松木です。

 

After the controversy Team Sky’s time trial skinsuits last year, there has been plenty of discussion around what constitutes a marginal gain and what bridges into unfair advantage.

 

2019年シーズンに先駆けて、UCI規則が11点改定されました。

※UCI(国際自転車競技連合)は、
Union Cycliste Internationale(フランス語)の略で、
自転車競技の中枢を担っている世界的組織。

 

悲報。UCIがエアロパターンの入ったウェアの全面禁止を決定。

 

その内の一つが「空力学的に有利な要素を含むウェアの禁止」

 

jcf 組織

日本にもJCF(日本自転車競技連盟:Japan Cycling Federation)という団体があり、
日本の大抵のレースは、JCF規則に則って行われています。

 

そして、このJCF規則の初っ端に、

「この競技規則に明文の規定のないものは,UCI規則を準用する。」

とあるため、「UCI規則の改定⇒JCF規則の改定」と言えなくもなく、
ひいては、日本のレースにも影響を及ぼす可能性があります……

 

さすがに、来年からいきなり
「はい、それはUCI規則で禁止されているウェアだからスタートしたらダメ」
というように厳しく咎められたりはしないと思いますが、

改定後のルール内容を把握し、念頭に置くぐらいはしておくべきでしょう。

 

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ウェアに関して厳しくなったUCI規制の詳細

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“Items of clothing may not modify the morphology of the rider and any non-essential element or device, of which the purpose is not exclusively that of clothing or protection, is forbidden.”(UCI規則より引用)

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簡単に言えば、「ライダーの形状を改善する」「整流効果を生む」といった
空力学的に有利となるようなウェア要素を追加してはならないということ。

 

Castelli Body Paint 4.0
photo:Makoto.AYANO

 松木です。 ツール・ド・フランス2017、第一ステージの個人TTは、チームスカイのゲラント・トーマスが制しました。 しかも、10位までの間にチームスカイの選手が4人も入る結果となっています。  しかし、レース終了後、FDJ(エフ・デ・ジ)のコーチが、次のことを主張。 「チームスカイの選手たちが着用していたスキンスーツはUCIルールに抵触しているのではないか?」 そのルールというのは、「エアロ効果を高める物を追加してはならない」というもの。 エアロ効果を高める物、それはスキン...

 

ボルテックスジェネレーターとして機能する凹凸を持った
Castelli「Body Paint 4.0」(2017年にTeam Skyが初使用)

 

Drag2Zero de Endura

 松木です。 先日の記事でも登場したEndura D2Z『エンカプスレーター』スキンスーツ。  肩から脇にかけて無数に配置された、山型のシリコン『SST』。 Endura×D2Z『エンカプスレーター』を紹介しているIT技術者さんの記事↓ 理想的なエアロ効果を生み出させるために「効果的なシリコンの形」「SSTを配置させる場所」「縫い目の位置」「異なる生地の使い分け」など、80種類ものバリエーションを試した末に完成。 さらに、”世界最速”であることを証明するためにCastelli、Rapha、Specialized、Nopinz、...

 

整流効果のある山型シリコン「SST」を無数に配した
Endura D2Z『エンカプスレーター』(Movistarの選手が使用)

 

いずれもアウトです……

 

 

もう一点、以下の重要な項目も追加されています。

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“Modifications to the surface roughness of clothing are authorised but may only be the result of threading, weaving or assembling of the fabric. Surface roughness modifications shall be limited to a profile difference of 1mm at most.”

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ここで書かれている「surface roughness」というのは、
「メッシュ具合」ではなく「段差」という意味だと考えられます。

 

上の記述によると、ウェア表面の段差は、
あくまで仕立てる上で自然と生まれるもの(エアロ目的は✖)に限られ、
かつ、その段差は1mm以下でなければなりません。

 

bioracer air strip

Bioracerが開発し、今では多くのメーカーが真似をしている「Air Stripe」

 

最近では、国内のSunvoltやKapelmuurなんかも採用している整流加工ですが、
「生地に織り込まれているもの」かつ「1mm以上の段差ではない」との判断で、
UCI規則に適合しており問題ありません(UCIや国内自転車競技団体に確認済み)。

 

先日海外のニュースサイト・cyclingnewsでUCI(国際自転車競技連合)のルールが改定され、チームスカイやモビスターチームが採用している"スピードスーツ"が使用できなくなったと報じられました。この記事の冒頭に参考としてBIORACER/ビオレーサー製のスピードスーツの画像や関連記事のリンクがあり、また記事中カステリのブランドマネージャーの発言として「溝付き生地を使用したすべてのスーツの溝は1mm以上であるため、違法であるはずです。」とのコメントも掲載されました。 cyclingnewsの記事により、一部のメディアや...

 

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今後、サイクルウェアはどうなっていくのか?

悲報。UCIがエアロパターンの入ったウェアの全面禁止を決定。

今回のウェアに関するUCI規則の改定は、
ルールの隙間を、際どくすり抜けるように繰り広げられてきた
「ウェアへの特殊加工による空力合戦」に歯止めをかけるもの。

 

徐々に過激になってきていましたから、
公平を期すためにも仕方ない規制なのかもしれませんね(^^;

 

 

では、ウェアに進化は、ここでストップしてしまうのでしょうか?

 

 

パールイズミ スピードセンサー パールイズミ スピードセンサー

パールイズミ独自の技術「スピードセンサー」なども
「Body Paint 4.0」「Air Stripe」同様に、
空気抵抗を大幅に小さくする効果があります。

 

ですが、これは”生地自体が元々持っている特徴”ですから、
「①空力学的要素の追加」「②1mm以上の段差」には当たらず、
ギリギリUCI規則に抵触しないのでは?と考えられます。

 

そして「スピードセンサー」だけではありません。

 

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“We’ve been working on a number of new speed suits that comply fully with the new regulations and are in fact faster than the 4.0 pimples suit. ”

”私たちは、新しい規則に完璧に遵守する新型スピードスーツ開発に数多く取り組んできました。そして、その新型は「Body Paint 4.0」よりも実際に速いウェアです。”(Castelliより)

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次なる”速さの追求”へと、各メーカーは既に歩み始めているようです。

 

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