松木です。
【前回の記事】
『SACRAホイール50mmをインプレ・レビュー「横風」「ブレーキ」「急登坂性」「快適性」』
現在、SACRAホイールには、何かと話題が集まっています。
それは、SACRAのHPを読んだら抱くであろう
「元シマノ技術者の田中さんへの関心」に始まり、
「サイスポ」や「ロードバイク本音のホイール論」の本の反響と、
有名な人物がブログでSACRAホイールを取り上げたことによって
一気に知名度が上がった相乗効果からだと思います。
そして、興味が高まったSACRAホイールに対して
世間の中で「SACRAホイールのことを知りたい」という欲求が高まっています。
少し注目を浴びすぎた影響もあって
製品以外の部分にまで話が広がっていたりしますが、
「SACRAホイールに乗ったらどうか?」という一番大切な所を
巷の噂にも惑わされずに話します。
前回同様、
「貸していただいているから良いことを‥‥」なんて考えず、
「良い所は良い、悪い所は悪い」と言い、
SACRAホイールの走行感を、嘘偽りなく、素直に話すことで
少しでも読む人の参考になればと思います。
今回走ったのは、
「平地、緩斜面が続く道にいくつかの峠」
というプロフィールの170km。
ホイールに感覚を研ぎ澄ませつつ、
途中、平坦路で踏んでみたり、スプリントしたりして
ホイールの性能を確かめながら走りました。
では、始めます。
【関連記事】
『SACRAホイール「4G-50-TU」乗車前インプレ。徹底分析してみた。』
『SACRAの新作ホイール「4G-50-JX」「4G-50-CX」が発売されます。』
『「ロードバイク本音のホイール論」を読んだ感想』
『4/25発売。「ロードバイク本音のホイール論」について。』
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目次
加速性:1451g、リム重量515gのホイールなりの印象
少し強めに踏み続けた際の
ホイールの反応の仕方をグラフにしてみました。
分かりやすいように
ミドルハイトの加速に強いホイール(水色)と比較してみます。
例えば、デュラC35チューブラーとしておきましょうか。
C35が、スパッと加速して最高速に近づくのが速いのに対し、
SACRA50mmは一定に伸びていく感じ。
そして、最終的に落ち着く速度は
C35よりもSACRAのほうが若干高めです。
その結果、
加速する序盤から中盤にかけては
C35のほうが高い速度が出ますが、
速度が落ち着き始め、
いわゆる「巡行状態」に近づいてくると逆転し、
SACRAの速度が上回ります。
実際のシチュエーションで考えてみると、
速度が極端に落ちるUターンを繰り返すコースでは
SACRAホイールだと、少し辛そうな気がします。
ただ、そういった加減速が激しいレースは
実際には、そこまで多いってわけではありません。
巡行性:50mmディープ最高レベル
普段、巡行性の高い「AEOLUS D3 5」を使っています。
それから
「GOKISO 38mmワイドフルカーボンクリンチャー」を
300kmほど乗らせてもらったこともあり、
こちらも高速走行をかなり得意とするホイールです。
これらのホイールと比較すると、
SACRAホイールの平地での巡航性能は、
「AEOLUS、GOKISOホイールと同等」だと感じました。
”サー”っと地面を滑るように進んでくれ、
ペダルを回すだけで、良い速度で維持することができます。
普通のローハイトアルミホイールに比べて
数km/hは速く走れる感覚がありますね。
前回の走行で感じた、抜群の横風性能から
「平地巡行も得意だろう」とは予想していましたが、
その期待に裏切ることなく、最高レベルの巡航性能を示してくれました(^^♪
エアロロード「Cervelo S5」との相性も良かったです。
緩登坂性:巡航性が重量のデメリットをカバーしてくれる
4%ぐらいの緩斜面だと、意外と速度が出ます。
25km/hは普通に出ますし、速い人なら30km/h以上で走れます。
こちらの動画は、3.3km、平均5%の坂を、
「通常のフォーム」と「前かがみのエアロフォーム」で登った場合の
実走でのタイム差を比較しています。
その結果は、
290wで登った場合(時速19km前半)で
10分20秒→10分6秒と、14秒の短縮、
350wで登った場合(時速22kmほど)で
9分4秒→8分55秒と、9秒の短縮。
科学的な実験とは言えないまでも、
「時速20kmほどしか出ない坂道でもエアロ効果が重要」
と判断するには十分なものです。
SACRAホイールで緩斜面を走った際に感じたのも
まさにこの検証結果に近いもので、
「リムの空力、回転慣性で登っていく」という感覚があり、
ホイールのエアロ効果は坂でも必要なのだろうと思います。
坂道とは言え、勾配の緩さによっては、
軽量ホイールよりもSACRAホイールのほうが
速く走れてしまう場合もあるでしょうね。
剛性感:通常走行時に不満はないが、もっと駆動剛性が欲しい
普通に走っている分には
「ホイール剛性が足りていない」とは一切感じませんでした。
下りのコーナリングでも
「たわむような感覚がして怖い」ということもなく、
問題なく狙ったラインを走れましたし。
「縦」「横」、どちらの剛性も必要十分で、
売りの一つである”リム剛性が高い”のは間違いなさそうです。
次に、平坦路でもがいて、
その際のホイールの反応を確認してみました。
出力は700~800w程度です。
その結果‥‥高出力に対しては、少し力が逃げている感覚があります。
ぺダリングの力を推進力に変換する効率が十分でない、
つまり、駆動剛性に少し物足りなさを感じてしまいました。
最高速の限界値は高いんですが、
そこへ持っていくまでに、脚を使わされるといった印象です。
その点、「運動性能」「駆動剛性」を高さを狙った
「4G-50-JX」ホイールは、良くできているなと思います。
なるほどなぁ‥‥
『SACRAの新作ホイール「4G-50-CX」が発売されます。』
「4G-50」に乗ってみると、JXシリーズを凄く乗ってみたくなりましたね!
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まとめ
これまで話してきた各性能の感想を並べてみます。
①横風
驚くほど煽られない
②ブレーキング性能
カーボンリムの平均
③急登坂性
不満を感じない
④快適性
特に快・不快を感じない
⑤加速性
1451g、リム重量515gのホイールなりの印象
⑥巡行性
50mmディープ最高レベル
⑦緩登坂性
巡航性が重量のデメリットをカバーしてくれる
⑧剛性感
通常走行時に不満はないが、駆動剛性が欲しい
「駆動剛性が欲しい」なんてことも言いましたが、
ほとんどの性能が平均か、それ以上の水準。
実際、ホビーレーサー日本一と言ってもいい
高岡さんが「4G-50-CL」を使って大会で優勝しているし、
「勝てるホイール」だという揺るぎない事実もあります。
中でもやはり「横風」「巡行性」の良さが際立っていて、
田中さんとのやり取りの中で話されていた
「巡行性には自信あります」という言葉の通り、
同じ価格帯のホイールで、
何の面白味もないものがゴロゴロある中で、
SACRAホイールには、空力という光る”個性”を十分感じ取れました。
巡行性の高いホイールを取り付けると、
自転車、身体に感じる風がいつもと違い、
まるで別の乗り物を乗っているような爽快感を感じるときがあります。
何十万というホイールならまだしも、
13万強という誰もが手の届く価格のSACRA「4G-50-TU」は、
この官能めいた走行感を味わえる、稀なホイールだと思います。
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