松木です。
先日紹介した下の記事。
何℃で壊れる?9社カーボンクリンチャーでブレーキをかけ続けた結果。
自社のホイールが不本意な形で壊されて
怒り心頭に達したのでしょう。
Enve、Mavic、Boyd(ボイド)の3社から早速反論がありましたw
こちらですね。かなりの長文(^^;
ほったらかしにしておくのも良くないので、
なるべく簡潔に要点を話しておきます。
【関連記事】
反論の嵐!泥沼化するAltoのカーボンクリンチャー制動熱実験論争。
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Boydの反論
Boydの反論は一番シンプルです。
「ブレーキ面が滑りやすい」
 =「制動力が低い」
 =「ブレーキ熱が発生しにくい」
つまり、ツルツルだったら摩擦熱も発生しないので、
ブレーキ熱が発生すること自体は悪いのではないと言います。
| Alto | Alto2 | Enve | Zipp | Mavic | FSE | Roval | Bontrager | Boyd | Knight | 
| 32.8 | 31.2 | 31.4 | 32.0 | 32.0 | 32.3 | 31.5 | 30.9 | 31.4 | 32.0 | 
「実験開始50秒後のホイール回転速度」を表にしてみました。
Boydは、Altoの回転速度が一番速いことに着目し、
「Altoの制動力が低い」
=「ブレーキ熱が発生しにくい」
=「ブレーキ熱で壊れなかった」
というように反論しました。
また、ブレーキ熱に対する安全性を判断する上で、
最も大事な情報は「耐熱温度の高さ」だと、Boydは考えています。
そして、実験で記録された最高温度は、
Boydが9社中一番であった点に注目して欲しいと主張しています。
Enveの反論
続いてはEnve。
Enveは、制動力を高めるために
ブレーキ面に特別な工夫を施しています。
上の細かい模様がそれです。
対して、Altoのブレーキ面には、何ら加工は見られません。
「これでは制動力が十分とは思えず、熱が発生しにくいのだろう」
というBoydとおよそ同じ内容の反論です。
加えて、もう一点。
実験で使われたブレーキシューが
「Black Prince」で統一されていたのが問題だと言います。
メーカーによっては、長い時間をかけて
 「制動力」「ブレーキ熱」「耐摩耗性」のバランスを最適化した
 独自のパッドを開発し、ホイールに付属させています。
なので、そもそもの話、
「Black Prince」を使われることを望んでいないのです。
一般的に「Black Prince」は
熱が発生しにくいブレーキシューとされていますが、
Mavicの主張によれば、
それも結局”リムとの相性”次第であり、
純正シューよりも熱が発生してしまう場合もあるそうです。
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Mavicの反論
Mavicは「実験方法・結果自体がおかしい」
と、3社の中で最も攻撃的に反論しており、
「何か細工されているんじゃないか?」
というような疑問さえ抱いているようです。
| Alto | Alto2 | Enve | Zipp | Mavic | FSE | Roval | Bontrager | Boyd | Knight | 
| 32.8 | 31.2 | 31.4 | 32.0 | 32.0 | 32.3 | 31.5 | 30.9 | 31.4 | 32.0 | 
先ほどの「実験開始50秒後のホイール回転速度」の表です。
各ホイールは、30.9~32.8km/hと随分安定しています。
ですが、Mavicは、
「自社で行った実験(どんなものかは不明)の結果を考えると、
 もっと大きな速度差(最大50%)が生まれるはずだ」と言います。
AltoのPhase1と2(制動力を3.18kg→4.08kgにUP)比べても、
32.8km/hから31.2km/hに落ちてはいますが、
Mavicによれば、25.7km/hほどまで落ちないとおかしいそうです。
(Altoはあくまで「ズルしていない生のデータ」と言っています)
また、実験中、リムの温度を測るのに
Altoは赤外線カメラを使いましたが、
「赤外線は不正確で良くない」とMavicは指摘します。
Altoの実験では、
Mavicホイールの最高温度は
129.8℃と低い結果となりました。
ですが、赤外線とは別の、
もっと信頼性の高いMavic独自の方法で耐熱温度を測定すると、
129.8℃とはかけ離れた高温が記録されると主張しています。
(瞬間的になら200℃にも耐えるそう)
最後に、Mavicの言葉を引用(意訳あり)。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
消費者は、Altoのテストが、
 Altoが世界の最高のホイールよりも優れていると感じさせる
 ”バイアス”のかかった方法で行われていると気づかないといけません。
Altoのテスト動機を批判するつもりはありませんが、
消費者に信頼できる情報を提供し、
「Altoは良いホイールだ」
と納得した上で購入させるつもりのテストだったならば、
その狙いは単純に失敗しています。
5年以下のホイールメーカーであるAltoが、
突然、他のメーカーよりも劇的に優れたホイールを
作り出すことなど考えられません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
100年以上の歴史を持つMavicの言うことには、
どこか重みを感じさせられます。
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うーーん。
おっしゃる通り赤外線カメラは確かに気難しいんですよね。
もし可能なら、それぞれの製品を10本ずつぐらい用意しておいて。
その中から無作為抽出した5本ずつをピックアップして精度の高い温度センサーで測定してほしい気がします。
さらに許されるならブレーキシューも3種類くらい(・・・ホイール何本いるんだw)。。。
ただ、今回のテストで「カーボンクリンチャーの取り扱いには十分注意しましょう」って事だけははっきりしたので肝に銘じます(大汗
ままちゃり3さん、はじめまして(^^)
この論争を聞いている限りは、
Altoの実験は正確さに欠ける部分があったように感じますね。
ただ、おっしゃる通り、カーボンクリンチャーには
多少なりとも気を遣った方が間違いなさそうです(笑)