松木です。
フレームとホイールを繋げるパーツであるクイックリリース(以下、クイック)。
メーカーによって、主に「軽さ」と「固定力」の違いがありますね。
分類するとすれば、大きく次の4種類になると思います。
- 軽量な「チタン+アルミ」製のクイック
- 固定力最強と言われるDT SWISSのRWSクイック
- 固定力に定評のあるMAVICのカム式クイック
- その他
これらのクイックを比較しながら、
- それぞれのクイックについて使用感
- 軽量クイックを使うことによるタイム短縮効果
- 固定力の高いクイックで速くなるのか?
について考えていきます。
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目次
それぞれのクイックの使用感
「チタン+アルミ」製のクイックリリース
軸の部分がチタン製、
左右レバーのキャップ部分がアルミ製。
このタイプのクイックは2種類使っていたことがあります。
一つは有名な「DIXNA(ディズナ)」(実測42g)、
そして、もう一つは「LIXADA(リクサダ)」(実測52g)です。
軽量クイックの弱点ははっきりしていて、
チタン、アルミという金属が柔らかくて「固定力が弱め」なこと。
BB付近から聞こえる音鳴りの原因が、実は
「後輪の軽量クイックとフレームの接合部分」であることも多いです。
しっかりしたクイックよりも動きやすいんでしょうね。
「DIXNA」と「LIXADA」のレバーの受けの部分に注目すると、
「LIXADA」は金属でできているのに対し、
「DIXNA」のほうは、この部分が樹脂製なので、
「削れて固定力が徐々に甘くなっていく」という欠点があります。
価格に関しては、
一部カーボン製だったりする「DIXNA」が5,000円と高めですが、
「LIXADA」のほうは1,252円と激安。
両者の「固定力」に大きな差は感じませんでしたから、
個人的には「LIXADA」のほうがコスパが良いかと。
DT SWISS「RWS」クイック
続いて、固定力が強く、
クイックリリース業界(笑)ではメジャーなDT SWISS「RWS」。
上の動画を見てもらうと分かりますが、
「レバーを使ってねじ込む」といった固定方式です。
通常のクイックでも、レバーを倒した後に
レバーを無理やり回して増し締めすることはできますが、
「RWS」ならば、赤丸の部分が共回りせず、
フレームを削る心配はありません。
六角レンチで固定する「盗難防止用クイック」なんかもありますが、
「RWS」は、このクイックの「強い固定力」と
通常のクイックの「利便性」の良いとこ取りしたクイックと言えますね。
使用感に関しては、
「ダンシングでカッチリ感が出て、コーナリングも安定する」
というレビューも見受けられますが、自分は正直よく分かりませんでした(^^;
それよりも、固定力が強過ぎて
取り付け部分のカーボンが傷まないかが気になりました。
MAVICのカム式クイック
マビック以外のクイックの場合、
レバーを倒し切る直前ぐらいに固定力のピークがあって、
そこを越えると”固定力が若干抜ける感覚”がする物も結構あります。
それに対して、
マビックのクイックには、その”抜ける感覚”が無くて、
倒し切るまで固定力が上がり続けている感じがします。
下のグラフのようなイメージです。
「マビックのクイックは固定力が強い」とよく言われる理由は、
この差から来ているのではないかと思います。
マヴィックのクイックには、通常のステンレス軸と、
青みがかった色合いのチタン軸の2種類ありまして、
リア130mmで比較すると、
ステンレス軸に比べて、チタン軸モデルはおよそ2/3の重量。
手でしならせてみると、
チタン軸のほうが、ほんの少しだけしなる気がしますが、
先に話した通り、レバーの構造が優れている上に
左右のキャップ部分もしっかり作られているので、
この重量にしての「固定力」は相当高く、気に入って使ってますね(^^)
軽量クイックを使うことによるタイム短縮効果
ヒルクライムにおける「軽量化のタイム短縮効果」と「減量」について
上の記事で話しましたが、
「1kg軽くなると、100mの獲得標高で3~4秒速くなる」
という結論です。
一般的なクイックから軽量クイックに交換すると、
80gほど軽くなりますから、
例えば、獲得標高1260mの乗鞍で考えてみると、
80/1000(g)×1260/100(m)×3~4≒3~4秒短縮
思った以上にタイム短縮効果は小さいと感じるでしょう。
これぐらいの差だったら、
「固定力の高いクイックを使ったほうが良いのでは?」
という考え方もありえます。
ですが、実際には、
強豪ヒルクライマーのほとんどが軽量クイックを使っています。
「軽いロードバイクに乗っている」といった
”精神面で有利に立てる”面は意外と大事なんじゃないでしょうか?
80gの軽量化が、7kg切り、6kg切りの境目だったりすると尚更です。
固定力の高いクイックで速くなるのか?
こちらのサイト、上から2番目のレビューで
「DIXNA」軽量クイック、「RWS」クイックを含む4種類のクイックを使い、
「545m、約5%の坂道を一定パワーで走ってのタイム差」
を実走検証しています(有名なキャノンボーラーさんです)。
それぞれの”剛性感”は随分違うといった感想ですが、
肝心のタイムのほうには優位な差は表れなかった模様。
このことから、
速度に対するクイックの「固定力」の影響は0ではないものの、
ごく僅かなんだろうと考えられます。
ですが、先ほどの「重量」と同様に、
「カッチリ感が出る」「コーナリングが安定する」といった
感覚面でプラスに働くことは決して無視できません。
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「固定力が若干抜ける感覚」というのは、「あえて」そうしているのです。
レバーの限界可動域直前にカム山のピークを持ってくるように設計しているので
開く(緩む)方へ動かしてもカム山を登る必要があり振動や不慮の接触でも
簡単には開いてしまわないように配慮されています。
逆にカム山を登りきらないクイックは常時緩む方向にストレスがかかり続ける
欠陥を抱えてると言えます。
重要な知識を教えていただき、ありがとうございます!
MAVICのクイックリリースで緩んだことはありませんが、
確かに、ご指摘いただいた内容を耳にしたことがあります。