松木です。
2018~2019年モデルTIME『Alpe d’Huez』。
日本語で”アルプデュエズ”。
数々の名勝負が繰り広げられた
超級山岳「ラルプ・デュエズ」の名を冠しているあたり、
間違いなく”軽さ”を重視した
クライミングバイクであることは間違いないですが、
果たしてそれだけなのでしょうか?
TIME『Alpe d’Huez』の全貌に迫ります。
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目次
PVから開発陣の考えを読み取る
TIME『Alpe d’Huez Ulteam』について知るには、
開発者の話を聞くのが一番齟齬が少ないでしょう。
そのまま日本語訳します。
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新しい『アルプデュエズ』は、
タイム史上最軽量のクライミングバイクです。
私たちは『アルプデュエズ』によって
熟練された技術を示したかったのです。
カーボン繊維の製織(せいしょく)における
「独自の能力」と「職人技」を紹介しましょう。
あなたがフレームを間近で見たとき、
どの箇所も唯一無二で、独創的です。
”RTMテクノロジー”のおかげで、
「剛性」「パフォーマンス」「快適性」
いずれも妥協していません。
(「RTMテクノロジー」については、下の記事で詳しく話しています)
普通は絶対見れないMERIDA、TIME、GIANTのフレーム製造の裏側に潜入!
私たちは「カーボン繊維」「ケブラー繊維」
そして「ベクトラン繊維」を組み合わせて
100以上の違った”織り方”ができます。
これにより、
各カーボン糸を適材適所に配置することができ、
その結果、一部分だけを高剛性にしたり、
逆に「快適性」のために柔軟にすることも可能です。
また、この考え方は、「軽さ」だけではなく、
インテグラルなヘッドセット・ケーブルの取り回しを備えた
”真に近代的なバイク”をつくる上で必要でした。
軽く、そして硬いバイクを実現するために
それぞれの繊維の「比率」も研究しました。
私たちは、フランスでフレームを作り続けることを選択しました。
なぜなら、
そうすることで作業をより精密に行えますし、
繊維の”向き”や”配置”を変えることで
様々なライディングフィーリングを生み出すのに都合がいいからです。
我々にとって重要なことは、
- 軽くあること
- エネルギー効率が良いこと
- 反応性に優れていること
それから、長年耐えられるフレーム骨格であることです。
『アルプデュエズ』の「ジオメトリー」と「軽さ」。
このバイクは、山において強烈な「反応性」を示してくれる
クライミングバイクを求めるライダーのためにつくられました。
ただ、陽気にキビキビ走ってくれるので、
あらゆるシチュエーションに持っていけるバイクでもあります。
「ACTIVフォーク」はオプションで追加できます(+¥60,000)。
これによって、上り下りのパフォーマンスが上がります。
(ライダーに伝わる振動は-30%減)
『アルプデュエズ』は、良いバランスだと感じました。
本当に山、そして次の山までの道が楽しくなるバイクです。
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タイム独自の「RTM製法」、
そして、ある箇所に求められる性能を引き出すために
最適な繊維の”種類”と”配置”を選択できる技術によって、
「軽さ」だけではない
「剛性」「反応性」「快適性」「強度」
をも高次元で兼ね備えることを実現したフレーム。
それが『Alpe d’Huez』。
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2種類の『Alpe d’Huez』
『Alpe d’Huez 01』
ハイエンドモデルの”01”。
クラシックフォーク仕様が税抜59万。
これをベースにして
AKTIVフォーク仕様+6万、
カスタムカラー仕様+5万、
TIME製ハンドル&ステム+11万。
つまり、全部載せだと81万ということに‥‥
TIME製のハンドル『Ergodrive』とステム『Monolink Ulteam』。
こちらは旧作から変更なし。
ブレーキは”通常タイプ”。
”ダイレクトマウント”はメンテ性が悪いので、これは歓迎すべき点。
そして、リアブレーキワイヤーの「入り口」。
無理な取り回しにならない良い位置だと思います。
ただ、「出口」のほうは‥‥
フレームサイズによっては、
ケーブルのアールがきつくなって、
ブレーキの引きに影響するかも‥‥
ステムが少しフレームにめり込んだような
インテグラルな造形のヘッドセット。
ラピエール『Aircode』やオルベア『Orca Aero』にも見られます。
見た目だけではなく、
「より深い前傾姿勢が取れるように」
という狙いがあります。
前作の『IZON』や『SCYRON』に比べて-9mmのヘッドチューブ長。
シートポストを横から押さえるパーツまでカーボン製です。
そして、シートポストは”D型シェイプ”。
これはスペシャ『Tarmac SL6』やBMC『チームマシンSLR』と同じで、
前後のしなりを生み出して「快適性」を上げるための形状です。
『Alpe d’Huez 21』
素材のグレードや繊維の織り方によって
価格を抑えたセカンドモデル。
こちらは良心的な税抜29.8万。
(カスタムカラー仕様は35万)
『Alpe d’Huez 01』とは、形状も異なっています。
まず、ヘッド上部がインテグラルになっていません。
左『Alpe d’Huez 01』、右『Alpe d’Huez 21』。
シートポストは、D型ではなくて27.2mmの”丸パイプ”。
シートポストの固定が「クランプ式」ですし、
シートステイに「ラグ構造」を採用。
それから、シートチューブ下部は
後輪に沿うようにえぐれてもいません。
『Alpe d’Huez』の特徴
重量
TIMEの各モデル同士で比較。
『Alpe d’Huez 01』は、
TIME史上最軽量だと謳われているものの、
Sサイズ(トップチューブ長さ540mm)で840gは、
ライバルメーカーたちの軽量バイクと比べてしまうと、
あまり驚くほど軽いって訳でもありません(^^;
剛性
続いては、「剛性」の比較。
「絶対剛性値」ではなく「重量剛性比」です。
『Izon』と比べた場合、
重量-8.6%に対して、重量剛性比+25%ですから、
『Alpe d’Huez 01』は、
その「軽さ」とは裏腹にかなり硬いフレームだと言えそうです。
そして『Alpe d’Huez 21』(103.2)のほうは、
『Alpe d’Huez 01』(160.7)と大きな差があることから、
あえて剛性を落としているのだろうと想像できます。
ほぼ同重量の『Izon』(128.3)と比べてもだいぶ柔らかく、
コンフォート系の『Fluidity』(95.8)寄りの数値です。
【フレーム繊維素材の使用率】
『Alpe d’Huez 01』HM Carbon 60%、HR/HS Carbon 37%、ベクトラン繊維 3%
『Alpe d’Huez 21』HM Carbon 8%、HR/HS Carbon 85%、バサルト繊維 7%
『IZON』HMカーボン 45%、その他 55%
高剛性なHMカーボンの比率が、
フレーム全体の「剛性」にも大きく関わっています。
乗車感(吉本司さんの乗車インプレッション)
ロードバイク歴30年の自転車フリーライター
吉本 司さんの乗車インプレッション。
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その走りは、単なる軽量車とは違った“タイムらしさ”が感じられる。
バイクの挙動は軽いのに、なぜか慌てることなく乗れる。
ペダリングフィールは軽く、軽快なクライミングを見せるが、
そこに軽薄さは微塵もなく、力強いペダリングフィールなのだ。
変な表現だが“冷静にキレた走りができる”とでもいうのだろうか…..。
ラインナップ&ジオメトリー
『Alpe d’Huez 01』と『Alpe d’Huez 21』のジオメトリーは共通。
ラインナップは多すぎて紹介し切れないので、
下のポディウムのHPの一覧を参考にしてください。
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