松木です。

 

Xavier Disley aerocoach Xavier Disley aerocoach

空力学のエキスパート集団AeroCoachが、
『GP5000』の「空気抵抗」をテストしました(こちら)。

 

 松木です。 「すぐにやってくれるだろうな」と期待はしておりましたが、お馴染みBicycle Rolling Resistanceが、『GP5000』の「転がり抵抗・耐パンクテスト」を実施してくれました。 『GP4000s Ⅱ』比で転がり抵抗-12%は嘘か誠か…… 早速見ていきましょう(^^) ※国内最安で購入できる場所↓Continental(コンチネンタル) Continental (コンチネンタル) Grand Prix 5000 700×25Cグランプリ クリンチャー タイヤ 2本posted with カエレバContinental(コンチネンタル)Amazon楽天市場Yahooショッピング【関連記事】&n...

 

前回、
『GP5000』の「転がり抵抗」は、クリンチャートップの『GP TT』に匹敵する
という趣旨の実験を紹介しましたが、

今回は「タイヤの”エアロ”も考慮するとどうなの?」という話。

 

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イントロダクション

『GP5000』VS『GP TT』転がり&空気抵抗から導き出される結論

『GP4000sⅡ』は「転がり抵抗」「耐パンク性」の両方優れていることで知られていますが、
更にトレッドパターン(模様)が風洞実験おいて優秀な性能を発揮するため、
”エアロタイヤ”と言われたりもします。

 

そこで、本テストの目的は、
コンチネンタルの新作タイヤである『GP5000』の
「転がり抵抗」と「空力性能」を評価することです。

テスト方法

『GP4000sⅡ 23c』『GP5000 23c』
そして「転がり抵抗」が非常に小さい『GP TT 23c』の3種類のタイヤを用意。

 

【実験】GP5000タイヤの空気抵抗をテストした結果

『GP4000』:実測25.7mm幅、葉っぱのようなパターン
『GP5000』:実測25.2mm幅、『GP4000』よりもシャープなパターンで、その数も少なめ

 

【実験】GP5000タイヤの空気抵抗をテストした結果

『GP TT:実測26.2mm幅、正面スリック/側面ヤスリ目

 

 

GP5000 風洞実験

 

  • タイヤ空気圧は90psi(≒6.21bar)に設定
  • 45km/hを想定した風を流す
  • 精度を高めるため、各タイヤ毎に複数回試行

 

前輪のみタイヤ交換しているのは、後輪タイヤの空気抵抗の影響は小さいから。

また、想定速度が45km/hなのは、
実際のレース速度に近く、かつ強い風のほうが綺麗なデータが取れるため。
(もし35km/hのデータを得たければ、45km/hの結果からの算出も可能)

 

 

以上は、主に風洞実験方法の詳細ですが、
同時に「Crr(転がり抵抗係数=Coefficient of Rolling Resistance)」も測定。

 

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テスト結果

空気抵抗

【補足】ヨー角について

GP5000 風洞実験 ヨー角

ヨー角は「風が吹いてくる角度」ではありません。

ライダーの速度&向き、風の速度&向き。

この4つの要素から算出される
「認識される(ライダーが体感する)風向きの角度」です。

 

GP5000 風洞実験

 

  • ヨー角0~2.5°では、3種類の空気抵抗の差は小さい
  • GP5000はあらゆるヨー角で優秀
  • GP4000はヨー角が大きいほど空気抵抗も大きくなる
  • GP TTは2.5~10°の空気抵抗は大きいが、10~15°で盛り返す

 

 松木です。 タイヤの「速い、遅い」を決める際に注目されるのは十中八九が”路面抵抗”ですが、実は、前輪に関しては”空気抵抗”がかなり重要だという話です。 以前、下の記事で路面抵抗の低いタイヤを検証しましたが、「空気抵抗」を考えた際、最速のクリンチャータイヤは変動してしまいます。『世界最速のクリンチャータイヤを決める。』 Cycling WEEKLYの記事「タイヤの空気抵抗の影響は?」 かなり面白い記事なんですが、すべて英語なので、要点だけいくつか挙げてみます。  タイヤの空気抵抗を考え...

 

上の記事で示しているデータから
「『GP4000』は、ヨー角が大きいほど空気抵抗は有利になる」
と考えていましたが、これは今回のテスト結果と異なりますね(^^;

 

 

続いて、
小さいヨー角(現実世界で大半の時間を占める)ほど重み付けして
パワーロス値を算出。

その結果は次のようになりました。

 

GP5000 風洞実験

『GP5000』が最もエアロ。

僅差で『GP4000』、少し開いて『GP TT』。

転がり抵抗

測定されたCrrを元にして
「転がり抵抗」によって失われるパワーを計算。

 

GP5000 転がり抵抗

 

  • GP TT:26.6w
  • GP5000:29.7w(+3.1w)
  • GP4000:33.7w(+7.1w)

 

前回記事のテストでは、
「転がり抵抗」はGP TT≒GP5000という結果でしたが、
本実験では、両者の間にハッキリと差が出ましたね(^^)

 

この点に関しては、
実験の施設・方法の違いが、結果の違いにつながったのだと考えられます。

 

特に

  • ローラーの表面の質(本実験では滑らかな表面をもつローラーを使用)
  • 実験速度(29km/hと45km/h)
  • 片輪だけか、両輪か

これらの違いは大きいでしょう。

空気抵抗+転がり抵抗

最後に、上記で得られた
「空気抵抗」「転がり抵抗」のデータを組み合わせて、
”最速のタイヤ”を決定します。

 

GP5000 転がり抵抗 空気抵抗

 

  • 【1位】GP TT:28.3w
  • 【2位】GP5000:29.7w(+1.4w)
  • 【3位】GP4000:34.0w(+5.7w)

 

確かに、タイヤの「空気抵抗の差」は無視できないものの、
やはり「転がり抵抗の差」の方が大きいために『GP TT』が1位という結果に。

 

ちなみに、35km/hのケースでは、

 

GP5000 転がり抵抗 空気抵抗

 

  • GP TT:21.5w
  • GP5000:23.1w(+1.6w)
  • GP4000:26.4w(+4.9w)

 

『GP TT』と『GP5000』の差が1.4w⇒1.6wと広がっているのは、
「速度が遅い⇒空気抵抗が小さい⇒『GP TT』の空力の悪さの影響が小さくなる」
という理屈が通るからです。

『GP5000』と『GP TT』どちらが速いタイヤなのか?

『GP5000』VS『GP TT』

前回の記事の最後に
「『GP5000』の総合性能が高すぎるが故に、
結果的に、ヒルクライムでさえも最速で走れてしまう気がする」と話しました。

 

ですが、
今回のテスト結果を信用するならば、そうとも言い切れません。

 

『GP5000』VS『GP TT』

 

  • ヒルクライムなら平均速度は35km/h以下⇒『GP TT』なら『GP5000』より1.6w以上削減
    (低速ほど「転がり抵抗」の小さい『GP TT』にとっては有利)
  • 『GP TT 25c』(実測195g)は『GP5000 25c』(実測221g)より一本当たり約25g軽い
    リム外周部を計50g軽量化でき、ヒルクライムにおいては決して無視できない重量差
  • ヒルクライムにおいて『GP5000』のグリップ力は、そこまで重要にはならない

 

ですから、
ヒルクライムにおいてはまだ『GP TT』の優位性は揺るがない
と言えるのではないでしょうか?

 

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