松木です。
ついにベールを脱いだ2021年モデルSpecialized『Tarmac SL7』(公開動画)
各メーカーが「空力」も考慮した軽量オールラウンドモデルを模索し、発表する中、
Specializedは「空力」も特化した軽量オールラウンドモデルを目指し、実現させた。
基本情報は、シクロワイアードさんの方に全部載っていますので参照。
自分は、
- なぜVengeを刷新しなかったのか?
- ターマックSL6、Venge、SL7の形状を比較
- Lightweight×Aerodynamicsチャートが示すこと
- ターマックSL7の実測重量は?
- ターマックSL7の「剛性」「快適性」は?
- 新開発ステム? S-Buildは? 世界300台の限定モデル
これら諸々の気になった疑問に迫っていきます。
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目次
なぜVengeを刷新しなかったのか?
「”空力”もしくは”軽さ”のどちらか一方のみを重視したバイクはもう時代遅れ」
「ヒルクライムかエアロ、どちらかを選ばねばならない妥協を強いられていた」
Specializedが説明するように、それはその通りだと思います。
ですが、その背後にあった事実として、
Vengeをインパクト強く進化させることは現状厳しいのだろうなと……
先日発表された新型Madone SLRは”OCLV800”という新技術を捻り出したものの、
フレーム形状・構造に特段変更は加えられず、空力向上もなかったことから察するに
「Madone SLRやVengeは、現ルール下におけるエアロの終着点」なのでしょう。
もちろん数wぐらいなら、Vengeよりエアロなフレームを作れるかもしれませんが、
それを3年越しの「新型」として発表しても、市場における競争力は弱すぎます。
つまり、Tarmac SL7への一本化には、こういう考えがあったはずです。
ターマックSL6、Venge、SL7の形状を比較してみる
【Tarmac SL6】
【Venge】
【Tarmac SL7】
”ダウンチューブ以外の全箇所のエアロ形状を煮詰めていった”
(ダウンチューブは「重量」「乗り心地」「ハンドリング」悪化のデメリットが大きいと判断)
細身なSL7は、SL6寄りの見た目をしてますけど、
「Vengeの各チューブの前後長を短くしたのがSL7」という認識の方が正しいかと。
Lightweight×Aerodynamicsチャートを分析する
ターマックSL6の「軽さ」とVengeの「空力」、
ターマックSL7は良い所までは持っていったものの、
残念ながらいずれも及ぶには至りませんでした。。。
ですが、完全にライバル視しているTREKの
「2021 Emondaの軽さ」と「Madoneの空力」は両方とも突破。
OCLV800やIsoSpeed、Project Oneといった技術や、
独自の世界観を感じさせる乗り味、ペダリングフィーリングなど、
TREKにしかない強みは健在ながらも、
「軽さ」と「空力」というロードバイク二大要素においては、
Specializedの方が一、二歩先を進んでいるのは間違いありません。
「空力」のアドバンテージは、
SL6より40km走行で-45秒、Venge Viasと同等。
ただし、現行Vengeと比べた場合は、
40km/h走行で+2.5wディスアドバンテージ、
40km走行で7~8秒(約80~90m)ビハインド。
ちなみに、色々調べていると、上の表はどうやら
「発表時のスペック状態」「ヨー角0度の空力」の模様。
つまり、SL7の結果がここまで良好なのは、
Rapide CLXホイールなどの最新パーツが寄与している所もあります。
ターマックSL7の実測重量は?
海外サイトによれば、写真の状態の56サイズ実測重量は6.85kg
そして、SRAM Red AXS仕様の56サイズの実測重量が6.73kg
【56サイズの公表重量】
S-Works Tarmac SL7完成車6.7kg(Dura-Ace Di2、Rapide CLX)
S-Works Tarmac SL7フレームセット800g(FACT 12rカーボン)
S-Works Tarmac SL6リムBRフレームセット733g(FACT 12rカーボン)
S-Works Tarmac SL6 Discフレームセット実測800g強
S-Works Vengeフレームセット960g(FACT 11rカーボン)
Tarmac SL7 Proフレームセット920g(FACT 10rカーボン、形状&剛性はS-Worksと共通)
Tarmac SL7 Pro完成車7.3kg(Ultegra Di2、Rapide CL)
Tarmac SL7 Expert完成車7.65kg(Ultegra Di2、DT Swissホイール、フレームはProと共通)
また、こちらの動画の1分過ぎで実測重量をはかられていますが、
S-Works Tarmac SL7の52サイズが6.65kg(Dura-Ace Di2、Rapide CLX)
Tarmac SL7 Proの54サイズが7.25kg(Ultegra Di2、Rapide CL)
ターマックSL7の「剛性」「快適性」は?
「剛性」と「快適性」はSL7開発のメインテーマではありませんでした。
なので、「軽さ」「空力」と違って、
「剛性」「快適性」を示す数値は公表されていませんし、アピールもしていません。
とは言え、プロのフィードバックを得ながら
「剛性」「快適性」においても十分なR&Dを重ねられてきました。
どうやらSL6はフロント周りの「(ねじれ/横)剛性」は良かったものの、
リア周辺の「剛性」が、プロにとっては若干物足りないと分かったらしい。
アタックやスプリントなど「加速」「機動力」に関わる部分ですね(^^)
結果、SL7のリア三角の「剛性」はSL6に比べてやや高く仕上がり、
そのトレードオフとして「乗り心地」はSL6以下、Venge以上。
つまり、SL7にはSL6以上の『レーシングバイクたる運動性能』を持たせる事を重視し、
「快適性」は「一定レベルを越えていればOK。タイヤの太さで融通も利く」との考え。
とある海外レビューでも
「最高に軽快だしVenge並みに速いけど……このレーシーさは万人受けの域を越えてるなLol」と。
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新開発ステム、S-Build、世界300台の限定モデル
SL7のために開発された「S-Works Tarmac Stem」(税込17600円)
ラインナップは、-6度:70~130㎜、-12度:110~140㎜と申し分なし。
そして、ノーマルハンドル&ステムも使用可。
完成車購入時、好みのホイール、タイヤ、クランク、チェーンリング、
コンポ、シートポスト、サドル、ハンドル、ステム、バーテープを選べる
カスタムオーダーサービス「S-Build」
現時点ではTarmac SL7は組み込まれてませんが、いずれ導入されると予想。
全世界300台限定のピーター・サガンデザイン。
チェーンステイにあしらわれた三本線は、世界チャンピオンに3度輝いた証。
これは………高級感ありすぎて乗るのが躊躇われそうな(笑)
正式発表から数時間後。
ブエルタ・ア・ブルゴス第1ステージで早速勝利を飾ったTarmac SL7。
”すべてを征す一台”
このキャッチコピーが示す通り
向こう5年はこれを越えるフレームは現れないんでしょうね~(^^;
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空力か軽量かどちらか一方をのみを重視したバイクは時代遅れということみたいですが、それってやっとターマックがドグマの設計思想に追いついたってことですかね。
一方でピナレロはディスクモデルに積極的ではなかったのが2021年モデルでディスクメインになりました。
ディスクロードが主流になったことでフル内装化、インテグレーテッドコックピットなどバイクの見た目がすっきりしたものに進化しました。
11速、リムブレーキの時代から一気に新しいバイクのかたちに設計思想から根本的に変化していきそうですね。
はい、今まさに激動時代ですね(^^) 選ぶとなると大変ですが、見ている分には楽しいです(笑)
注目はグラベルではなくピュアロードのフレームでフロントシングルを見据えたかたちになっていることだと思います。
スラムのように無線電動コンポだと普段はフロントダブルでヒルクライムレースの時だけフロントシングルにするとかユーザーで簡単にできますよね。次期デュラエースDi2が無線電動コンポになって一気に13速とかになると面白いですね。
なるほど~、そういった視点は持ってませんでした!新型デュラDi2の”無線”は想定内ですけど、まさかの1段飛ばし”13速”が来たら度肝を抜かれます(^^;