松木です。
「東京プレミアムバイクインプレッション2019 春」試乗インプレ中編です。
今回のラインナップ↓
- YONEX『Aeroflight』
- TREK『Domane SLR Disc』
- COLNAGO『Master』
- Guerciotti『Eureka(エウレカ) Air Disc』
【前編と後編】
【過去試乗したハイエンドバイクのインプレッション】
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目次
試乗インプレッション中編
ヨネックス『エアロフライト』148万(税抜)
【剛性感】8点
【加速性】7.75点
【振動吸収性】8点
【巡航性】9.75点(GOKISO要素多め)
【お気に入り度】8.5点(GOKISO要素多め)
(※8点で「なかなか良い」)
YONEXブースは出ていなかったのですが、
GOKISOブースにこの『Aeroflight』を置いてくれていました。
飛びつくかのように意気揚々と試乗。
ハンドル、サドルもPRO『STEALTH』の最高グレードが装着されてましたね!
フレーム、ホイール、その他パーツに一切の妥協は無く、
推定価格148万は過去一クラスの高級バイクです。。。
最近のエアロにしては、ケーブル類が”ゴチャッ”とし過ぎかなぁ……(^^;
昨年のサイクルモードに訪れた際、
『Aeroflight』の”形状”に関する質問させていただきました。
その一つが「フォーク」
他メーカーのエアロフレームは、
前輪とフォークの間を空気が通り抜けられるように、
膨らんだ弓なり形状(ワイドスタンス)をしているのが主流です(右図)
……が、この『Aeroflight』は逆にすぼんでいます(ナロースタンス)
一見すると一昔前のエアロ形状にも思えるのですが、
その理由を担当者の方にうかがった所、
「両形状で風洞実験を試した結果、こちらの方が優れていた」とのこと。
「そういう事もあるんだな~」と感心(。_。)φメモメモ
と言っても、ワイドスタンス形状の方が「横剛性」が出やすく、
コーナリング時に安定感が生まれそうな気がしなくもないですが……
さてさて、前置きが長くなってしまいましたね(^^;
『Aeroflight』に試乗した感想を話しますと、
「あれ?思いの外、特徴が少ないぞ・・・」
「Xフラーレン」「ゴムメタル」「マイクロコア」
「バイブスレイヤーカーボン」「エヌアムド」と、
最先端っぽい名の付いた技術が詰め込まれているにも関わらず、
試乗した限りにおいて『Aeroflight』からメッセージ性は伝わってきません。
「マイクロコア」「バイブスレイヤーカーボン」「エヌアムド」は、
いずれも微振動を抑え、滑らかなライディングフィールを実現するものなのですが、
正直なところ『795 Blade RS』『S3 Disc』の方が滑らかに感じましたし(笑)
ダンシングしたり、踏み込んだりした際には、
BB~リア三角に多少の”しなり”が発生している感覚はありますね。
シートステイには「ゴムメタル」チタン合金が埋め込まれていて、
「低弾性=高反発力」と謳われているんですが、
「そこまで反発が強いかなぁ??」
自分には”普通のしなり”にしか感じず。
そんな事よりも、
GOKISOのクセが強すぎる!!!
リム重量がありますから踏み出しは重いんですけど、
一定速度以上になると発動される
GOKISO以外のいかなるホイールでも味わう事のできない圧倒的滑走感!
空力が良くて「エアロ」なホイールならいくらでもありますけど、
GOKISOから受ける「巡航性」は、それらとは明らかに異質なもの。。。
「空気を切り裂くように進む」より「止まれない」という感覚。
まるで下り坂を走っているかような錯覚に……
GOKISOホイールは長期的にお借りした事もあるのですが、
「登りが少ない」「30km/hを下回らない」レースであれば超省エネで走れます。
(とは言え「加速性」が悪いので、そろそろNEWモデルを出して欲しい……)
『Aeroflight』は完全にキャラ負けしてましたね(笑)
『Aeroflight』が悪いって訳じゃありませんけど、
少なくとも70万払って乗りたいとは思いません。
個人的に『Carbonex』もイマイチに感じますし、
どうも自分はYONEXとの相性が良くないみたいですね(^^;
トレック『ドマーネSLRディスク』80万
『Domane SLR 6』のParadigmホイールを
『Aeolus Pro 3 TLR Disc』に改装していた試乗車。
ちなみに、新型『Domane』は以前乗ったことがあり、今回で二度目。
【剛性感】8.25点
【加速性】9点
【振動吸収性】10点
【巡航性】8.5点
【お気に入り度】9点
(※8点で「なかなか良い」)
一言、
良い(゚∇^d)ビシッ
エンデュランスモデルにあるまじき「推進力」
大抵のメーカーの軽量ハイエンドよりも”シャキシャキ感”は上!
空洞を極力取り除いた高密度カーボンOCLV600を
戦略的に配置した先に生まれる爆発力なのでしょう。
そして、極上の「乗り心地」を演出するDomaneの代名詞「IsoSpeed」
シートチューブが他のチューブと独立している構造。
路面の凹凸は、どえりゃ~マイルドになり、
Domaneに乗っている間だけアスファルトが絨毯に変わってしまったかのようです。
「スライダー」は一番下まで下げられていました。
つまり、いちばん”しなり量”が多い設定。
試しに、シートチューブを握った状態で、
サドルに体重を加えてみたところ、
赤丸の板状のチューブはハッキリ分かる程”しなり”ました。
IsoSpeedが機能している証拠です。
ライディング中、路面のギャップを越えた時には尚更しなるはず。
新型Domaneは、ヘッドチューブにもIsoSpeedを搭載。
おかげで「快適性」はカンストの域に。
振動を抑え込めないことで発生する「推進力ロス」、
いわゆる「インピーダンスロス」を最小限に抑えてくれるマシンに違いありません。
Domane唯一の弱点は「エアロ」
その走りに「伸び」はあまり感じません。
フレーム⇒「快適性◎」「巡航性△」
ディープリム⇒「快適性〇~△」「巡航性◎~〇」
互いの苦手とする部分をカバーし合える
ディープリムホイールとのマッチングが良し!
レースならば、軽量な『Emonda SLR』もしくは
エアロ+快適な『Madone SLR』に分があるのは確か。
ですが、「運動性能」&「乗り心地」を追求した
”レーシングコンフォート”というジャンルにおいて
この『Domane SLR』の右に出る者はいませんね。
余談。
TREKブースに展示していた『WaveCel』内蔵ヘルメット。
「曲がる」「潰れる」「滑る」の三役をこなし、
秒速6.2m、斜め45度の衝撃が加わった際、
軽度脳損傷の発生を58.2%(ノーマルヘルメット)⇒1.2%まで抑制します。
以前に紹介したVirginia TechでもWaveCelはテストされたのですが、
断トツでスコアが良い(=低いほど〇)訳ではありません。
スコア上においてはMIPSヘルメットとドッコイドッコイ。
WaveCelはゲルに近いものをだと想像していましたけど、
実際触ってみると「硬めのプラスチック」のような素材。
それでも「被り心地」が損なわれている感じはしませんでしたね(^^)
コルナゴ『マスター』48万
【剛性感】7.5点
【加速性】7点
【振動吸収性】9点
【巡航性】8.5点
【お気に入り度】8.75点
(※8点で「なかなか良い」)
コルナゴが誇るクロモリ『Master』は今年で生誕30周年。
いざ持ち上げてみると9kgはゆうに超えてそうな重量感……
ですが、
走りに宿った「安定感」「安心感」は群を抜いている!
これは「重量」×「低重心」×「クロモリ」
という掛け合わせでしか味わえない特長です。
ダウンチューブ~BB~チェーンステイ。
「バネ感」「粘り」と言える程ではないにしろ
クロモリならではの”しっとり”とした脚当たりの良さも光ります。
また、ハンドリングに癖は無くて乗りやすい!
全体的に「Tommasini『Sintesi』に瓜二つだなぁ」と感じましたかね。
”速さ”よりも”楽しさ”のウエイトが大きい一台。
鉄下駄シマノ『RS010』
走っている最中、常に”鈍重さ”が付きまとって辛い……
ただでさえ”キレ”に乏しい『Master』には全くもって合わぬ……
なので、ミドルグレード以上のホイールを履かせるのは必須!
美しきかな……「ラグ」と「ペイント」
「一体どうやっているんだ??」と疑問が浮んでくる絵柄ですが、
これは「職人のエアブラシ」「緻密なマスキング」「シール」の合わせ技によるもの。
下は、その様子を映している動画です。
グエルチョッティ『エウレカエアーディスク』110万
【剛性感】8.5点
【加速性】8.5点
【振動吸収性】8点
【巡航性】9点
【お気に入り度】8.75点
(※8点で「なかなか良い」)
以前からこのエイリアンチックなステムが気になっていましたw
同メーカーの軽量モデル『E740』がべらぼうに良かっただけに
このエアロモデル『エウレカエアー』に寄せる期待も大きめ。
惜しい!あと一歩!Σσ(..)パチンッ
走り始めた瞬間に感じるエアロロードらしからぬ「機敏さ」
フレームもさることながら、アッセンブルされていた
DURA-ACE『WH-R9170-C40-TU』が素晴らしい仕事をしてます!
そして、”スーッ”と伸びる「巡航感」はまさしくエアロ。
疾走感は十分で、走っていて気持ちが良い!
………が、
どちらの性能も官能的なレベルには達しておらず。
エアロのみ9点で、他は8点台に収まりました。
比較的好印象ではあったんですけど、
見た目の奇抜さとは裏腹に、尖った個性・突出した能力の無いバランス型。
真面目なヤンキーか(笑)
タイヤはコンチネンタル『Sprinter』
これは”ビリビリ”と細かい振動を伝えてきます(^^;
チューブラータイヤならば、
現状Vittoriaの新型『Corsa』一択だと思いますね。
「Eureka」はギリシャ語で感嘆を表す言葉だそう。
かのアルキメデスが、お風呂に入り、
突然アルキメデスの原理に気づいた時に
「Eureka!Eureka!」と叫んだと伝えられています。
『エウレカエアー』か……
乗車前の期待はやや超えず、よって叫びたくはならず!
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2010年代のmasterはペイントではなくシール貼付ですね。
colnago masterさん、ご指摘ありがとうございますm(__)m
ペイントだとすっかり勘違いしていました(^^;
インプレ第二弾。 愛車DomaneSLRも試乗されているので、またまた興味深く拝読させていただきました。
松木さんのインプレは、これまでもたくさん読ませていただいており、かつ、いくつかのバイクには、試乗とはいえ自分でも実際に乗ってみて、松木さんのコメントの真意や得点の意味を少しは共有できていると、勝手に思い込んでおりますww。
Domane(僕はリムバージョン)ですが、まったくもって松木さんのコメント通り、得点を付けるとしても、ほぼ同じになると思いました。 僕はアイオロス5のチューブラーを履いているので、加速性と順行性を0.5ずつトレードオフした感じに思っています。
Domaneだけに乗ってると、いたって普通過ぎて、悪く言うと「面白みに欠ける」のですが、MadoneやHURUに乗った後、再びDomaneに乗って走ると、「こんな気持ちよく乗れるバイクはない!」と叫びたくなります。
良妻賢母。 まさにそんなバイクですよね。
”良妻賢母”は言い得て妙ですね!Domaneでも毎回乗っていると「面白みに欠ける」と感じるんですか……。私は普段コンフォート系のバイクに乗っていませんから、Domaneに試乗すると毎回滑らかな乗り味に驚きますが(笑)試乗車のホイールが「Aeolus」だったらもっと印象良く感じたに違いありません(^^)