レース前、後の記事↓
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レースレポート
「パァァァ~~~ン!!」
午前9時15分、400人以上が一斉に飛び出していく。
スタートは100番手以内から。
ゼッケン前50番まではシード権で前方に並べるため、必然的にその後ろとなる。
最初の5.5kmは海岸線を北上。
2車線をフル活用できるため、
前50番以内ぐらいで走っていれば、
そこまで恐ろしい思いをせずに済む。
序盤、トンネルを2回通過するのだが、
そこまで暗くはなく、視界が奪われることはない。
それでも必ず「ブレーキ!!!」という大声がこだまする。
暗さではなく、あの叫び声が恐怖だし、実際危ない(( ;゚Д゚))ガクガク
だから、トンネル手前では15番以内まで位置を上げた。
そして、一発目の登り「普久川(ふんがわ)ダム」へと。
距離6.5km、獲得325m、平均5%(序盤が緩く、その後は7~8%が続く)。
ツール・ド・おきなわ最長の峠。
南国特有の熱帯林が生い茂る坂道を20分近く登り続ける。
「やっぱりそこまで苦しいペースではないかな」
サイコン等を付けていないために感覚頼りだが、
集団内で走っていれば、5倍弱w/kgといった所だろう。
終始30~40番手。ただ、平地よりも密集度が高くて走りづらい……
当然ながら自分が望むラインでは走れない。
去年はこのストレスに思わず前に出てしまう事もあったが、今年は集団内で。
そして、頂上に近づくにつれてジワジワと上げて、10番手以内でKOM通過。
これはもちろんダウンヒルでの危険回避のためだ。
この辺りからRoppongi Expressの選手の位置を常に意識しながら走る。
1001、1002はRoppongi Expressの菊川さん、永瀬さんで(去年の上位順に番号が振られる)、
その2人に付いていけている限りは、先頭集団に残れる可能性は非常に高い。
自分より経験値はあるし、位置取りも上手いだろう。
何のアテも無く、目の前の選手に合わせて条件反射的に上げ下げしたり、
集団の波に翻弄されるように走るよりはずっと賢明に思えた。
それに、目立つ赤青のジャージも分かりやすい。
「松木さんですか?」
25~30km辺りで突然声を掛けられる。
数日前にメールで機材のご相談をされてこられた大島さんだ。
そう言えば、市民140kmを走るとおっしゃっていたな。
軽く会話を交わす。
1300番とキリが良いし、ジャージも黄色でよく目に入る。
知っている方が同じ集団で走っているというだけで、
負けん気が刺激され「頑張ろう」と思えたので有難かった。
その点、横田プロはあまり目撃しなかったw
横田さんは前方を陣取るのが、ひいき目に言っても”ヘタ”である(笑)
脚力や登坂力は申し分ないだけに勿体ない。
奥やんばるの里、スタートを待つ100km出場選手の声援を受け、
すぐさま「奥の登り」が始まった。
距離4km、獲得185m、平均4.3%という、距離はあるが難易度低めの峠。
ここで左斜め前を走っていた菊川さんが機材トラブル。
ギアが”ガチャガチャ”鳴っており、
チラッと目をやるとチェーンが外れてしまっていた。
クランク内側に入り込んでいる感じでもなかったが、
走行しながらの復帰は難しいと判断したのか、一度ストップされる。
すると、近くを走っていた同チームの永瀬さんが、
すぐさまその異常に気づいて待ってあげていた。
優しい。
その後、奥の登りの間に無事集団復帰されたようで安心した。
メカトラでの脱落、DNFほど悔しいものは無い。
普久川ダムから延々続いたアップダウンを終え、ようやく海岸線沿いに出る。
久しぶりの平坦路。距離は11km。
危ないから後ろを振り向いたりすることはなかったが、
背中越しに感じる雰囲気では、まだ150人近くは残っているんじゃないだろうか?
常に前50番以内で走っている自分としては、
スタート時から全く減っていないようにさえ感じた。
この日の天候は、最高27℃、最低19℃、晴れ、弱い風。
去年よりも最高気温は4℃高く、日差しも出ているが、
恐れていたほど、ジリジリと焼けるような暑さは感じない。
少しバカっぽい耐熱練習の効果があったのかもしれない(笑)
それでも油断は禁物で、早め早めに水分補給。
それから、利田さんに教えてもらった通り、
隙あらば補給食をチビチビと口に運ぶように気を付ける。
(ジェルの補給にはソフトフラスクが最高に便利だった)
当然「登りで持ち物が軽くしたい」という気持ちもあった。
ここで失敗だったのは、ボトルが2本とも「烏龍茶」だったこと。
「ベトつかないし別に良いか」と、
飲んだ後、身体を冷やすために何気に浴びてしまったが、
白いジャージが真っ茶色に染まった。
最悪だ (゚ω゚)チーン
前半戦で一番ダメージを受けたわ……
(後日このシミを落とすのに丸一日を費やすことに)
………さ、さぁ気を取り直して、二度目の「普久川(ふんがわ)ダム」だ。
登り始め、Roppongi Expressの福田さんがペースアップ。
福田さんはここまでも要所要所で先頭でペースメイクしており、
自ら順位を狙うよりは、仲間のアシスト的な走り方をされているように感じた。
こちらのnoteで福田さんのレースレポートを読めるが、実際そうだったようだ。
(Roppongi ExpressのFacebookページで色んな方のレースレポートが公開されている。
自分とは違った視点だったり、気づかなかった出来事も起きていたようで面白かった)
他にもエース&アシストに近い関係で走っているチームがあり、
「そういうのもあったりするんだな」と感心してしまった。
勾配が徐々に上がり始め、
去年あっさり千切れてしまった場所をクリアする。
ペース的には1本目と同じ4倍後半ぐらいか。
決して楽ではないが、逆に脱落しそうなキツさでもなく、
去年よりも強くなってることをハッキリと実感する。
そして、KOMを通過してダウンヒルへ。
下っている途中にある登り返し、70km地点の補給所。
登りのことをみんな「普久川ダム」と呼んでいるが、
ここが本当に普久川ダムのある場所だ。
2本持っているボトルの内、空の方のボトルを捨て、
代わりに受け取ったスポーツドリンク挿し込む。
「よしっ!これで後半戦の水分は万全だ!」
スタート時2本満載⇒70kmと105kmの補給所で1.5本分以上になるように受け取る
これで身体にかける分も合わせ、水分が足らなくなることはない。
下り切ったら間髪入れずに「学校坂」。
距離2km、獲得130m、平均7%のキツめの坂を一気に上った後、
(ここまでだけを「学校坂」という人もいる)
山頂までダラダラと登っていく。
名前の由来は、おそらく登り口に
「安波(あは)小学校」があるからなんだと思う。
この辺りからレースが本格的に活性化し始めるらしいので、
位置を下げ過ぎないように気を引き締め直す。
「それにしても集団の人数は相変わらず多いな……」
まだ80人ぐらい残っている気がするぞ。
ここまで5倍以上が続く、いわゆる「振るい落とし」は一度も無く、
それなりに練習を積んでいるならば、必ず残れるということか。
パーフェクトな体調で臨み、余力があるのであれば、
この辺りから単独、もしくは複数人での逃げ切りを図ってみてもいいのだろう。
ただ、そういった考えはサラサラ無かった。
「終盤の羽地ダムを全力で登る」
これしか頭に無かった。
中盤~後半に積極的に飛び出すような
”強い自信”を持ち合わせてはいなかったし、
飛び出しが成功するかどうかは、”運”の要素もそれなりに大きい。
要は「リスクが大きい」。
それならば、シンプルに終盤の脚力勝負に持ち込みたかった。
一撃でライバルたちを千切ることに懸けたいと思った。
無難に学校坂を越え、長い下り基調のアップダウンが始まる。
学校坂で脱落したのも15人とかその程度だと思う。
何処だったかはうろ覚えだが、
「どうですか?」と、大島さんがまた声をかけてきて下さった。
「羽地までは残りたいですね~」と謙遜気味だったが、
常に自分より前で立ち回っていたし、まだ限界に近い様子でもなさそうだ。
それに「沖縄に向けてトレーニングしてきた」とメールにあったし、
間違いなく終盤まで残られるだろうなと思った。
下り切り、しばらく海岸線沿いを走った104km地点。
小さい丘が2つ。
その2つ目の登り始めに慶佐次(けさじ)第二補給所がある。
下りで前に出ることはできないため、
1つ目の登りを先頭付近で通過するように注意。
この慶佐次第二補給所を使用してペースアップし、
集団縮小をもくろむ選手もいるらしいというのは耳にしていたので、
なるべく前方で補給所に入り、スムーズにボトルを受け取っておきべきだ。
普久川ダムの補給所と違い、ボトルを受け取れるのは左側のみ。
受け取れる区間もあまり長くなく、2本貰うつもりが1本だけに……orz
喉がカラカラという程でもなかったし、まあ1本でも問題ないだろう。
羽地ダム前、最後の長い登り。
獲得105m⇒70mと二連発。
この前半の方が長くて急勾配。
ここさえ過ぎてしまえば、
直後のカヌチャリゾートの三連発は獲得30m⇒35m⇒15mと、
どれも勢いだけで登り切れてしまう。
”勝負所”と据える羽地まで残れるも同然だと、
再度気合を入れて登り始めた。
70mの方の山頂付近で、AMATERASの加藤さんがやや先行。
詳しく知っている訳ではなかったが、
ヒルクライムレースのリザルトで上位に名前をよく見かけていたし、
このレースの登りでも度々先頭を走られていた。
そこに筧さんがブリッジしに行く。
集団内で唯一、多少は知っている2人だったので、
「これは面白くなるかも!」と、自分もブリッジ。
追い付き、少ししてから後ろを振り返ると、
「普通にチェックに入られているやんw」
まぁこの最終盤で簡単に飛び出せるはずもないな……
ここでのブリッジは単なる徒労だった。
およそ40人で、海岸線沿いの平坦5kmに入る。
去年利田さんがロマンを求めてアタックした場所だ。
ここは中央にコーンがズラ~ッと並べられた一車線で全く動けない。
しかも、羽地ダムを控えていて、誰も先頭で引きたくはないだろう。
結果、ポタリングペースとなる。
自分もユルユル走り、ようかんを食べて最後の補給を済ませる。
羽地に入れば、もう食べ物はおろか、飲み物すら飲むのも厳しくなるだろう。
内陸、北向きに舵を切る。
ここでRoppongi Expressの國見さんが強めにペースアップ。
同調するように数人が追いかけ、自分もなるべく脚を使わない程度に踏む。
あくまでこの先の登り勝負だし、脚使って徹底マークする意味は乏しい。
その後、登り始めるまでの間には、集団はおおむね振り出し状態に戻った。
さぁ、いよいよ羽地ダムにやって来た!
ここのためだけに3時間30分以上も我慢してきた。
それに40人以上残っているのだから、様子見なんてしている場合じゃない。
一人でも多くライバルを落とすために登り始めると同時に全開走行!!
うおりゃああああああ~~~~~~~(`Д´)!!
「えぇ~、先頭2人、1分50秒差」
並走するバイクがボソリと告げた。
………………(思考停止中)
えっ?
どういうこと??
まさか……
誰か逃げてるの??( ゚д゚)ポカーン
完全に寝耳に水だった。
誰も逃げていないからこその、先ほどのポタリングペースだったのかと……
まず、前20番手以内ぐらいで走っていないと、
誰が飛び出していったとか、捕まえたとかがあまり見えない。
また、後半になるほど、
コース上には210kmの遅れた選手が大勢いるため、
余計に分かりづらくなる。
それに「羽地勝負」だと割り切って走っていたので、
逃げに対して特別注意を払っていた訳でもなかった。
並走する車やバイクからも逃げている2人の情報は、
ここまで一度も流れてこなかった(少なくとも自分には)。
ちょくちょく飛び出している選手がいたのは目撃していたが、
比較的早い段階で捕まえ切っているものだと思い込んでいた。
だけど、慶佐次の補給所過ぎで先行を許した2人だけはそのままだったらしい。
先頭は2人、2分近い差で残り13km。
致命的だ。あまりにも差を開かせ過ぎた……
この事実を把握していた人は、果たして集団内に何人いただろうか?
「はあはあはあ………」
残念な気持ちに襲われる中、MAXでペダルを踏み続ける。
登り初めから「前に出させるか!」という気持ちで先頭だ。
すると、並走するバイクの運転手が、後ろに乗るカメラマンに
「今はRoppongi Expressを撮った方が良い」と言い放つ。
……まあ、ここまで組織的に動いていたのはRoppongi Expressの方々だし、
優勝候補の菊川さんや永瀬さんをカメラに収めとくのが正解だろう。
後ろの選手が「なんでやねん!」と突っ込んでくれてたけど(笑)
数分後、初めて振り返る。
すぐ後ろにビタ付け。その後ろにも縦長に選手が連なっていた。
「マジかい…… 」
事前のイメージでは6倍以上でガンガン突っ走るつもりだったが、
実際は、おそらく5倍後半止まりだっただろう。
ここまで派手な走りはしていないとはいえ、
さすがに余裕だった訳でもないから仕方ないか。
もう一段階上げられるなら上げて更に勝負をかけたい所だが、
それはさすがに厳し過ぎた。
ライバルたちのアシスト的な走りをし続けるのは馬鹿げていると、
やむなくペースを若干落とす。
すると、すぐ後ろの選手が先頭に出て、
ペースを落とさず引き始めてくれた!
男だぜ……(゚∇^d)グッジョブ!
誰だったかは覚えていないが彼のおかげで、
13人の集団が完璧に出来上がり、上り始めから1/3まで絞れた。
トンネルを抜けて右折し、
観戦者の応援が一際大きい”羽地の壁”へと突入。
「頼むぅぅ~~、ペース上がりすぎんでくれぇ~~(´Д`)ゼエゼエ」
キツさのピーク。
レース最大の脚パンに襲われていたが、何とか壁をクリアする。
その先の短い坂も越え、ゴールに向かう平地へと下っていく。
この時点で先頭とはまだ1分以上の差があった。
13人の集団はハイペースでローテーションを回し続ける。
個人的には「もう届かないだろう」と感じていた反面、
それでも「もしかすると……」という望みも捨て切れてはいない。
だから、自分が先頭に出た際、やや強め、長めに踏んでいると、
「ペース落とせや!前出れんやろが!」
めっちゃ怒鳴られた………
追い付きたいなら今よりペース上げないといけない訳で、
怒られた理由は分からなかったが、そこからは大人しくすることに。
まぁ考え方は人それぞれだから仕方ない。
ただ、怖いから怒鳴るのだけは止めて欲しい……(´;ω;`)ブワッ
残り5km、かの有名なイオン坂で、
筧さんがかなり強めにペースアップ。
相当苦しかったが、この短い坂で千切れるってことはあり得ない。
ただ、スプリント前にライバルの脚を削っておくには有効だろう。
ここでの前2人とのタイムギャップはまだ50秒。
徐々に詰まってはいたが、”脚”ではなく”距離”が足りない。
「1km」の距離看板が目に入る。
先頭との差25秒。
万事休し、3位以降の争いとなる。
数えてはいないが、羽地を一緒にクリアした方々は
ほぼ全員残っていて10人以上。
さぁ、泣いても笑っても140kmの残り1km。
残り700~800m。
緩く左に曲がり、最後の長い直線へと入る所で筧さんがアタック!
相当速い!歯を食いしばって追走する。
この動きには6、7人がしっかりと反応できており、
その中でのスプリント勝負になりそうだと感じた。
残り500m。
前3、4人が横並びに。自分はその後ろに付ける。
ラスト300m。
菊川さん、佐藤さん、balba井上さんの3人が、ほぼ同時にスプリント開始!!
自分も右側から思いっきり踏み始める!!
が,ここで重大なことに気づく。
スプリントの仕方が分からない。
実走でのスプリントなんてここ最近していなかったから、
そもそも姿勢が分からない。
前傾にするのか?それとも、後ろ荷重にすればいいのか?
前輪が浮き気味でかなり怖い……
とてもじゃないがダンシングできそうにはなく、
シッティングで乗り切るしかない!!
目前の佐藤さんの伸びが良い!
左前に菊川さん、井上さんがほぼ横並び。
自分の1~2m前。
そして、視界の左端に1人。
その選手は自分よりやや後ろか??
残り100m、50m……
ゴールゲートがどんどん大きくなってきた!!
低い姿勢を保ち、前を見据え、全身全霊でもがきまくる!!
「届けえぇぇぇぇ~~~~」
【記録】3時間53分33秒(TOP +27秒)6位
こうして4時間弱に及ぶレースの幕は下ろされた。
攻め続けるようなカッコイイ走りではなかったし、
逃げる選手に対しても他人任せで消極的ではあったが、
事前の目標通り、羽地まで脚を溜めて一発カマせた上、
運良く入賞まで果たせたのだから、自分としては十分満足している。
今年は「なるべく上位を狙った走り」に徹したが、
来年は「勝ちをもぎ取りに行く走り」を目指したい。
待ってろよ~、おきなわ!(^∀゜)b
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