松木です。
ご厚意でSACRAホイール『4G-50-TU』をお借りしました。
このホイール、最近話題にも関わらず意外と情報が少なく、
この機会に実物を見ながら分析してみようと思います。
先に言っておきますが、
現在はマイナーチェンジされて仕様が違います。
今回お借りしたのは、一般的に知られている仕様のほうで、
「初期型」ということになります。
【関連記事】
『「ロードバイク本音のホイール論」を読んだ感想』
『4/25発売。「ロードバイク本音のホイール論」について。』
※追記
『SACRAホイール50mmをインプレ・レビュー「横風」「ブレーキ」「急登坂性」「快適性」』
『SACRAホイール50mmをインプレ・レビュー「巡行性」「加速性」「緩登坂性」「剛性感」』
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目次
「4G-50-TU」の実測重量
まずは実測重量を測定してみます。
前輪616g、後輪835g、合計1451g。
公表重量は1350±30gですから、
それよりも少し重たかったですね。
「4G-50-TU」のリムについて
リムの特徴
リムの文字や柄は塗装です。
追加料金なしで、
細かくカラーオーダーできるサービスもあります。
カーボン素材は「東レ」製。
カーボンを固める樹脂には、熱に強いもの(180℃まで耐える)を使い、
さらにブレーキ面には、耐熱性(900℃まで耐える)・耐摩耗性のあるガラス繊維を組み込んで
ノーマルブレーキシューが使える「強さ」があります。
ノーマルブレーキシューはカーボンリム用ブレーキシューよりも
一般的にはブレーキが良く効きます。
とは言え、
アルミ片が刺さっている中古ノーマルブレーキシューを使うのは避けるべきでしょうし、
カーボンリム用ブレーキシューのほうが、リムの温度上昇は防げるのは間違いありませんが。
タイヤ接着面に埋め込まれているシールには、
「HT-50T-UD-25」「17-02-009」と記載されていました。
「17-02-009」は製造日として、
「HT-50T-UD-25」のほうは、それぞれ以下の意味だと推測します。
HT:標準弾性率タイプ炭素繊維(High-Tensile)
50T:50ミリハイトのチューブラータイプ
UD:単一方向性カーボン(Uni-Directional)
25:25mm幅のこと?
「標準弾性率タイプ炭素繊維」について詳しく知りたいなら、
以下のサイトを参考にしてください。
リムの形
リム幅は25mmということになっていますが、
ブレーキ面の少し下側が最大幅になっていて、26mmあります。
SACRAホイールみたいにブレーキ面より一度広げ、
底の部分をドーム状にするのが空力的には優れているようで、
幅の違いはあれど、多くのメーカーが同じような形を採用しています。
ホイールに関しては、
流線型が一番速い形状ではないんですね。
「4G-50-TU」のハブについて
TNIの「エボリューション」や、NOVATECH(ノバテック)と同じものです。
(参考までに、こちらが寸法↓)
フリーボディの一部を鉄素材にすることで
スプロケットの喰い込みを抑える「A.B.G(アンチバイトガード)」システムは
TNIのほうには搭載されておらず、NOVATECHのハブにだけあります。
少し話が逸れますが、
カンパなどはアルミフリーボディを
「プラズマ電解酸化処理」して強度を上げようとしていますが、
写真の通り、あまり効果はありません。
噛み込みを防止するには、
フリーボディを硬いステンレス製(重い)やチタン製(軽い)にするか、
「A.B.G」システムのようにするしかありません。
チタン製にするのが最もスマートですが、
当然ながらチタン素材は数万円高くなるので、
「A.B.G」システムは、うまいやり方だと思いますね。
「4G-50-TU」のスポークについて
スポークヘッドの部分に「P」の刻印があり、
台湾メーカーPillarの「PSR Aero 1423」だと分かります。
SAPIM CX-RAYのように微妙に楕円ではない
長方形に近い形状の1.5mm扁平スポークです。
Pillarには、もっと薄い「1mm扁平スポーク」もありますが、
このスポークを使うと如実に横剛性が落ちてしまいます。
リムに体重をかけると、「うにょんうにょん」と動き、
実際の走行中にも同じようなことが起こってしまいます。
1.5mmが、横剛性の損なわないバランスの良い扁平スポークです
「4G-50-TU」のホイールバランスについて
せっかくなので、「タクリーノホイールバランスシステム」を使い、
ホイールバランスを取りました。
0.05g以下の精度でバランスの取れる優秀なツールです。
その結果、ウエイトは反対側付近に付き、
前輪が15.4g、後輪は14.6gでした。
ディープリムホイールだと10~15gぐらいが平均。
カンパやプロファイルデザインは優秀で一桁台、
逆に酷いホイールだと、25g貼り付けないといけない場合もあります。
SACRAホイールは徐々に進化している
田中さんのTwitterから写真をお借りしました。
左がチューブラー、右がクリンチャーです。
表面の余計な塗装を省くことで、10~15g軽量化されました。
この部分以外にも、色々なフィードバックを得て
現在進行形でマイナーチェンジしているそうです。
Pioneerのパワーメーターなどもそうですが、
細かな気配り・サービス、そしてより使いやすくなっていくところは、
日本メーカーならではで、ユーザーには嬉しい限りです(^^)
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まとめ
SACRAホイールの真骨頂は何といってもリムです。
それ以外の要素も重要ですが、
ダメなリムだと、どう頑張ってもダメなホイールにしかなりません。
そういう意味ではホイールの心臓部分に当たるのがリムだと思っています。
ですから、上の記事でも書きましたが、
SACRAホイールは、リムに力を入れているのが、一番良いなと感じています。
それに、ハブ、スポークも高価なものでないにせよ、
とてもバランスが良いものを選んでいると思いますし。
今日からしばらくの間、SACRAホイールで走ります。
そしたら、また実走インプレも書きます。
それから、最近発売された「4G-50-JX」シリーズは、
今回お借りした「4G-50」の上位モデルに当たり、
より軽く、駆動剛性を高めた、更にレーシーなホイールです。
「4G-50-JX」については、よかったら下の記事を読んでみてください。
『SACRAの新作ホイール「4G-50-JX」「4G-50-CX」が発売されます。』
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