見上げると1km先にはゴール地点の駐車場。

そして、60~70m先にはトップの選手。

 

「クソッ!!どうやったら追いつけるんだ??」

 

”脚”と”距離”。ともに残り僅か………

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

松木です。

【レースレポ】伊吹山ヒルクライム実業団E3/2位

昨日「伊吹山ドライブウェイヒルクライム」に参加してきました。

 

朝の天気が芳しくなく、
山頂付近は強風という事もあり、
前日、安全を優先した運営側がコース短縮を発表。

 

距離15km→10.7km、獲得1035m→700mのショートコースで開催されました。

 

上の写真はショートコースのゴール写真ですが、
そこから見える山頂付近は見事に霧がかってましたね(^^;
(何気なく撮った一枚にセンターに、ホノタローがいる奇跡ww)

 

【使用機材】伊吹山ヒルクライムで準優勝できた『Cervelo S5』7.1kg
【使用機材マニア編】伊吹山ヒルクライムで準優勝できた『Cervelo S5』

 

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レース前

【レースレポ】伊吹山ヒルクライム実業団E3/2位

朝7時に起床。体重を測ると66kg

 

「………重っ(笑)」

 

この一週間だけは食事にも気を付けていましたが、
疲労を抜くために練習量も減っていたので、
結局は、ほとんど減りませんでしたね(^^;

 

【レースレポ】伊吹山ヒルクライム実業団E3/2位

それでも、朝からカレーをガツガツ食べる。

 

多くの人が話すように、
「食べないとパワーが出ない」という意見には賛成。

前日もしっかり食べましたし。

 

ただ、それも限度はある訳でして、
無限に食べればいいというものでもありません。

 

特にこの日は、30分ちょっとで終わる短期決戦でしたし、
食べる量のさじ加減はなかなか難しかったです。

 

【レースレポ】伊吹山ヒルクライム実業団E3/2位

今回、新しい試みとして、
ウォーミングアップにZWIFTを取り入れてみました。

 

基本的にアップというのは、なるべくレース直前に行うもの。

 

ですが、スタート地点で20~30分も待ってたら、
結局その間に身体が冷えてしまうと考えると、

「心拍と筋肉に刺激を与え、レース強度に慣れさせておく」

という目的が、アップにおいて重要なのではないかと考えました。

 

元マラソン選手の高橋尚子さんも
「ウォーミングアップ後、7分間動かなければ効果は0」
と言っていますし(7分間で身体が冷えるから)。

 

 

そうだとすれば、何もレース会場でアップしなくても
朝の出発前でも効果はほとんど変わらないのでは?

 

  • 荷物が減る
  • レース会場でせかせかせずに済む
  • アップでの疲労も、スタート時には完全に抜ける

 

こういったメリットもあります。

 

出発が早ければ厳しい方法ですが、
この日は午後のレースで、朝の時間は十分にありました。

 

【レースレポ】伊吹山ヒルクライム実業団E3/2位

「軽く→少し上げて3分→少し間を空けてから200w後半で3分
→少し間を空けて20~25秒程度の強強度×2→10分程度ダウン」

 

オリジナルなアップメニューですが、こんな具合。

 

そして、出発。

 

【レースレポ】伊吹山ヒルクライム実業団E3/2位

会場の駐車場に着いたのが12時10分。

 

さっさと準備を済ませ、30分前にはスタートに並びました。

 

一般と違い、実業団は”マスドスタート”

号砲と同時に全員のスタート計測が開始します。

 

ただでさえ、伊吹山のスタート地点は狭くて渋滞必至ですから、
後ろに並んでしまうと、その時点で上位を狙うのが厳しくなります。

 

 

「パァァァーッン!!」

 

 

12時40分、自分の走る実業団E3クラスターがスタートしました。

 

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レースレポート

【レースレポ】伊吹山ヒルクライム実業団E3/2位

スタート直後、ペースは遅くも、速くもないといった感じ。

少し懸念していた強烈なアタックなんかもありません。

 

 

レース前に考えていた走り方はシンプルです。

 

なるべく楽に走って、残り5、6分(≒2km)でフルバースト!!

 

 

”逃げ”や”アタック”は考えていませんでした。

 

というよりは、

  • 自分が出せるパワーウェイトレシオ(w/kg)
  • そこから予想されるゴールタイム
  • 昨年までのE3クラスのリザルト

 

これらから判断して、派手な走りが出来る力は無いなと……

 

それよりも、終盤まではなるべく脚を温存して走り、
得意なロングスパートに持ち込んだほうが賢明だと思った次第です。

 

 

もう一つ。

誰かがアタックした際、
終盤でなければ反応しないとも決めていました。

 

アタックに反応するかの基準は大きく4つ。

 

  1. 自分の脚の具合
  2. 残りの距離
  3. 逃げた選手の実力
  4. 残った集団の実力

 

この内、③と④は不明。

昨年の乗鞍で58分台を出している中治さんはマークしていましたが、
それ以外の選手の実力は分かりませんでした。

 

むやみにアタックに反応した結果、
体力を消耗するだけに終われば、
終盤のロングスパートは不発に終わってしまいます。

 

 

さて、レースに戻りましょうか。

 

スタートより数百メートル、
スタート地点で中盤に並んでいた選手たちが、
右側からガーッとハイペースで上がってきました。

 

率いているのは水谷さん

レース前に少し会話をしていたんですが、
相当早いタイムを狙っていると話していたので、
「いきなり来たか!!」と思いました。

 

そのまま集団の先頭に立ち、集団を力強く牽引。
(この日は風が強かったので、誰もが後ろに隠れるように走ってました)

 

 

とは言え、まだ脚が残っている序盤でバラけるようなこともなく。

先頭は15~20人ほどでしたが、集団内を走る選手はみんな元気。

グイグイと前に行くかと思ったら、いきなりペースが落ちたり。

 

自分はそれらに流されず、
一定ペースで楽に走ることにひたすら集中。

パワーは5倍を僅かに超える程度か。

 

 

スタートから2km(残り8.7km)ほど。

それまで”逃げ”らしい動きはありませんでしたが、
ついに最初のアタックが勃発!!

ゼッケン964の佐々木さんです

 

差を一気に10mほど空けます。

 

集団からは誰も追わず。

佐々木さんの実力を知らない自分ももちろん動かず。

 

 

そのまま3km(残り7.7km)を通過。

 

「佐々木さん→20秒差で自分を含む集団10人ほど」

 

 

すぐに吸収されるかと思いきや、佐々木さんが逃げ続けます。

 

「余裕はあるし、前を追ってみるのも良いかもしれないな」

 

ジワ~っと上げて集団の先頭に立ち、追走開始。

あくまで後半勝負のつもりなので、無理のないペースで。

 

 

そのまま500mぐらい行くと、
佐々木さんとの距離が少し縮まりました。

 

チラッと後ろを振り返ると、
縦長になってはいるものの、まだ7~8人付いてきています。

スタートしてまだ10分強。

 

「さすがにここで一対一にはならないか……」

 

 

そう思って少しペースを緩めると、
坂本さん中治さんが自分の前に出ました。

 

そして、この二人が何やら話しています。

「しばらく一定の距離で泳がしておきましょう!」

 

自分としても、それはアリ。

理想的な展開は「終盤に捕まえて、そこからフルもがきで独走」でしたから。

 

 

そこからしばらくは、安定した形で推移。

自分は集団内で大人しく走っていました。

 

「佐々木さん→15~20秒差で6人ほどの集団」

 

 

5kmを過ぎた辺り(残り5.7km)。

距離が広がらないとみて、
佐々木さんが逃げるのを諦めたようでペースダウン。

 

集団が一つになって振り出しに戻ります。

 

 

ここまでの周りの選手の走り、息づかいを観察していると、
これ以上の動きは起こらないような気がしました。

 

「よしよし、このまま終盤まで行ってくれそうだな」

 

まだ脚や心肺には余力があったので、
ロングスパートに持ち込められれば、
他の選手を千切ることができる自信がありました。

 

 

6km過ぎ(残り4.7km)。

予想を裏切り、佐々木さんが再度アタック。

積極的な走りをなさるお方だ(^^;

 

 

ただ、最初の逃げを吸収した際、
猛追してやっとこさ捕らえたのではなく、

それなりの一定ペースで追っていたら、
自然と吸収したという感じだったので、

「今回の逃げもいずれ吸収されるだろう」と脅威には感じず。

 

「佐々木さん→15~20秒差で4、5人」

 

 

追走集団は主に中治さんが牽引。

唯一中治さんはマークしていましたから、その番手にピタッと付く自分。

たまに先頭に出ました。

 

もうこの頃になれば、
脚が売り切れた選手から順番に千切れていき、
いつの間にか佐々木さんを追走していたのは、中治さんと自分の二人だけに。

 

 

7km(残り3.7km)地点。

佐々木さんは十分見える距離。

「まだ大丈夫だろう」

 

7.5km(残り3.2km)。

佐々木さんはまだ見える距離。

「あれっ?少し差が広がったような気が……」

 

そして、8km(残り2.7km)地点。

間違いなくジリジリと遠のいている!!差は25~30秒ぐらい!?

一緒に走る中治さんは苦しそうだ……

 

 

「これはアカンやつだ!!!!!」

 

 

それまでずっと中治さんだけをマークしていましたが、
一番気をつけないといけないのは佐々木さんだったと、
この時になってようやく気づきました。
(レース後にスーパークライマーであることを知った)

 

予定では2kmを切ってから上げるつもりでしたが、
そんなこと言ってられる状況じゃない!!

 

30wぐらい上げて、すぐさまペースアップ開始。

これまで溜めていた脚を開放し、グイグイ踏む!

中治さんはやはりギリギリだったようで、程なく千切れました。

 

 

「1kmもあれば近づいてくるはずだ!」

 

9km地点を過ぎ、残りは1.5kmほど。

確実に近づきましたが、まだ差は20秒以上はありそう。

 

「はぁはぁはぁ……なかなか近づかんぞ…… 」

 

佐々木さんもゴールに向けてペースアップしているのか?

 

一度目のアタックを難なく吸収したことで、
「余力はあまり残っていないだろう」と高をくくってしまったのが失敗。

 

「まだあの時、余力はあったんだ!あえて一度集団に戻ったのか!」

 

 

ゴールまで残り1km付近の平坦区間へ。

ゴール地点の駐車場も視界の端に入ってきました。

 

 

「マズイ……これはマズイぞぉぉぉ!!!」

 

 

差は徐々に詰まってはいるものの、依然として20秒近いタイム差。

脚に乳酸が溜まってきているのも感じます。

 

「この1.5kmで10秒詰めれたとして、残り1kmで20秒差!?」

「距離が足りない………クソッ!どうやったら追いつける??」

 

 

佐々木さんもゴールに近づくにつれて、
後ろを振り返る回数が増えているように見えます。

 

しんどくて後ろが気になっているのか?

それとも、自分に気づいてペースコントロールしているのか?

 

玉砕覚悟で全力踏みすれば、追いつける可能性はありました。

ただ、そんな無茶な走りをすれば、
最後のスプリント勝負に力は一切残りません。

 

「なら、今やれることは諦めずに踏み続けることだけだ!」

 

 

残り300m。

うまく動かない脚に鞭を打ち、ペダルを踏む力を強めます。

もう同じ直線の先にいる!!40~50m差ぐらいか!?

 

 

コーナーを曲がり、最後の直線。

「くっ……縮まらない……」

 

立ち上がってみますが、既に脚はパンパンで出力は上がらず。

 

ケイデンスを上げるといった
機転を利かせる余裕はありませんでした。

ただ必死になって重いギアを踏んでいたような気がします。

 

 

そして、見据える先にゴールラインを切る勝者。

 

「負けた……」

【レースレポ】伊吹山ヒルクライム実業団E3/2位

佐々木さんに、どう考えて走っていたのか質問させてもらいました。

 

3回目のアタック(自分が2回目だと思っていたアタック)は、
残り4kmほどだったのと向かい風が強いことから
追走集団が牽制に入るとみて逃げ切れると思って本気で踏んでいきました

 

 

レース中は、(すみませんが)やみくもに見えたアタックも、
状況を冷静に判断し、十分に考えられていたんですね(^^;

 

積極的に走った上でもぎ取った優勝。素晴らしい走りでした。

完敗です……

 

「後半ジリジリと差を縮められて怖かったです」

脅威に感じさせた走りが出来ていたのは、せめてもの救いでしょうか。

 

※佐々木さんブログ『ちょーろーは強くなる!!』のレースレポート

 

 

【レースレポ】伊吹山ヒルクライム実業団E3/2位

中盤、集団を牽引してくれていた中治さん(中央)。

お礼にWAY TO GOクッキーを渡しました。

 

兼松さんがブログで「野生」とか「ゴリラ」とか言っているので、
どんな方なのかとビビッていましたが、話すと気さくで良い方でしたね(笑)

 

【レースレポ】伊吹山ヒルクライム実業団E3/2位

【リザルト】31分10秒(トップ+11秒)(Av340w、5.2w/kg)

 

参加された皆さん、雨と風で寒い中、お疲れ様でした(^^)

 

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