松木です。
自転車メディアGCN×エアロ組織AeoCoachによる”Aero Hacks”テスト。
ディープリムだの、エアロウェアだのといった
やりつくされた普通のエアロではなく、
「エアロフードポジション」
「レインウェアの着方」
「もっさもさの髭」
「ハンドル下のレースナンバーの取り付け方」
「背中のゼッケンの止め方」
など、一歩踏み込んだエアロを実験。その結果も面白かったのでご紹介(^^)
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目次
実験方法
まず、基準となる一般的な状態(写真)で風洞実験を行い、
45km/hにおける空気抵抗を測定(※高速なほど正確な空気抵抗を測定できる)
その後、条件を変えて再度測定。
この両者を比較して「基準からどう変わったか」を調べていきます。
結果は「30km/h走行時の削減w」で示されているのですが、
『30km/h走行時の-10w空力減⇒+0.8km/h速度UP』
『45km/h走行時の-10w空力減⇒+0.4km/h速度UP』
実験結果と考察
①エアロフード、ドロップ、上ハンドルポジション
エアロフードポジション-33.7w
首を下げ、脇を閉めて肘を内側に寄せるように意識すれば、
全面投影面積を減らすことができ、エアロ効果は最大化します。
ドロップポジション-27.8w
エアロフードポジションに比べて
「前腕が空気を受ける」「頭のポジションが高い」分だけ5.9wビハインド。
ですから腕を曲げれば、エアロフードの結果に近づくはずです。
上ハンドル+3.1w
「意外と遅くならないんだな?」と思いましたけど、
基準のブラケットポジションが腕を”ピン”と伸ばしているため、
上ハンドルに持ち替えてもあまり上体が起きない(角度に変化がない)、
そして、上ハンドルの方が、
左右の全面投影面積は小さくなるからだと考えられます。
②レインウェアの着方
フルジップ状態+12.8w
みぞおち付近のハーフジップ状態+9.9w
パラシュートのように働いて遅そう見えますが、
なんとフルジップ状態よりも空気抵抗が小さい!
このパラドクスに関しては、
「エアロダイナミクスは時々こういった事が起こるから面白い!
ポジション、ウェアの種類によってはまた違った結果になるだろう」と。
「空気抵抗が大きそう」という感覚が当てはまらないケースもあるという事ですね(^^)
ヒルクライムでは暑さ対策で前ジッパーを開けたりしますが、
空力的なデメリットは案外小さいのかもしれません。
ジッパーを完全に開けた状態+29.9w
ハーフジップと比べて20wも悪い。。。
背中に詰めた状態-1.1w
エアロフード、ドロップポジションだと、
「背中の空気の流れ」の重要度が増すため、
この2~3倍の結果になる可能性があるという。
③もじゃもじゃの髭
もじゃもじゃの付け髭-1.27w(結果を45km/h⇒30km/hに変換)
どうやら顎周りの空気の流れが改善された模様。
ここまで立派で、毛並みの揃った髭はそうそうないですから、これは参考程度かなw
④ハンドル下のレースナンバープレート
通常の取り付け方+8.4w
実験ではかなり大きいボードを取り付けてますが、
これよりも小さいプレートだとしても5wぐらいは損している事になります。
ヘッドチューブに沿わせるように固定-0.4w
画像のように取り付ければ、
ボードが「カウル」のような機能を果たして速くなります。
番号を見せるためのプレートですから、
「とにかく付けていればいい」というものでもありませんし、
そもそも、ここまで折れ曲がるプレートも少ないでしょう。
ですが、最大+8.4wはちょっと無視できない数字なので、
「節度を守った範囲で丸める」ぐらいはしておくのが吉。
⑤背中のレースゼッケン
上2ピンだけ+1.6w
レインウェアのケースと同様、
「後方でバタバタさせる」のは空気抵抗を生みます。
これは想像通りなのですが、、、
通常の4ピン止め-0.4w
「遅くはならなんだな…」という少し意外な結果。
プロが「ゼッケン入れ付きのエアロスーツ」と着ているのを見る限り、
ゼッケン自体が問題なのではなく、
ジャージとの隙間に空気が入って”帆”のように働くのがマズい!
Specializedみたいに”8ピン止め”でも構いませんが、
日東の両面テープを使えば、少ないピン、かつ隙間0で取り付け可能。
(20mm幅だと生地によっては剥がす時に苦労するので10mm幅がオススメ)
下2ピンを寄せてエアロフィンをつくる-1.3w
先ほどの「ピタッと付ける」とは逆の発想のエアロ。
こういったマニアックで、創造性ある一工夫は大好きですw
以上、考察を交えながら実験内容を見てきました。
今回得られたエアロに関する重要な教訓は次の3つ、
- 「エアロフード」は最も強力なポジションの一つなので、その「最適化」と「長時間維持するための筋肉(上腕三頭筋など)を鍛える」効果は大きい
- 「明らかに空気抵抗が大きくなりそう」が外れる場合も稀にある(ex.ハーフジップ)
- 「余計なものを無くす」のが必ずしもベストとは限らず、工夫次第でよりエアロになりえる
(ex.背中のレインウェア、髭、ナンバープレート&ゼッケンの取り付け方)
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