松木です。
世間でジワジワと人気が出てきているSACRAホイール。
先日、その開発者である田中さんが出版した本を取り上げました↓
どうやら現在の「4G-50」の上位版に当たる新作
「4G-50-JX」「4G-50-CX」が発売されるようです。
せっかくなので、現行のSACRAホイールについても
少し書いて話しておこうと思います。
クリンチャーのディープリムモデル「4G-50」を取り上げます。
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目次
SACRAホイール「4G-50-CL」の基本スペック
『4G-50-CL』
税込価格:¥139,000
公表重量:1590±30g
公表リム重量490±15g(実測510~520g)
リムハイト:50mm
リム幅25mm
スポーク:首折れステンレスSUS304
前輪スポーク:20本ラジアル組
後輪スポーク:24本(フリー側12本タンジェント組、反フリー側12本ラジアル組)
※6/5追記 後輪のハブが2:1組のものに変更されました。
SACRAのHPの「4G-50」ホイールの紹介ページ↓
さて、田中さんの設計思想に触れながら、
このホイールについて考えていきます。
リムについて
『ロードバイク本音のホイール論』の中で、
「ホイールはリムが7割。そして、重量よりも剛性と空力形状が重要」
だと説いています。
剛性と空力が両立させるには、
ハイトの高いディープリム、そして幅の広いワイドリムが良く、
それがほぼ100%の大手メーカーも採用する、現時点で正解のリム形状です。
もちろんSACRAホイールも例外じゃありません。
ただ、「4G-50-CL」に関して言えば、
「素材、形状に関して突き詰めた感じのない、当たり障りのないリム」
というのが素直な印象です。
リム幅が25mmというのは、
今の主流からすると2~3mmぐらい狭いですし、
その割にリムの実測重量が510g台と重いです。
大手メーカーが、
もっと攻めたリム幅(26~29mm)にして、
限界まで空気抵抗削減を試みつつ、素材にもこだわり、
「剛性」、「空力」、「軽さ」の最高バランスのリムを開発しようとしています。
それに比べると、SACRAのリムは霞んで見えてしまうんです。
SACRAのHPにある空気抵抗の実験結果も、
あくまでコンピューター解析によるものであって、
風洞実験を行っているのではありません。
空気抵抗をコンピューター解析だけでできるなら、
どのメーカーも莫大な費用(レンタルで数百万かかると耳にしたことがあります)
を払ってまで、風洞実験なんて行うわけがありません。
つまり、
コンピューター解析による空気抵抗実験は、
参考にはなるけども、あてにならない部分を大きいのです。
実際、大手メーカーのやり方は、
まず数十~数百パターンの候補形状のコンピューター解析を行い、
その結果の良かったものを風洞実験で確かめていく、という手順を踏みます。
SACRAのようにコンピューター解析のみの空気抵抗実験は、
開発費をかけられない妥協的な方法です。
しかし、「4G-50-CL」リムがダメだと言いたいわけではなく、
リム価格(税込¥49,800)に対しての性能は見合っていますので、
その点は誤解しないでください。
ただ、少なくとも本人が手がけたR9100ホイールのリム以上だとは
自分には思えないだけです。
※追記 風洞実験を行ったようです。
コンピューター解析と実際の風洞実験を比べると
傾向は似てなくもないですが、やはり違いがありますね。
コンピューターだと5°で空気抵抗が下がってますが、
風洞実験だと、そのようにはなっていません。
ハブについて
ハブはおそらくTNIの「エボリューションハブ」と同じもの。
(現在、TNIハブは軽量版の「エボリューションライト」)
フロント:重量85g/税抜6,000円/カートリッジベアリング×2
リア:重量242g/税抜12,000円/カートリッジベアリング×4
手組ホイールでよく使われる標準的なハブです。
スポークについて
使われているスポークは、1.5mmの首折れエアロスポークです。
メーカーはPillar製ですが、仮にSAPIM製だったとしたら、
「LASER」というエアロスポークの中でも比較的廉価なモデルです。
(「LASER」が1本180円、トップモデルの「CX-RAY」は1本500円)
リアホイールの組み方を見てみます。
フリー側タンジェント組、反フリー側がラジアル組です。
24Hの場合、横剛性を出す目的で、
フリー側を4本組、反フリー側を6本組にして、
左右のスポークテンション差を近づける、という考え方もありますが、
SACRAホイールの場合、左右のテンションバランスは考えず、
フリー側を駆動剛性の高いタンジェント組(4本組)、
反フリー側を横剛性に強いラジアル組にする、という考え方で組んでいます。
この「反フリー側をラジアル組にする」ということを嫌う人もいますが、
AEOLUSやZIPPを始め、有名メーカーも採用する組み方ですから、
自分としては許せる組み方です。
「4G-50-CL」のインプレ
脚利きの店長3名のインプレ記事です。
他の色んなサイトでも、インプレが見られますが、
書いていることは大体次のような感じで共通しています。
「巡行性が良く、高速域での加速のかかりも悪くない。
コーナーやブレーキの安定感もある。
ゼロ発進や急坂ではリムの重さは感じることもあるが、
全体的な性能で考えれば、価格以上のホイール。」
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新作「4G-50-JX」「4G-50-CX」について
「4G-50-JX」シリーズ
『4G-50-JX-TL』
仕様:チューブレス対応クリンチャー
公表重量:1480g±30g
税込価格:219,000円
『4G-50-JX-TU』
仕様:チューブラー
公表重量:1280g±30g
税込価格:199,000円
「4G-50-JX」シリーズは、
ハブに「DT SWISS 240」、スポークに「SAPIM CX-RAY」を使った
軽量性、駆動剛性を向上させたロードバイク用ハイエンドモデル。
リムの変更はありません。
「駆動剛性が向上」という根拠は、
反フリー側のスポークがタンジェント組になっているからです。
田中さん曰く、左右ともタンジェント組にすることで、
反フリーラジアル組の場合に比べ、駆動剛性は30%も上がるそうです。
あとはDTハブに内蔵される「スターラチェット構造」。
数多くのあるギザギザが噛み合う
このフリーハブ構造によっても駆動剛性は向上しています。
「4G-50-CX」シリーズ
『4G-50-CX-TL』
仕様:チューブレス対応クリンチャー
公表重量:1690g±30g
税込価格:145,000円
(クイックレバー仕様、12mmスルーアクスル用交換アダプター付き)
『4G-50-CX-TU』
仕様:チューブラー
重量1450g±30g
税込価格:141,000円
(クイックレバー仕様、12mmスルーアクスル用交換アダプター付き)
「4G-50-CX」は、
シクロクロス、もしくはディスクロード用の
ディスクブレーキ対応ホイールです。
こちらは現行の「4G-50」のディスクブレーキ版と考えればいいでしょう。
使われているハブですが、
TNIの「エボリューションディスクⅡ」と、ほぼほぼ同じものです。
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もしかして: 風洞実験
ご指摘ありがとうございます。訂正しました。