松木です。
駆動系の摩擦軽減アイテムを手がけるトップブランドCeramicSpeedが
チェーンオイル『UFO Drip Chain Coating』を発表。
セラミックスピード UFO Drip 180ml チェーンコーティング剤
”最速”を謳ったチェーンオイルは数多くありますが、
本当の”最速”は一つだけ。
そして『UFO Drip Chain Coating』ほどに、
科学に裏打ちされた”世界一”のものは無いと思います。
その根拠を見ていきましょう。
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目次
開発者ジェイソン・スミスについて
2016年にCeramicSpeedによって買収された独立摩擦研究所「Friction Facts」。
その創設者がジェイソン・スミスです。
320kmの間、2~5wを削減するという「UFO(Ultra-Fast Optimised)チェーン」。
これを開発したのは彼です。
UFOチェーンは、大きな摩擦削減効果が期待できる半面、
「価格が高過ぎる」「320km以降は普通のチェーンに戻る」というデメリットがあり、
”供給を受けるプロ選手用”という部分がありました。
そこで、スミス氏は、
「プロだけでなく一般の人たちにもUFOのスピードを手にしてもらいたい」
という想いから、新しいチェーン潤滑剤の開発に着手。
『UFO Drip Chain Coating』が生み出されるまで
野外テストと、ラボでの実験に4000時間(=166日)の時間が費やされました。
『UFO Drip Chain Coating』には、
大きく次の5つの特徴があります。
- 「オイル」ではなく「コーティング」で、汚れが付きにくい
- 世界一抵抗の少ないチェーン潤滑剤
- 走行90分後、チェーン摩擦は小さくなっている
- チェーンリング、スプロケ、プーリーの寿命がおよそ2倍になる。
- 基本的には洗浄の必要は無く、200km毎に再塗布するだけでいい
①「オイル」ではなく「コーティング」で、汚れが付きにくい
動画を見ての通り、走行前夜までにチェーンに塗布しておきます。
すると、夜中の内に液体成分だけが揮発し、
潤滑成分がコーティングされた状態になります。
CeramicSpeedは、
一般的なチェーンオイルであるMorgan Blue「レースオイル」を使い、
90分走行後の汚れ具合を比較実験しました。
左側が「Morgan Blue」です。
「湿潤系チェーンオイル」の場合、
空気中のゴミを拾っていきますから、
瞬く間にチェーンは黒く汚れていきます。
対する『UFO Drip』を塗布した場合、
表面に粘度のある成分は残りませんから、
チェーンはキレイな状態を長く保つことができます。
そして「汚れにくいチェーン潤滑剤」には、
以下の②~⑤のメリットがあります。
②世界一抵抗の少ないチェーン潤滑剤
古今東西、54種類のチェーンオイルをかき集め、
250wの負荷、ケイデンス95rpmでの駆動抵抗をテスト。
日本ではほとんど知られていないものが多いですが、
「Fnish Line」「Muc-Off」「Squirt」あたりは知っている人もいるはず。
チームSKYと共同開発されたマックオフ「ハイドロダイナミック」。
50mlで3,000円以上する高級チェーンオイルですが、
安価なフィニッシュラインなんかと潤滑性能に差が無いという結果に‥‥
『UFO Drip』はトップの3.78w、
次いで成績の良かったのが上の「Squirt」で4.51w。
「Squirt」も揮発成分が蒸発するワックス系潤滑剤。
以前、一時使っていましたね。
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③走行90分後、チェーン摩擦は小さくなっている
”実走での駆動抵抗が小さい”ということが何より重要です。
そこで、
『UFO Drip』「Squirt」を含めた4種類のチェーン潤滑剤を選び、
”走行時間”と”駆動抵抗”の関係を実験。
汚れの代わりに、10分毎に0.33gの砂塵を振りかけます。
『UFO Drip』以外は、軒並み駆動抵抗が増加。
「Morgan Blue」などは、
汚れによって摩擦が増加したというふうに考えられますが、
汚れの付きづらいワックス系の「Squirt」でさえ、
既に30分後には2wも増加してしまっています。
対する『UFO Drip』は、90分後にわずかながら駆動抵抗は減少(-0.16w)。
つまり『UFO Drip』の駆動抵抗が小さくなるのは、
”ドライ系である”ということが理由ではなく、
独自配合されている10種類の成分に起因しているだと考えられます。
④ドライブトレインの寿命がおよそ2倍になる。
CeramicSpeedのプーリーを使い、
『UFO Drip』と「Morgan Blue」で、
プーリーの摩耗具合にどれだけの差が出るのかを調べました。
300km毎に900kmまで
百分の一ミリの単位で摩耗具合を測定。
結果は『UFO Drip』のほうが46%少ない摩耗。
「表面に汚れが付きにくい」
「潤滑剤がクッションの役割を果たしている」
このことはプーリーのみならず、
チェーンリング、スプロケットに対しても同じです。
そして、コマ、プレートの摩耗が原因である
「チェーン伸び」にも効果があるはずですから、
チェーンの寿命が延びることも十分期待できます。
⑤洗浄無しに、200km毎に再塗布すれば性能は保たれる
『UFO Drip』は、表面がサラサラの仕上がりとなるため、
チェーンは汚れにくく、基本的に洗浄する必要はありません。
“200km毎に、リンクから垂れ落ちるまで『UFO Drip』を塗布し、拭き取らずに一晩放置する”
『UFO Drip』の”塗布方法”と”チェーン摩擦”との関係です。
- 一コマ一コマ滴下(合計5ml):3.7w、
- 6mlの『UFO Drip』に浸す:3.94w
- 10mlの『UFO Drip』に浸す(飽和状態):3.62w
「一コマずつ、多めの量を滴下する」という方法が
『UFO Drip』の性能を最大限発揮させるようです。
それから、全天候型ではありますが、
雨天走行後には必ず再塗布しないといけません。
補足:チェーンノイズと摩擦抵抗の関係
”チェーンノイズが小さい=摩擦が少ない”
何となくこの認識でいますが、これは完全な誤解です。
このことを示すために、
CeramicSpeedは5種類の潤滑剤を使い、
チェーンにマイクを当てて音量を測定しました。
その結果、測定した5種類の潤滑剤の中では
『UFO Drip』のチェーンノイズが最も大きくなりました。
つまり、”チェーンノイズ”と”摩擦抵抗”の間には相関関係はありません。
濡れていて、粘度のあるオイルは静かで速そうに感じますが、
逆に、粘性抵抗によって、わずかながら遅くなる原因になります。
対して『UFO Drip』は、仕上がりが”硬いコーティング”であるため、
他の潤滑剤に比べ、ジャラジャラ音は大きめになってしまうようです。
『UFO Drip Chain Coating』はチェーン潤滑剤の”答え”
チェーンオイルに関して、
「結局どれが良いのか?」ということを散々考え続け、
実際に良さそうなものを使用してきました。
その数は15種類にも及びます。
それでも「これがベスト!」と
はっきりと思えるようなものには出会っておらず、
多少なりとも妥協したものを使ってきました。
ですが、この『UFO Drip』によってゴールが見え、
ようやく”チェーンオイル沼”から抜け出せそうな気がします。
内容量は180ml。
200km毎に10ml使うとするならば3600kmで無くなる計算。
マックオフ「ハイドロダイナミック」と同じぐらいの高級潤滑剤ですが、
”世界一の潤滑性能”
”洗浄の手間がかからない”
”パーツの寿命を伸ばす”
これらのメリットを考えれば、決して高いとは言えないはず。
ただ、普段からバンバン使うような代物でもないので、
練習では今まで通り「WAKO’S チェーンルブ」を使い、
ここぞという場合には『UFO Drip』を使えばいいでしょう。
セラミックスピード UFO Drip 180ml チェーンコーティング剤
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これは一度使ってみたいですね
ベンチは自社製品が一番得意、他者と差別化できる環境下のものを公表する傾向がありますが、それが自身のスペックに合っている(貧脚)ので好印象です。
陰陽クンさん、税抜7,900円で10月中旬の発売予定だそうです。
一見高いですが、それなりの量が入っていますし、
メンテ性、汚れにくさなんかを考えると、相当買いだと思います。
一度使用してみました、効果はあるのですが、200㎞前に重くなるのが感じられました。
その日はそのまま250㎞を走り切り、その晩に改めて塗布したのですが、かすかに汚れた状態のままで塗布したのが悪かったのか、翌日にはかすかに汚れた状態で漕ぎ出さなければなりませんでした。
汚れの上塗りのように感じ、2日間で500㎞走行しましたが、帰宅後、通常のチェーンの洗浄する際にはチェーンの汚れや傷が目立つようになり、これでは通常使用できるオイルではないなと結論に達しました。
ここ一発なら使用もありですが‥‥
シゲッチさん、こんばんわ!
そうですか……
購入してまだ未使用ですが、汚れは多少目立つのですね(^^;
シゲッチさんのように2日で500km乗るハードユーザーには
使用環境が厳しすぎたのかもしれません(笑)