松木です。
2021年モデルTREK(トレック)『Madone(マドン) SLR』が発表されました。
フレームの形状・構造に変更は無く(BB規格ぐらい)、
前作から2年の間に研究開発された
- 新素材OCLV800
- 新パーツ(ハンドルとホイール)
- ペイントの新技術
これらの投入が新型『Madone SLR』を形作ります。
概要はシクロワイアードさんの記事にお任せするとして、
個人的に”疑問”に感じた点を取り上げたいと思います。
【Madone SLRの構造詳細】
【前作Madone SLRのインプレッション】
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目次
-80gに寄与する新素材OCLV800とはそもそも何なのか?
カーボン素材の数字に対して持つイメージは、
「数字が大きい方が軽くて剛性が高い」
OCLV800もそうなのか?と思って調べたところ、
これは「半分正解」といった所で、不十分な認識でした。
上のOCLV800の説明の中に、
聞きなれない「M40X」というカーボン素材が登場してきます。
これは前作Madone SLRが登場してから4ヶ月後に、
東レが発表した新しい炭素繊維です(プレスリリースはこちら)
「剛性」⇒バイクのレスポンスの良し悪しを評価する度合
「強度」⇒走行中に吸収し、分散できる力の度合い
ロードバイクフレームにはその両方が求められますが、
上図を見ると『M40X』は、「弾性」「強度」を
これまでに無かった高次元のバランスで備えた素材なのだと分かります。
この『M40X』という新たな分野を切り開くカーボン素材を用い、
最先端のモデリングソフトウェアを利用しながら
50以上もの「カーボンシートの配置(レイアップ)が異なるフレーム」を開発。
更にテストを繰り返すことで数種類まで絞り込む……
それらをTrek-Segafredoの選手に試乗してもらい、
最終的に最も感触の良かった1本のフレームが選ばれました。
そのフレームに与えられた名前こそが「OCLV800」
つまり「OCLV800」は、単に素材の名前を指しているのではなく、
「経験・技術・テストの末の 緻密なカーボンシートの配置」
をも含んだ用語だという訳です。
TREKエンジニア曰く「OCLV800開発は、まるでピアノの調律のようだった」と。
その他3つの軽量化を詳しく見てみる
ハンドル『Aeolus RSL VR-C』-160g
420mm幅、ステム長110mmで293g。
参考までに他の一体型ハンドルの重量↓
- Bontrager『XXX Integrated』234g(C-C420mm、ステム長110mm)
- Deda『Alanera(アラネラ)』350g(C-C420mm、ステム長110mm)
- Syncros『RR1.0 Aero』395g(C-C420mm、ステム長110mm)
- Most『Talon Aero Compact 1K』410g(サイズ不明)
- PRO『Stealth Evo』410g(C-C400mm、ステム長90mm)
前作の2ピースタイプは293+160≒453gもあったということかw
新作は、ケーブルをハンドル後部の溝に収めるタイプの外装。
前作は完全内蔵でしたけど、「空力」はこちらの方が10%良いのだそう。
やはり一体型の方が、凹凸少なく滑らかに作れるからでしょうか?
ホイール『Aeolus RSL 37 TLR Disc』-130g
フロント600g、リア725g、計1325g。
『XXX4』ではディスク、リム両方がラインナップされていたため、
開発労力・費用を考えると”各タイプ完全専用設計”とは成らずに
”兼用”的なリム形状にせざるを得なかった模様……
対して『RSL37』ではDisc一本に絞って設計されたため、
リムブレーキ時の負荷を考慮しない、極限まで薄くて軽いリムを実現。
「空力」は『XXX4』の方がある程度良いそうですが、
坂で強力な武器となる『RSL 37』の方が総合性能・汎用性は高いでしょうね(^^)
塗装の代わりに色付きのクリアコート「スモークカラー」-50g
男子プロチームカラー。
女子プロチームカラー。
この2カラーに関しては、一般的な「カラー塗装⇒クリア塗装」ではなく、
『スモークカラー』と名付けられた”色付きのクリアコート”を採用。
この写真なんかは、内部のカーボン柄が透けているのが分かりますね!
上部の赤や水色の部分は透けてないので、普通のカラー塗装かと。
『スモークカラー』より更に10~20g軽い最軽量のカラーが、このマットオニキスカーボン。
うっすらマット塗装している印象。
以上の軽量化を合計すれば、
80(OCLV800)+160(ハンドル)+130(ホイール)+70(塗装)=440g
これにSRAM DUBクランク採用の-60gを加えれば……500gの軽量化!
「450g軽量化」と謳っているものの、計算上はMax-500gとなりますね。
TREKのBB規格『T47』は少しだけ特殊
2015年、Chris Kingによってつくられた『T47』
「フレームBB部を極力大きくできる”ねじ切り式”」といった特長を持つ規格。
※フレームBB部が大きい⇒「剛性」が高く、ひいては反応も良くなる
※ねじ切り式⇒音鳴りが発生しにくい
シェルの溝に専用工具を引っかけて、
こんな具合に取り付けるのですが、、、
こういった事情もあって、厳密にはChris Kingの「T47」とは異なります。
ただ、完成車に組み付けられているのはPraxs Worksと共同開発したBBですが、
クリスキング規格の方のT47用BBに交換したければ取付可能です(=互換性あり)
早く乗ってみたい!!
フレームサイズ56、Shimano Di2完成車の公表重量が7.35kg。
「エアロ」「振動吸収機構」「Disc使用」「TLRホイール」
これだけの重くなる要因を抱えて7kg前半だったら十分。
前作の『Madone SLR Disc』に少し感じた「加速の鈍さ」
そこを集中的に強化した新型には、
これまで感じたことのないバケモノ級の乗り味を期待できそうですけど、
コロナの影響で試乗できそうなイベントは中止……(ノД`)・゜ウワ~ン
実際に体感できる機会に恵まれるのはいつになることやら・・・
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松木さん、こちらもお邪魔いたします。
EMONDAが発表され、OCLV800を使ったMadoneも出てくることは予想できましたし、スペシャでもTarmacがエアロ化してVengeは2021モデルを発売しない?とか言われていますね。
各社の計量モデルとエアロモデルは、結局は同じところ「軽く・速い」に行きつくのでしょうね。 素晴らしいと思う反面、寂しくも思ってsまいます・・・。
従量にしても、エアロにしても、結局はライダーの体重や体形(ポジション)の影響で差が付くのだと思います。 加えて、どのバイクの乗り味も似てくるんだろうなと思います、素人の浅知恵ですが。
僕みたいなホビーライダーには、OCLV600のリムブレーキMadone(パカパカ付)でも宝の持ち腐れですww。
松木さんのレビューを楽しみにしております! 僕も機会があれば試乗してこようと思います!
松木さん こんにちわ。又、松木さんの新しいブログを、読めるとは思っていませんでした。死んだ人が生き返ったように、嬉しいです。これからも、ブログを楽しみにしています。宜しくお願い致します。
takaoさん、そうおっしゃって頂けるなんて恐縮ですm(__)m 実はまだ死んでいませんでしたが、とても嬉しいですね(笑)今後はコンスタントに更新していければと思っています(^^)
本当にお元気でよかったです。落車や交通事故で突然死されたのでは、と頭をよぎる事も有りましたし。
それに考えてみれば、料理の作り手と食べ手の様な
もので、読み手はいつも楽しくブログを拝見していますが、作られるのは本当に大変だと思います。
余りハイペースでアップしないで下さいね。
又、いなく成られると困りますので。
takaoさん、温かいお言葉に痛み入りますm(__)m
そんな風に思って下さる方がいらっしゃるとは思わずに驚きました。
皆さんに楽しんでもらえるのが、私にとって何より嬉しいですよ(^^)