロタイトシールド」に覆われており、
また、コンパウンドが”L”よりも分厚いです。
実験方法
転がり抵抗テスト
【空気圧】4.1bar、5.5bar、6.9bar、8.3barの4段階
【速度】約29km/h
【荷重】42.5kg(人+車体を85㎏と想定し、片輪なので÷2)
【気温】21~23℃
【チューブ】Continental『Race』ブチルチューブ(約100g)
耐パンク性能テスト
1mmのスチールニードルを押し付け、
刺し込むのに必要な力を測定し、その力に応じて点数付け。
(例えば、10点は5点の2倍の力を要することを意味する)
このテストは「センター」と「サイド」の両方で実施されます。
実験結果
転がり抵抗は良くない
画像クリックで拡大します。
また、Bicycle Rolling Resistanceのページはこちら。
『Race A Evo 3』の転がり抵抗
総合49/59位、クリンチャー部門21/46位
『Race L Evo 3』の転がり抵抗
総合31/59位、クリンチャー部門36/46位
”レース用”と謳っている割に「転がり抵抗」はパッとせず……
対して「耐パンク性能」に関しては、
特別に分厚い訳でもないのに、抜群に高いですね!
『Race A Evo 3』に関しては、
最強のコンチネンタル『Gatorskin』と並ぶ16点+9点=25点であり、
同着の総合トップ。
軽量モデルの『Race L Evo 3』でさえ、
「パンクしにくい」との呼び声高い
コンチネンタル『4000s Ⅱ』を上回る成績を叩き出しています。
「プロタイトシールド」でカバーされていない
『Race L Evo 3』のサイドが”6点”と高いことから察するに、
ケーシング素材「AX-αコード」が強靭なのだと思われます。
なぜ転がり抵抗が大きいのか?
先日、「転がり抵抗」の主な正体は、
「タイヤが地面から離れる際に、”熱”として失ってしまう運動エネルギー」
言い換えれば「ヒステリシスロス」だという話をしました。
おそらく『Race A&L Evo 3』は、
タイヤゴム、ケーシング、耐パンクベルトにおける(いずれかと断定するのは難しい)
「ヒステリシスロス」が大きいのでしょう。
次のような理屈が推測されます。
「耐パンク性能」が高い
⇒それだけ硬く、「柔軟性」は乏しい傾向にある
⇒「柔軟性」の乏しいタイヤは、”熱”が発生しやすい
⇒ヒステリシスロスが大きく、つまり「転がり抵抗」も大きい
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結論:使用するなら『Race L Evo 3』一択
正直、今回の結果を受けて、
『Race A Evo 3』はレース用クリンチャーとしては、
いくらなんでも「転がり抵抗」が悪すぎます……
他メーカーの”練習用”タイヤにすら負けていますからね(^^;
『Race L Evo 3』であれば、
「転がり抵抗」はまだ許せる水準にありますし、
「重量」は25c/199gと十分に軽量、
その割に「耐パンク性能」がかなり高め。
価格も4000円台とお手頃のため、
まだ使ってもいいかなという気はしますね。
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