松木です。
先日のアブダビツアーで
UCIワールドチーム「EFエデュケーションファースト・ドラパック」の
スプリンター「ダニエル・マクレー」が使用したキャノンデールのニューマシン。
『SystemSix(システムシックス)』
頑なまでにエアロロードに着手せず、
”最後の砦”とも言えたキャノンデールも
ようやくその重い腰を上げました(笑)
ダウンチューブが、真ん中で膨らんだ面白い形をしていますね。
では早速『システムシックス』の特徴を細かく見ていき、
更にその意味も同時に考えていくとしましょう。
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目次
『システムシックス』に見られる6つの特徴
【特徴①】前面にカバーのかけられたヘッドチューブ
目を引くヘッドチューブ。
こちらはトレック『スピードコンセプト』のヘッド内部。
『システムシックス』もこれに近い構造だと思われます。
先日紹介したファクター『ONE』も似たヘッドチューブでした。
ファクター『ONE』が2018年進化!高次元化されたエアロと動的性能。
このヘッドチューブのメリットは二つあります。
一つ目は、ヘッドチューブを流線形に近づけることによる”エアロ効果”。
二つ目が、”ケーブルを内蔵化”できること。
少しでもケーブルの露出を減らすことは、
エアロ面でのメリットの他に、見た目の上でもスッキリします。
ダウンチューブを通るDi2ケーブルは
そこに埋め込まれたジャンクションA「EW-RS910」と接続。
「電池残量の確認」
「内部バッテリーの充電」
「変速調整」
「マニュアルシフトモード⇔シンクロシフトモードの切り替え」
これらすべての操作が、ジャンクションAから実行可能です。
【特徴②】ディスクブレーキ
現在の流行である”ディスクブレーキ”を導入。
こちらはジャイアント『プロペルディスク』ですが、
『システムシックス』も負けず劣らずの一体感です。
ここで改めて”ディスクブレーキ”の
メリット・デメリットを話しておくと、
【メリット】
- リムブレーキよりも「エアロ効果」は僅かに高い
- 制動力が高い(ディスクのほうが制動距離が1割ほど短い)
- 雨天時でも制動力が落ちにくい
- リム形状の自由度が増し、リムの軽量化にもつながる
- 油圧式であれば、ブレーキの引きが軽い
【デメリット】
- キャリパーブレーキよりも車輪ロックしやすい
- 重量が100~200g増える
- メンテナンスの専門性が高くて難しい
- フォークを頑丈にする必要があり、過剛性になりやすい
- 規格や種類が多くて分かりづらく、リムブレーキよりは対応ホイールも少ない
ディスクブレーキは、一概に良いとも悪いとも言えません。
メリットとデメリットを天秤にかけて、
どちらを取るのかという問題。
【特徴③】最新のエアロ形状を取り入れたフォーク
フォークをよく見ると、
縦長(左写真)、それに外側に若干膨らんだ形状(右写真)をしています。
2017年の「フレーム縦横比3:1ルール」撤廃によって
それ以降のモデルでは、フォークのエアロ形状化が進んでいます。
また、フォークを弓なり形状にして前輪との隙間を確保することで、
空気の乱流を抑えるテクノロジーも、最近ではよく見かけます。
(『ONE』『Orca Aero』『Oltre XR4』『Gennix A1』等)
『システムシックス』では、そのどちらの技術も採用している模様。
【特徴④】下方オフセット、ワイドスタンス化したシートステイ
まずは「下方オフセット」。
エアロロードの場合、その目的は主に二つ。
- 空気抵抗削減
- リア三角が小さくなることによる横剛性アップ
オールランドバイクの場合は、
「路面からの突き上げをいなす」という働きもあります。
ですが、『システムシックス』に関しては、
形状的にシートポストがしなるようには見えませんから、
しなる効果は狙っていないように思えます。
続いて「ワイドスタンス化」。
ファクター『ONE』の記事でも話しましたが、
- ワイドスタンス化による横剛性の向上
- リアホイールとの隙間を広げることでエアロ改善
- ダイレクトマウントに耐えうる強度の確保
この内、1と2が『システムシックス』に期待できる効果ですね。
エアロロードは「横幅が薄くて横剛性が低くなる」のが弱点ですから、
色んなアプローチによって、横剛性を補う必要があります。
【特徴⑤】シートポスト固定の内蔵化
シートポストを固定するためのネジが見当たりません。
これは『C64』や『ONE』などを同じで、
下側に隠れているネジを締めることで
内部に埋め込まれている”臼”をスライドさせ、
シートポストを横に押さえつけるタイプの固定方式でしょう。
【特徴⑥】BB規格はBB30A?
ボリューム感あるマッシブなBB周り。
おそらく、キャノンデールの独自規格「BB30A」だと思われます。
「BB30」のノンドライブ側のみ5mm伸ばした規格で、
『スーパーシックス』や『シナプス』にも採用されているもの。
音鳴りのリスクが比較的高い規格ではありますが、
近頃では音鳴りしにくいBBも増えてきてますから、
そこまで心配しなくても大丈夫なはずです。
まとめ
正直なところ、
「他メーカーの特徴を寄せ集めたエアロロード」だと感じました。
特に、ダウンチューブ以外は
ファクター新型『ONE』(ディスク仕様)と瓜二つ。
ですが、これは
「突き詰めれば同じような”形”、”システム”に辿り着く」のであって、
「真似」だと言ってしまうのは酷でしょうね。
もはやエアロに関するアイデアは出し尽くされています。
もしかしたら外観からは見て取れない
「キャノンデールにしか実現できない技術」
「まだ世の中にない画期的なアイデア」
そういったものが『システムシックス』に備わっているのかもしれませんが……
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キャノンデールのロードと言えばSAVEシステムがありますが、今回のエアロロードにも搭載されているのか気になるところです。元々エンデュランス系のシナプスのために考えた技術で、フレームの後ろ三角が少ししなるようになっています。これによって乗り心地を良くしているそうです。
今ではスーパーシックスEVO、CAAD12にも使われているので、要チェックなポイントなのでは。
タケノコさん、ブログご覧いただきありがとうございます(^^)
https://bikerumor.com/2018/05/04/giro101-tech-prototype-cannondale-aero-disc-road-bike-spotted-under-drapac/
上の記事によれば「チェーンステイが少し潰されたSAVEシステムが採用されているように見える」とありますね。