松木です。
「東京プレミアムバイクインプレッション2019 春」試乗インプレ後編です。
いよいよS-Worksの出番……
スペシャライズドの車体だけは事前予約制で、
30分間しっかり試乗することが出来ました(^^)
今回のラインナップ↓
- Avedio『Pegasus Ti』
- Specialized『S-Works Roubaix』
- Specialized『S-Works Venge』
【前編と中編】
【過去試乗したハイエンドバイクのインプレッション】
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試乗インプレッション後編
エヴァディオ『ペガサスTi』115万(税抜)
【剛性感】7.5点
【加速性】8点
【振動吸収性】8.25点
【巡航性】8.5点
【お気に入り度】8.75点
(※8点で「なかなか良い」)
Avedioは外国っぽい名前ですが、れっきとした日本ブランドです。
『PEGASUS』は7年も前の2012年に登場した息の長いモデルで、
そのフレーム素材はチタン(製造はチタン加工が得意な台湾)
チタンと言えば、
一般的には剛性のある「64チタン合金(6%アルミ、4%バナジウム)」が使用されるのですが、
『PEGASUS』では、あえて剛性を抑えた「325チタン(3%アルミ、2.5%バナ)」を選択。
チタン本来の”粘り”を尊重し、かつ「耐久性」も重視しています(硬いとモロい)
チタンフレームの割には曲がっていたり、扁平だったりと、
なかなか複雑な形状となっていますね(^^)
また、見た目上は分からないのですが、
部分的に”厚み”も変えているのだそう。
500mmサイズで1200gと、アルミに近い重量。
フォークは自社工場生産のカーボンT1000製で、
その重量はなんと280g ∑(゚ロ゚〃)!!
個人的にフォークに関しては、
「ある程度重く作らないと性能が犠牲になる」と考えているため、
この280gというのは、ちょっと軽くしすぎかな。
少し不安……
実際に乗ってみてもそれなりに微振動を拾いますし、
「安定感」に関しても十分とは言えない印象でした(^^;
フォークには過度な「軽量化」を求めず、
350gぐらいでバランスを取った方が良いんじゃないでしょうか?
ホイールには、2017年を最後に生産終了してしまった
ローハイトカーボンの傑作『Hyperon Ultra』
なんと言いますか、
DURA-ACE C24に似た「万能さ」「素直さ」を感じますかね~
………で、『PEGASUS』に乗った感想はと言うと、
強烈なバネ感!!
eバイクよろしく”グイッ”と押される感覚!!
これまで「バネ感がある」と謳われる数々のフレームに乗って、
何となくのバネ感を体感してはきましたけど、
「それらは一体何だったのか……」
例えは上手くないかもしれませんが、
老舗の高級寿司を食べた際に感じる
一般的な寿司との差のようなもの。
『PEGASUS』こそが真のバネ感を備えたバイクであると確信!
「ペダルを踏む⇒フレームがたわむ⇒フレームが戻る」という一連の流れにおいて、
- 「フレームがたわむ⇒戻る」際の復元率が高く、エネルギーロスが少ない
- フレームが戻る「タイミング」「速さ」「方向」などが絶妙で、
効果的に推進力へと変換される「有意義なフレームの戻り方」をしている
こういったカラクリじゃないかと思いますね(^^)
直前にTREKのeバイクを試乗していたのですが、
その”グイッと押し出される感覚”を彷彿とさせました。
まさに天然のeバイクです。
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スペシャライズド『S-Worksルーベ』124万
先月4月に発表され、直後のパリ~ルーベにおいて
華々しくデビューWINを飾った『S-Works Roubaix』
下の25秒動画を見て分かる通り、
油圧ダンパー搭載の20mmサスペンション「Future Shock 2.0」が最大の特徴。
ですが、正直な所、
旧『Roubaix』がそれ程良いとは感じませんでしたから、
今回の『S-Works Roubaix』にはあまり注目しておらず。。。
「折角だし、Vengeの前に乗っておこうか」ぐらいの感覚で試乗。
……が、
ウッソーーーー!!全然別物やんけ(゚Д゚)!!??
【剛性感】8.5点⇔7点⇔8.25点
【加速性】9.75点⇔8点⇔9点
【振動吸収性】9.75点⇔8.5点⇔10点
【巡航性】8.75点⇔7.5点⇔8.5点
【お気に入り度】9.5点⇔7点⇔9点
(※8点で「なかなか良い」)
左:S-Works Roubaix
真ん中:旧Roubaix
右:Domane SLR
あまりの進化っぷりに”おったまげ”ましたよね~(笑)
たった三踏みで分かる異様なまでの「爆発力」
ペダリングに対して超リニアに反応!!
”シュン”と音を立てるかのような素早い加速!!
しかも力強い!!
どれも旧『Roubaix』は持ち合わせていなかった能力です。
先に試乗した『Domane SLR』の「加速力」も大概でしたけど、
明らかにそれを上回っていましたよね~
驚きのあまりに口は開きっぱなしです( ゚o゚)アングリ
ホイールRoval『CLX 32 Disc』の恩恵も大きかったでしょう。
「Future Shock 2.0」
トップキャップ代わりの”ダイヤル”を回すことで、
「沈み込みやすさ」を調整することが出来ます。
一番柔らかい設定にすると、
手で下に押さえ付けるだけで、写真のように沈み込みます。
逆に一番硬い設定にしたとしても、
完全にロックされる訳ではなく、思いのほか沈みました。
「”ボヨンボヨン”しすぎないかな?」と気になったものの、
実際に走ってみると、違和感は感じずにほとんど問題無し。
路面の凹凸だけキレイに”いなして”くれましたね(^^)b
「PAVEシートポスト」の構造は単純明快。
固定部分をなるべく下側にしているだけ。
このおかげでシートポストはしなりやすく。
ですが、シートポストの”しなり”に関しては、
DomaneのIsoSpeedの方が大きくて快適でした。
試乗車には28cのタイヤが取り付けられていましたけど、
フレームがこれだけ快適ならば、25cで十分と言えます。
日本で石畳を走ることなんてありませんし、
28cは「重さ」のデメリットの比重が大きいと思いますから。
『Domane』があまり得意でない「巡航性」
『S-Works Rouabaix』はこの点でも悪くない!
「伸びる」とまでは感じないものの、
逆に、空気をかき乱して押し戻されている感じもありません。
引っかかりの無い走りで、十分納得できるエアロ感。
”レーシングコンフォート”のジャンルにおいては
『Domane SLR』こそが絶対王者だと位置づけていました。
ですが『S-Works Roubaix』の「運動性能」と「快適性」の共存は、
他に類を見ない驚異的な次元に達していました。
しかも「エアロ」のオマケ付き。
『Domane SLR』のIsoSpeedのしなり方のほうが、
”丁度良い量”、”自然”、”上質”に感じ、個人的には好みなんですけど、
(Future Shock 2.0はやや沈み過ぎ、PAVEシートポストは逆に物足りない)
トータル性能で考えるならば、
『S-Works Roubaix』は『Domane SLR』さえも凌駕してしまったかなと……
コンポはSRAM『eTap RED AXS』
カッコイイですね~(^^♪
こちらの使用感にも注意を払いつつ乗ってみます。
リアディレイラーの変速は、滑らかな上に速い!
対して、フロントは「速くはないかな」といった所。
変速性能がイマイチなのではなく、
単純にFDの左右の動きがそんなに速くありません。。。
「変速方法」こそ多少違えど、
「変速性能」に関してはDURA-ACE Di2となんら遜色無いクオリティー。
ただ、そこまで軽くはないのがなぁ……
スペシャライズド『S-Worksヴェンジ』135万
最後にしていよいよ大本命『S-Works Venge』
誰しもが口を揃えて「速い」と言うフレーム。
一年前から所望しつつも機会に恵まれず……
今回ようやく跨ることが叶いました。
【剛性感】8.75点
【加速性】9.5点
【振動吸収性】8.75点
【巡航性】10点
【お気に入り度】10点
(※8点で「なかなか良い」)
「はっ、速ぇ……(゚□゚)ゴクリッ」
頭に浮かんだのは、ありきたりな形容詞でした。
ただ、『S-Works Venge』を言い表すのに、
あれやこれやと言葉を並べ立てるよりも
この一言で済ませる方がピッタリといった感じ。
インプレなのだから細かく特徴を話すべきなのでしょうけど、
その「速さ」そのものが特徴。
すべてのデザイン、乗り味が「速さ」という一点に収斂しているのです!
エアロロードに乗れば、高速時に数十wを稼げる事実があるにも関わらず、
軽量オールラウンドフレームもいまだ根強い人気があります。
その理由は、
エアロロードには「”かかり”が弱い」「フレームが重い」弱みがあり、
特に登りにおいて、それらのデメリットを強く感じるからに他なりません。
つまり、一般的なエアロロードは”条件付き”の速さ。
エアロロードの進化がどれだけ進んでいても、
「越えられない一線」というものが存在するが故に、
今なお軽量オールラウンドが選択される訳です。
『S-Works Venge』はその一線を初めて越えたと感じたエアロロード。
ずば抜けた「エアロダイナミクス」を保持したまま(10点)、
登りにおいても抵抗感少ない車重(52サイズ、CLX 64、ペダル有で実測7.2kg)、
『Tarmac』と肩を並べる程の「運動性能」(9.5点)
『S-Works Venge』にあるのは、
”平地(緩斜面)なら”という条件の取り払われた
限りなくピュアな「速さ」です。
どのようなシチュエーションにおいても、
いかんなく性能を発揮できてしまうであろうその走りは、
まるで「エンペラータイム(絶対時間)」の無双状態が続いているかのよう……
『S-Works Aerofly II』
見るからにエアロなことに加え、
力を加えてもほとんど撓まない「剛性感」、
そして、42サイズ235gという無駄のない重さ。
エアロハンドル一つとっても秀逸の品。
ちなみに、表面の粒々は「エアロ」「滑り止め」を狙った加工ですが、
握ってみた感じ「滑り止め」としての機能は”無いよりはマシ”といった所。
Roval『CLX 64 Disc』
脚を回しているだけで35km/hへと到達。
「伸び」に関しては言うに及ばず、
スーパーディープとは露にも思えない”シャープ”な走り!
フレームも良ければ、このホイール自体も抜群です(^^)b
以上、全11台の試乗インプレでした。
序盤~中盤にかけては、どれを乗ってもテンションは上がらずに、
「ついに感覚がマヒしてしまったか!?」と焦りましたけど(笑)、
ラスト3台はどれも落雷に打たれたかの如き衝撃を受けましたね~
そして、最終順位のほうは、、、
- Specialized『S-Works Venge』10点
- Specialized『S-Works Roubaix』9.5点
- Cervelo『S3 Disc』9点
- TREK『Domane SLR Disc』9点
- Avedio『Pegasus Ti』8.75点
- Colnago『Master』8.75点
- Yonex『Aeroflight』8.5点
- LOOK『795 Blade RS』8.25点
- Guerciotti『Eureka(エウレカ) Air Disc』8.25点
- Cervelo『R2』8点
- SARTO『Dinamica(ダイナミカ)』6.5点
「速さ」の権化たる『S-Works Venge』が文句無しにNo.1!
エアロロードの”果て”を見てしまったような気がしていて、
今後登場するいかなるエアロにも興味を持てそうにないですねぇ…(^^;
SPECIALIZED(スペシャライズド) S-WORKS VENGE(エスワークス ヴェンジ) ロードバイク 2019年 52サイズ
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松木様
今回も興味深いインプレありがとうございました。 おおよそ想像した通りのランキングです(とはいえ、僕が知らない機種もあるわけですがw)。
Venge、そんなにいいですか。 DOGMA F12もワイズで展示され始めていますので、いずれは試乗してみたいところですね。 僕にはF10はさほど魅力ある感じではなかったのですが、F12はどうなんだろうか・・・。
SRAMの12速も、機材フェチとしては食指は伸びますが、価格を聞くとさすがに出せませんねww。
ゆうぽんさん、ありがとうございますm(__)m『Dogma F12』はスペック的には完璧なのですが、乗ってみるとどうなんでしょうね?試乗できる機会はあると思いますから楽しみです!eTap RED AXSは魅力的なんですけど、価格もそうですし、無線にしては重量があるのが気になります(^^; 自分もさすがに見送りです(笑)
2800gは2.8kgなんですがね
あり得ない重さになっていましたね(^^; ご指摘ありがとうございますm(__)m
スペシャの予約システムは気兼ねなく試乗できるのでよかったですね。
VENGEは本当に速いというか、語彙力の低下を感じました。私が試乗したのは普通の丸ハンだったのですが、他の試乗車よりも圧倒的にスムースで楽しかったです。
願わくは一周する度に一度中に入って再スタート、というのではなく続けて周回したかったですね…
あとROUBAIXについてたREDのクランク、ものすごいコンパクトな構成でしたがあれはどうですかね。個人的にはもう少し大きい歯数でもいいんじゃないかと思うのですが。
予約システムは最初どうなのかと思いましたけど、結果的には長く乗ることが出来て良かったですね(^^♪Vengeの気持ち良さには、つい時間一杯使って4周乗ってしまいました(笑)Roubaixのクランクは小さかったのですか……。気が付きませんでしたが、エンデュランスモデルだと考えてのアッセンブルなのかもしれませんね!