松木です。

 

転がり抵抗の真実!「タイヤと地面との摩擦による抵抗」ではない話。

何となく使っている「転がり抵抗」という言葉。

 

転がり抵抗の真実!「タイヤと地面との摩擦による抵抗」ではない話。

冷静に考えると、上図の①のように
地面とタイヤはこすれている訳ではありません。
(ホイールがロックしたような状態)

 

実際の所は、ホイールが回転しているため、
地面とタイヤは基本的に接地しているだけで、
そこに発生する”こすれによる摩擦”は限りなく0(図②)。

 

 松木です。 お馴染みBicycle Rolling Resistanceが面白い実験を実施。 それが コンチネンタル『GP4000sⅡ』28c新品 アイルランドに住むAlekさんが2年間8000km乗りつぶした同タイヤこの両タイヤの”転がり抵抗”、”耐パンク性能”を比較しようというもの。  一般的に、タイヤの交換距離は”3000km”(後輪はもう少し短い)と言われます。 そして、使い古したタイヤは、「グリップ力が低下する」「転がり抵抗が悪化する」「パンクしやすくなる」といった性能低下が考えられています。  果たしてこ...

 

こちらの記事でも話しましたが、
『4000s Ⅱ』タイヤの場合、8000kmも走っての摩耗はたった0.8mmであり、
”こすれによる摩擦”は非常に微々たるものでしょう。

 

では、「転がり抵抗」とは一体……

 

【タイヤ熟考Ver2,3の記事】

 松木です。 前回、タイヤの「転がり抵抗」の主な要因が、「タイヤと地面との摩擦による抵抗」ではなく、タイヤが地面と接地し、変形した際に発生する熱によるエネルギー損失、つまり「ヒステリシスロス(内部損失)」だという話をしました。  そして、さらに最後には、「転がり抵抗」=「ヒステリシスロス」+「インピーダンス」として、「インピーダンス」という要因にも触れて終わりました。 今回は、この「インピーダンス」にフォーカスした話。 【タイヤ熟考Ver3の記事】 インピーダンスの概要...

 

 松木です。 Ver1,2で、タイヤの「転がり抵抗」に関してかなり深い所まで掘り下げて考えてきました↓  ただ、性能の優れたタイヤとチューブを揃え、さらに「転がり抵抗」の知識を身に付けたところで、最後、空気圧設定を誤ってしまえば、すべてが台無しです…… そこで最終回となるVer3では、 「タイヤに何気圧入れるべきなのか?」「Myベスト空気圧を見つける手っ取り早い方法」 この2点を考えていこうと思います。 タイヤに何気圧入れるべきなのか?かなり前になりますが、「空気圧設定」に関...

 

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「転がり抵抗」の正体

「転がり抵抗」の正体

地面に接地したタイヤは、体重と車体の重みで変形します。

そして、タイヤを変形させるのには、
どこからか”エネルギー”を供給してやる必要があります。

 

このエネルギーは、どこから賄われるかと言うと、

「転がり抵抗」の正体

前進するための運動エネルギーです。

 

「転がり抵抗」の正体

次に、地面からタイヤが離れると、
「空気圧」それから「ゴムの弾性」によって、タイヤは元に戻ります。

「転がり抵抗」の正体

すると、先ほどとは逆に
変形エネルギーは運動エネルギーに変換されます。

つまり、エネルギーが返される形になる訳です。

 

 

以上の「運動エネルギー⇔変形エネルギー」の変換効率が、
100%になることが理想ではありますが、

 

「転がり抵抗」の正体

現実には、タイヤが地面から離れて元に戻る際に、
”熱”としてエネルギーの一部を失ってしまいます。
(自動車では、空気圧の極端に低いタイヤで高速走行すると、
異常発熱によってタイヤが発火してしまうケースもあるのだそう)

 

つまり、「転がり抵抗」の主な正体とは、
熱の発生によって失われた運動エネルギー。

 

このエネルギー損失のことを
「ヒステリシスロス」(または「内部損失」)と呼びます。

「転がり抵抗」を小さくする方法

「転がり抵抗」の正体が分かれば、
次は 「転がり抵抗」を小さくする方法を考えてみましょう。

 

理屈はそう難しくありません。

 

「転がり抵抗」を小さくする方法

タイヤが地面から離れて元に戻る際の”熱”の発生を抑え、

 

「転がり抵抗」を小さくする方法

「運動エネルギー⇔変形エネルギー」の変換効率を高めればいいのです。

 

これにはいくつか効果的な方法が考えられます。

Bicycle Rolling Resistance

「転がり抵抗」を小さくする方法 Bicycle Rolling Resistanceを参考にタイヤ選び

まずは、お馴染み「Bicycle Rolling Resistance」

 

「転がり抵抗」の要因こそ千差万別ではありますが、
上位のタイヤほど「運動エネルギー⇔変形エネルギー」
の変換効率が高いことは間違いありません。

 

”信憑性”という点において、実験データに勝るものはなく、

ここが公表しているタイヤの「転がり抵抗」のデータは、
具体的なワットで順位付けされていて、とても参考になります。

軽量タイヤ&チューブ

「転がり抵抗」を小さくする方法 軽量なタイヤ、チューブを使う

トレッド(接地面のゴム)の厚さは、転がり抵抗と大きな関係があり、
トレッドが薄いほど「転がり抵抗」は小さくなります。

 

これは何となしには想像できますね。

 

薄いタイヤほど変形させるのに必要なエネルギーが小さく、
ひいては、元に戻る際に発生する”熱”も小さくなるからです。
(”チューブ”に関しても当てはまる理屈で、その究極が「チューブレス」)

 

「転がり抵抗」を小さくする方法 軽量なタイヤ、チューブを使う

”軽さ”が売りである各メーカーの「超軽量タイヤ」ですが、

少しでも素材を減らそうとトレッドは薄くつくられているため、
必然的に「転がり抵抗」も小さくなって、一石二鳥。
(「Bicycle Rolling Resistance」のデータでも、上位に軽量タイヤが多い)

 

 松木です。 ヨーロッパのほうの通販サイトで、”ツール・ド・フランス スペシャルエディション”として、コンチネンタル『4000 RS』なる新型タイヤが発売されています。 RSは「Renn Spec」の略。ドイツ語で”レース仕様”を意味する頭文字です。  1年ほど前、上の記事で「コンチネンタルの新型タイヤが試されている」という話をしましたが、それが、一般向けに形となったものだと考えられますね。 【『GP4000 RS』の関連記事】  コンチネンタル『GP4000 RS』と『GP 4000s Ⅱ』の比較 スペッ...

 

限定発売されているコンチネンタル『GP4000 RS』なんかは、
まさにこの「薄い=速い」という特性を活かした代表格ですね(^^)

 

ラテックスチューブ

「転がり抵抗」を小さくする方法 ラテックスチューブ

ラテックスチューブは「乗り心地が良い」と同時に
「転がり抵抗が小さい」ことも広く知られています。

 

ラテックスチューブを触れば分かりますが、
ブチルチューブよりも”ボヨンボヨン”していて、
いかにも弾性が高そうな素材です。

 

「弾性が高い」という事は、
「運動エネルギー⇔変形エネルギー」の変換効率が高いという事。

言い換えれば「ヒステリシスロスが小さい」のです。

 

ラテックスチューブ比較記事↓

 松木です。 ロードバイクチューブと言えば、ブチルが一般的ですが、性能を考えると、ラテックス一択な気がします。 「乗り心地が良い」「転がり抵抗が低い」 こういったことは、もはや分かり切ったことですが、 「一日で何気圧抜けるのか?」「パンクはどれぐらいの頻度でするのか?」「何ワットの出力が抑えられるのか?」「何℃まで耐えられるのか?」「カーボンクリンチャーとの組み合わせは危険なのか?」 このあたりの疑問を「SOYO(左下)」「ミシュラン(右下)」「ボントレガー(上)」「ヴェレ...

 

「転がり抵抗」を小さくする方法 ラテックスチューブ

ただ単に”速さ”だけ求めるなら、
50gほどしかないSOYOもしくはVREDESTEIN(両者の製造元は同じ)なのですが、

「空気の抜けにくさ」「耐パンク性能」とのバランスが取れている
ミシュラン『Air Comp Latex』が現実的で、自分はこのチューブを使用中。

 

25cタイヤ

「転がり抵抗」を小さくする方法 25cタイヤ

23cよりも25cの「転がり抵抗」が小さいのも周知の事実でしょう。

 

「転がり抵抗」を小さくする方法 25cタイヤ

こちらはGOKISOの資料。

 

これはGOKISOワイドリムとナローリムの比較ですが、
「GOKISOワイドリム⇒25c、ナローリム⇒23c」
と置き換えて考えても、何ら差し支えありません。

 

25cのほうが、接地面積が短い
⇒ホイールの沈み込みが少ない=タイヤの変形が少ない
⇒駆動ロス(熱の発生)が少ない=「運動エネルギー⇔変形エネルギー」の変換効率が高い
⇒「転がり抵抗」が小さい

 

面白いですよね(^^)

 

「転がり抵抗」を小さくする方法 25cタイヤ

「Bicycle Rolling Resistance」でも、過去に
タイヤの太さによる「転がり抵抗」の比較実験が実施されています。

 

23cと25cの6.9barの箇所に着目すると、0.2wの差があります。

 

他の部分の数値データも参考に考察すれば、

23c/6.9barの「転がり抵抗」13.1w≒25c/6.6barの「転がり抵抗」

と分かり、25cの場合、23cよりも-0.3w下げても遅くはなりません。

空気圧を上げる

「転がり抵抗」を小さくする方法 空気圧を上げる

空気圧を上げるほど、タイヤは変形しにくくなりますから、
「ヒステリシスロス」、つまり「転がり抵抗」は小さくなります。

 

なので、グリップ力を必要としないヒルクライムレースにおいて、
通常よりも空気圧を0.5~1.5bar高めに入れておく人も多いです。

 

ですが、実際の路面では違います。

 

「転がり抵抗」を小さくする方法 空気圧を上げる

実験室の滑らかなドラムを使って「転がり抵抗」を測定した場合、
理論通りに、高い空気圧ほど「転がり抵抗」は小さくなりますが、

実走においては、ある空気圧を境に「転がり抵抗」は上昇してしまいます。

 

これは”インピーダンス”と名付けられた要因が関係しているのですが、
この「インピーダンス」については、また次回で……

 

「転がり抵抗」=「ヒステリシスロス」+「インピーダンス」

 

【タイヤ熟考Ver2の記事】

 松木です。 前回、タイヤの「転がり抵抗」の主な要因が、「タイヤと地面との摩擦による抵抗」ではなく、タイヤが地面と接地し、変形した際に発生する熱によるエネルギー損失、つまり「ヒステリシスロス(内部損失)」だという話をしました。  そして、さらに最後には、「転がり抵抗」=「ヒステリシスロス」+「インピーダンス」として、「インピーダンス」という要因にも触れて終わりました。 今回は、この「インピーダンス」にフォーカスした話。 【タイヤ熟考Ver3の記事】 インピーダンスの概要...

 

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