松木です。

 

ビアンキOLTRE(オルトレ)『XR4』と『XR3』を比較インプレッション

Bianchiのオルトレ『XR4』と『XR3』。

 

両方ともフレームのカーボンレイヤーの間に
特許取得済み振動吸収素材「カウンターヴェイル」を挟み込んでいる点は同じですし、

パッと見での違いもよく分かりません。

 

そこで、今回は両モデルの
「形状」「乗車感」の違いを見ていきます。

 

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『XR4』と『XR3』の違い

ビアンキOLTRE(オルトレ)『XR4』と『XR3』を比較インプレッション

オルトレ『XR4』。フレームセット41万円(税抜)。

フレーム重量980g、フォーク重量370g(55サイズ)。

 

『XR4』のほうにだけカスタムカラーTavolozza(タボロッツァ)に対応していて、
上のような奇抜なカラーリングにすることも可能です(笑)

 

ビアンキOLTRE(オルトレ)『XR4』と『XR3』を比較インプレッション

対する、オルトレ『XR3』。

105完成車で33万円(税抜)ですから、
フレーム単体だと20万強ということになり、『XR4』のおよそ半額

フレーム重量は1100g(55サイズ)で、『XR4』よりも120g重いです

 

ビアンキOLTRE(オルトレ)『XR4』と『XR3』を比較インプレッション

各箇所に注目していくと、
『XR4』のほうが①~④の部分がよりエアロな形状
そして、⑤の部分が高剛性な作りとなっている違いが見て取れます。

 

また、形状だけでなく、”中身”のほうも違っています。

『XR4』はレーシーな乗り味
『XR3』はロングライド向けの快適な乗り心地になるように
「カーボン素材」や「カーボン積層」で調整されているそうです。

①ヘッド上部形状の違い

ビアンキOLTRE(オルトレ)『XR4』と『XR3』を比較インプレッション ヘッド上部形状の違い ビアンキOLTRE(オルトレ)『XR4』と『XR3』を比較インプレッション ヘッド上部形状の違い

『XR3』が通常の丸コラムなのに対し、
『XR4』は「エアロ形状のコラム」+「インテグラルデザインのヘッド上部」

 

『XR4』は、高剛性かつエアロな
ステム一体型ハンドルVision「Metron 5D」が推奨アッセンブルですが、
通常のステムを付けることも可能です。

METRON 5D ステムハンドル一体型 METRON 5D ステムハンドル一体型

「Metron 5D」の裏側には
ジャンクションA、Di2ケーブルを収納できるギミックが設けられており、
まるでエイリアンを想像させるような不思議な造形です。

 


(オンラインショップへ)

②フォーク形状の違い

ビアンキOLTRE(オルトレ)『XR4』と『XR3』を比較インプレッション ヘッド上部形状の違い

『XR3』のフォークは、よくあるストレートフォークですが、

『XR4』のほうは、正面から見ると
ブレードとホイールとの間隔を大きく取っている弓なりの形状。

 

これはORBEA「Orca Aero」や、
ガノー「Gennix A1」などにも採用されており、

正面と斜め、両方向からの風に対して乱流の発生を抑えることができます。

 

このフォーク形状は、各メーカーも取り入れられてくるでしょう。

③ブレーキ方式の違い

ビアンキOLTRE(オルトレ)『XR4』と『XR3』を比較インプレッション ブレーキ方式の違い ビアンキOLTRE(オルトレ)『XR4』と『XR3』を比較インプレッション ブレーキ方式の違い

ブレーキに関しては、
『XR4』(左)だけがダイレクトマウント方式です。

 

ちなみに、シートステイの形状を見てみると、
空力を考慮して『XR4』のほうが、横方向の張り出しが少ないです。

④シートチューブ形状の違い

ビアンキOLTRE(オルトレ)『XR4』と『XR3』を比較インプレッション シートチューブ形状の違い ビアンキOLTRE(オルトレ)『XR4』と『XR3』を比較インプレッションレ)「XR4」と「XR3」を比較インプレッション シートチューブ形状の違い

両モデルとも翼断面形状で、
後輪に沿うようにカットオフされています。

 

ですが、『XR3』のほうが
シートチューブとタイヤのクリアランスが大きく、
また、下部は丸パイプに戻っていて、FDはバンド式。

『XR4』と比べると、エアロ形状が少し甘いですね。

⑤シートステイ形状の違い

ビアンキOLTRE(オルトレ)『XR4』と『XR3』を比較インプレッション シートステイ形状の違い

『XR3』の「チェーンステイ」と「シートステイ」は、
ロングライドモデル『Infinito CV』(上の写真)と同様に
路面からの突き上げをやわらげるようにベントされていますが、

 

ビアンキOLTRE(オルトレ)『XR4』と『XR3』を比較インプレッション シートステイ形状の違い

『XR4』は、「ダイレクトな反応性」を狙ってほぼまっすぐです。

 

赤丸の部分をゴツく一体化させているのも「駆動剛性」を出すため。

 

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『XR4』と『XR3』の乗車インプレッション

ロードバイク歴30年の自転車フリーライター
吉本司さんの乗車インプレッションを紹介します。

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ビアンキOLTRE(オルトレ)『XR4』と『XR3』を比較インプレッション 『XR4』と『XR3』の乗車インプレッション

『XR3』の走りにおいて最も輝くのは、
「中・高速域の巡航時におけるペダリングトルクの与えやすさ」と、
「バイクが滑らかに進んでくれる」ところだ。

高めの負荷をペダルにかけた時でも適度なしなりに起因して、
ペダリングの円運動に完成のような感覚を得やすく脚の運びが自然だ。

しかも、脚当たりが良く、パワーをかけ続けやすい。
おそらく、その領域における、しなりの”入り”と”戻り”のバランスの良さゆえだろう。

 

そして、『XR3』のようなエアロを意識したモデルでは、
縦方向に硬く、「安定感」や「乗り心地の良さ」が薄れる傾向にあるが、
このバイクは全くそうした素振りは見せない。

フレーム全体に減衰が効いているような感覚があり、
それが走りに滑らかさを与えてくれるのだ。

同時にどっしりと乗れる「安定性」と「乗り心地の良さ」は、
下りや荒れた路面でもバイクの挙動をつかみやすく安心感に長けている。

しかも、横の動きに鈍さは無く、
こうした感覚は振動減衰性に優れる「カウンターヴェイル」の効果かもしれない。

 

ビアンキOLTRE(オルトレ)『XR4』と『XR3』を比較インプレッション 『XR4』と『XR3』の乗車インプレッション

今回の試乗では、同時に『XR4』にも乗ったが、
やはり『XR3』との性能差は小さくない。

『XR4』はアタックやスプリントなど、
瞬間的な高負荷で踏んだ時の反応性が圧倒的に高い。

これは全体的な剛性アップによる影響なのだが、
その反面、脚力が必要なのも事実で、
性能(扱いにくさは無いが)を引き出すには脚力は高いほうが理想的だろう。

 

『XR4』が、トップクラスのレースで勝つための
「反応性」「敏捷性」を追求しているのに対し、

『XR3』は、ある程度剛性を抑制することで、
ホビーユーザーが、ロングライドからレースまで対応できる懐の深い性能が追及されている。

結局、『XR4』と『XR3』のどちらを選ぶべきか?

ビアンキOLTRE(オルトレ)『XR4』と『XR3』を比較インプレッション

ロードレース中の「高速域」や「激しい加減速」の際には、
『XR4』と『XR3』の性能差は、かなり影響してくると思います。

 

『XR4』が持っている
40km/h走行で10W削減、+0.5km/h(前作『XR2』比)という
エアロ効果の恩恵は少なくありません。

 

しかし、趣味としてロードバイクに乗るのであれば、
『XR4』の「エアロ」や「加速性」は、ほとんど発揮されませんし、

それよりも「安定感」と「快適性」のある『XR3』のほうが、
乗っていて普通に楽しいし、疲れにくいはずです。

 

「初めての一台」なら『XR3』が最適ですし、
レース志向の人がフレームを乗せ換えるなら『XR4』
ということになるでしょう。

 

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