松木です。

 

スペシャライズドTarmac SL7よ…お前は強すぎた【実測重量、SL6/Vengeと比較、剛性、乗り心地】

ついにベールを脱いだ2021年モデルSpecialized『Tarmac SL7』公開動画

 

各メーカーが「空力」も考慮した軽量オールラウンドモデルを模索し、発表する中、
Specializedは「空力」も特化した軽量オールラウンドモデルを目指し、実現させた。

 

2017年の「SL6」から3年、スペシャライズドの旗艦モデルTARMAC(ターマック)が新世代「SL7」へとフルモデルチェンジを遂げる。Rapide CLXホイール装備で6.7kg。機敏な運動性能はそのままに空力性能を大幅に向上し、「VENGEを過去に追いやる」新型オールラウンドモデルに迫る。

 

基本情報は、シクロワイアードさんの方に全部載っていますので参照。

 

自分は、

  • なぜVengeを刷新しなかったのか?
  • ターマックSL6、Venge、SL7の形状を比較
  • Lightweight×Aerodynamicsチャートが示すこと
  • ターマックSL7の実測重量は?
  • ターマックSL7の「剛性」「快適性」は?
  • 新開発ステム? S-Buildは? 世界300台の限定モデル

 

これら諸々の気になった疑問に迫っていきます。

 

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なぜVengeを刷新しなかったのか?

スペシャライズドTarmac SL7よ…お前は強すぎた【実測重量、SL6/Vengeと比較、剛性、乗り心地】 なぜVengeを刷新しなかったのか? 

「”空力”もしくは”軽さ”のどちらか一方のみを重視したバイクはもう時代遅れ」

「ヒルクライムかエアロ、どちらかを選ばねばならない妥協を強いられていた」

Specializedが説明するように、それはその通りだと思います。

 

ですが、その背後にあった事実として、
Vengeをインパクト強く進化させることは現状厳しいのだろうなと……

 

 松木です。 2021年モデルTREK(トレック)『Madone(マドン) SLR』が発表されました。 フレームの形状・構造に変更は無く(BB規格ぐらい)、前作から2年の間に研究開発された 新素材OCLV800 新パーツ(ハンドルとホイール) ペイントの新技術これらの投入が新型『Madone SLR』を形作ります。  概要はシクロワイアードさんの記事にお任せするとして、個人的に”疑問”に感じた点を取り上げたいと思います。 【Madone SLRの構造詳細】 【前作Madone SLRのインプレッション】 -80gに寄与する新素...

 

先日発表された新型Madone SLRは”OCLV800”という新技術を捻り出したものの、
フレーム形状・構造に特段変更は加えられず、空力向上もなかったことから察するに
「Madone SLRやVengeは、現ルール下におけるエアロの終着点」なのでしょう。

 

もちろん数wぐらいなら、Vengeよりエアロなフレームを作れるかもしれませんが、
それを3年越しの「新型」として発表しても、市場における競争力は弱すぎます。

 

つまり、Tarmac SL7への一本化には、こういう考えがあったはずです。

スペシャライズドTarmac SL7よ…お前は強すぎた【実測重量、SL6/Vengeと比較、剛性、乗り心地】

ターマックSL6、Venge、SL7の形状を比較してみる

【Tarmac SL6】

スペシャライズドTarmac SL7よ…お前は強すぎた【実測重量、SL6/Vengeと比較、剛性、乗り心地】 ターマックSL6、Venge、SL7の形状を比較してみる

 

【Venge】

ターマックSL6、Venge、SL7の形状を比較してみる

 

【Tarmac SL7】

ターマックSL6、Venge、SL7の形状を比較してみる

 

”ダウンチューブ以外の全箇所のエアロ形状を煮詰めていった”
(ダウンチューブは「重量」「乗り心地」「ハンドリング」悪化のデメリットが大きいと判断)

 

細身なSL7は、SL6寄りの見た目をしてますけど、
「Vengeの各チューブの前後長を短くしたのがSL7」という認識の方が正しいかと。

Lightweight×Aerodynamicsチャートを分析する

スペシャライズドTarmac SL7よ…お前は強すぎた【実測重量、SL6/Vengeと比較、剛性、乗り心地】 Lightweight×Aerodynamicsチャートを分析する

ターマックSL6の「軽さ」とVengeの「空力」、
ターマックSL7は良い所までは持っていったものの、
残念ながらいずれも及ぶには至りませんでした。。。

 

ですが、完全にライバル視しているTREKの
「2021 Emondaの軽さ」と「Madoneの空力」は両方とも突破。

 

OCLV800やIsoSpeed、Project Oneといった技術や、
独自の世界観を感じさせる乗り味、ペダリングフィーリングなど、
TREKにしかない強みは健在ながらも、

「軽さ」と「空力」というロードバイク二大要素においては、
Specializedの方が一、二歩先を進んでいるのは間違いありません。

 

「空力」のアドバンテージは、
SL6より40km走行で-45秒、Venge Viasと同等。

ただし、現行Vengeと比べた場合は、
40km/h走行で+2.5wディスアドバンテージ
40km走行で7~8秒(約80~90m)ビハインド

 

ちなみに、色々調べていると、上の表はどうやら
「発表時のスペック状態」「ヨー角0度の空力」の模様。

つまり、SL7の結果がここまで良好なのは、
Rapide CLXホイールなどの最新パーツが寄与している所もあります。

ターマックSL7の実測重量は?

スペシャライズドTarmac SL7よ…お前は強すぎた【実測重量、SL6/Vengeと比較、剛性、乗り心地】 ターマックSL7の実測重量は?

海外サイトによれば、写真の状態の56サイズ実測重量は6.85kg
そして、SRAM Red AXS仕様の56サイズの実測重量が6.73kg

 

【56サイズの公表重量】

S-Works Tarmac SL7完成車6.7kg(Dura-Ace Di2、Rapide CLX)
S-Works Tarmac SL7フレームセット800g(FACT 12rカーボン)
S-Works Tarmac SL6リムBRフレームセット733g(FACT 12rカーボン)
S-Works Tarmac SL6 Discフレームセット実測800g強
S-Works Vengeフレームセット960g(FACT 11rカーボン)

Tarmac SL7 Proフレームセット920g(FACT 10rカーボン、形状&剛性はS-Worksと共通)
Tarmac SL7 Pro完成車7.3kg(Ultegra Di2、Rapide CL)

Tarmac SL7 Expert完成車7.65kg(Ultegra Di2、DT Swissホイール、フレームはProと共通)

 

また、こちらの動画の1分過ぎで実測重量をはかられていますが、

S-Works Tarmac SL7の52サイズが6.65kg(Dura-Ace Di2、Rapide CLX)
Tarmac SL7 Proの54サイズが7.25kg(Ultegra Di2、Rapide CL)

ターマックSL7の「剛性」「快適性」は?

「剛性」と「快適性」はSL7開発のメインテーマではありませんでした。

なので、「軽さ」「空力」と違って、
「剛性」「快適性」を示す数値は公表されていませんし、アピールもしていません。

 

ターマックSL7の「剛性」「快適性」は? スペシャライズドTarmac SL7よ…お前は強すぎた【実測重量、SL6/Vengeと比較、剛性、乗り心地】

とは言え、プロのフィードバックを得ながら
「剛性」「快適性」においても十分なR&Dを重ねられてきました。

 

どうやらSL6はフロント周りの「(ねじれ/横)剛性」は良かったものの、
リア周辺の「剛性」が、プロにとっては若干物足りないと分かったらしい。

アタックやスプリントなど「加速」「機動力」に関わる部分ですね(^^)

 

ターマックSL7の「剛性」「快適性」は? スペシャライズドTarmac SL7よ…お前は強すぎた【実測重量、SL6/Vengeと比較、剛性、乗り心地】 2021

結果、SL7のリア三角の「剛性」はSL6に比べてやや高く仕上がり、
そのトレードオフとして「乗り心地」はSL6以下、Venge以上。

 

つまり、SL7にはSL6以上の『レーシングバイクたる運動性能』を持たせる事を重視し、
「快適性」は「一定レベルを越えていればOK。タイヤの太さで融通も利く」との考え。

 

とある海外レビューでも
「最高に軽快だしVenge並みに速いけど……このレーシーさは万人受けの域を越えてるなLol」と。

 

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新開発ステム、S-Build、世界300台の限定モデル

S-Works Tarmac Stem スペシャライズドTarmac SL7よ…お前は強すぎた【実測重量、SL6/Vengeと比較、剛性、乗り心地】 2021年モデルS-Works Tarmac Stem スペシャライズドTarmac SL7よ…お前は強すぎた【実測重量、SL6/Vengeと比較、剛性、乗り心地】 2021年モデル

SL7のために開発された「S-Works Tarmac Stem」(税込17600円)

ラインナップは、-6度:70~130㎜、-12度:110~140㎜と申し分なし。

そして、ノーマルハンドル&ステムも使用可。

 

カスタムオーダーサービス「S-Build」 スペシャライズドTarmac SL7よ…お前は強すぎた【実測重量、SL6/Vengeと比較、剛性、乗り心地】 2021年モデル

完成車購入時、好みのホイール、タイヤ、クランク、チェーンリング、
コンポ、シートポスト、サドル、ハンドル、ステム、バーテープを選べる
カスタムオーダーサービス「S-Build」

現時点ではTarmac SL7は組み込まれてませんが、いずれ導入されると予想。

 

全世界300台限定のピーター・サガンデザイン  スペシャライズドTarmac SL7よ…お前は強すぎた【実測重量、SL6/Vengeと比較、剛性、乗り心地】 2021年モデル

全世界300台限定のピーター・サガンデザイン。

チェーンステイにあしらわれた三本線は、世界チャンピオンに3度輝いた証。

 

全世界300台限定のピーター・サガンデザイン  スペシャライズドTarmac SL7よ…お前は強すぎた【実測重量、SL6/Vengeと比較、剛性、乗り心地】 2021年モデル
全世界300台限定のピーター・サガンデザイン  スペシャライズドTarmac SL7よ…お前は強すぎた【実測重量、SL6/Vengeと比較、剛性、乗り心地】 2021年モデル全世界300台限定のピーター・サガンデザイン  スペシャライズドTarmac SL7よ…お前は強すぎた【実測重量、SL6/Vengeと比較、剛性、乗り心地】 2021年モデル

これは………高級感ありすぎて乗るのが躊躇われそうな(笑)

 

 

2021年モデル スペシャライズドTarmac SL7よ…お前は強すぎた【実測重量、SL6/Vengeと比較、剛性、乗り心地】

正式発表から数時間後。

ブエルタ・ア・ブルゴス第1ステージで早速勝利を飾ったTarmac SL7。

 

”すべてを征す一台”

 

このキャッチコピーが示す通り
向こう5年はこれを越えるフレームは現れないんでしょうね~(^^;

 

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