松木です。
現在注目を浴びているSACRA『 KYLE IGNITE』ホイール。
この度、チューブレス対応モデル
- 38mm『KYLE 3 IGNITE TLR』(以下『KYLE 3』と略)
- 50mm『KYLE 5 IGNITE TLR』(以下『KYLE 5』と略)
その両方をご厚意により乗り込ませていただきましたので、
今回はその比較インプレッションです。
ヘタなことは書きづらいという気持ちも正直ありますが、
だからと言って、思ってもないオベンチャラを並べるつもりもないのでご安心を。
今回のインプレッションでは、
- 『KYLE 3』と『KYLE 5』の差
- カーボンスポーク採用による走りへの影響
この2点に焦点を当てていきたいと思っていますので、
先に、金属スポークのノーマル『KYLE 5』のインプレを
読んでおいてもらえればと思います↓
【乗車前インプレッション】
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目次
【剛性感】『KYLE 3』75点/『KYLE 5』90点
両ホイールの最大の違いは「剛性」です。
まず最初に『KYLE 3』の方に乗りました。
「カーボンスポークだと、さぞ硬いんだろうな」
ということを予想しながら走り出したのですが、
「あれっ?硬くない?むしろちょっと柔らかく感じるぞ……」
そして、次に『KYLE 5』に乗ってみたところ、
ちょうど良い剛性感 (゚∇^d)
普通に走っている分には、特に気にならないのですが、
ダッシュしたり、ダンシングしたりと、
「剛性」が試されるような走り方をすると、違いがハッキリします。
『KYLE 3』だと”たわんでいる感”が強め。
対して『KYLE 5』の場合はそのような感触は無く、
また逆に、脚に跳ね返ってくるような嫌な硬さでもなくて良い塩梅。
「剛性」に関しては、
”体重”、”パワー”、”好み”といった要素で、
スイートスポットは変わってきます。
ですから、誰に対しても正解の剛性絶対値というものは無いのですが、
自分の場合は『KYLE 5 IGNITE』の「剛性」がドンピシャでしたね(^^)
そして、おそらく「体重+車体などの装備」が65kg前後のライダーであれば、
38mmの「剛性」がマッチしてくるんだろうなと想像できました。
ちなみに、金属スポークのノーマル『KYLE 5』も含めた剛性比較をしますと、
『KYLE 5 IGNITE』(やや硬め)>『KYLE 5』(若干物足りない)>『KYLE 3 IGNITE』(柔らかめ)
「金属スポークに対してカーボンスポークの伸び剛性は3倍」
そう言われると、”ガチガチ”である誤解を招きそうですが、
実際に走ってみると、全くの杞憂だったことが分かりました。
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【巡航性】『KYLE 3』90点/『KYLE 5』100点
ROVAL、BORA、SHIMANOなど、
有名所の50mmハイトには概ね乗った経験がありますけど、
『KYLE 5』より「巡航性」に優れたホイールを知りません。
故に満点。
30km/hを超えた辺りから早くも「巡航性」を発揮。
減速感が抑えられ、風を切り裂いているような走りは”快感”の一言に尽きます。
風洞実験上、『KYLE 5』と『KYLE 3』の間にそこまで大きな差は無いのですが、
現実には、数字以上の違いを感じるから不思議です……
(『KYLE 3』の方もヘタな50mmホイールよりも普通に伸びます)
ちなみに、カーボンスポークが空気をかき乱しているような印象は無く、
「巡航性」に体感できるレベルでの悪影響はありませんでした。
【加速性、登坂性】『KYLE 3』90点/『KYLE 5』90点
『KYLE 3』は、常に走りに”軽やかさ”を纏っているホイール。
ですが、『KYLE 5』も全くもって負けておらず。
リム重量は『KYLE 3』401g、『KYLE 5』444gとなっており、
片側43gも重いはずなのですが、『KYLE 5』はそれを感じさせません。
思うに、『KYLE 5』の「剛性」「エアロ」が機能する結果、
重量のデメリットを撥ね退けてしまうんだろうなと。
「50mmもあって坂はまともに登れるのか?」という心配は無用の長物。
緩斜面なら「巡航性」が発揮され、
急斜面でも「ディープリムの割に軽量なリム」が威力を発揮。
また、カーボンスポークによって「剛性」も高くなっているために、
ノーマル『KYLE 5』よりも急勾配をシャキシャキ登れる感触がありました。
『KYLE 3 IGNITE TLR』1232g、『KYLE 5 IGNITE TLR』1320gと、
車体全体の軽量化にも貢献してくれますから、クライマーにもGOOD。
【快適性】『KYLE 3』95点/『KYLE 5』90点
乗り心地は極上。
とは言え、ホイール自体の乗り心地よりも
MAVICのチューブレスタイヤが圧倒的。
クリンチャーだと7bar入れないといけない所を
チューブレスだと6barで済みますから「そりゃ全然違うだろ」という話です(笑)
ちなみに、エイジサイクルの岩島さんは、
「カーボンスポークのしなやかさが気に入った」とおっしゃられているそうなので、
カーボンスポークが「乗り心地」に影響を与えている面も多少はあると思われます。
コーナリングの食いつきも異常。
いくら車体を傾けても、滑りそうな気配はありません。
コーナー侵入前に、クリンチャーの時と同じように減速すると、
「そんなにブレーキをかけなくても行けたな」と思うこともしばしば。
チューブレスは「転がり抵抗が小さい」などと言われたりもしますが、
そんなことより「走りの質」そのものが大きく変わることの方が重要。
そして、その「走りの質」の向上が、
ひいては”速さ”にもつながってくるという感じがしますかね。
【ブレーキ】『KYLE 3』80点/『KYLE 5』80点
リム自体はノーマル『KYLE』と同じですから、当然「制動力」も変化無し。
雨さえ降っていなければ、特に不安を感じることはないものの、
ブレーキ面になんら特殊加工が施されていないため、
リムが濡れれば、普通にブレーキは効きづらくなるでしょうね。
【まとめ】ホイールの新たな可能性を提示したKYLE IGNITE
『KYLE 3 IGNITE TLR』
【剛性感】75点
【巡航性】90点
【加速性&登坂性】90点
【快適性】95点
【ブレーキ】80点
【お気に入り度】85点
良くも悪くもクセの少ない万能型。
「剛性」は決して高くはなく、
「体重が軽い」もしくは「ハイケイデンスで走る」ライダーに適するかと。
それから、多少柔らかいが故に「乗り心地」が良く、
また、横風に煽られにくくて「コントロール性」の優れるという特徴から
サイクリング志向の方には『KYLE 3』が向いているでしょう。
『KYLE 5 IGNITE TLR』
【剛性感】90点
【巡航性】100点
【加速性&登坂性】90点
【快適性】90点
【ブレーキ】80点
【お気に入り度】95点
『KYLE 3』よりも100g弱重いものの、
その重量差をチャラにする「エアロ」は圧巻。
もはや”官能の域”にあります。
カーボンスポークによって55g軽量化されている上に、
感じ取れるレベルでの「剛性」アップにより、
50mmハイトであることを忘れてしまう「俊敏性」も獲得。
褒める事しかできず悔しいですが(笑)、
やはり『KYLE 5』こそが『KYLE』の真骨頂だという感じがしますね(^^)
「軽量」「高剛性」「振動減衰」
メリットは明白ながらも、
一本一本成型しなければならない”手間”と”コスト”を考慮すると、
大手メーカーは易々と踏み切ることが出来ないカーボンスポーク。
「もっと優れたホイールを」という強い向上心を抱き続けた
SACRAだからこそ生み出すことが実現した『KYLE IGNITE』は、
ロードバイクホイールの新たな境地を切り拓いたと言えるでしょう。
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松木様
今回も実に興味深い記事をありがとうございます!
これまで僕は、「TREKのフレームにはアイオロスでしょう!」と、律儀な選択しかしてきませんでした。 もちろん、それで不満があったどころか、大満足しておりましたので、何の問題もないのですが。
最近、期せずしてロングツーリング帰りに雨に降られた際、ブレーキが全く利かなくなったという経験をしてから、にわかにMAVICに憧れを持つようになりました。 ディスクなんていらない!くらいに、雨中でもよく止まるそうですから。
(※それでも、雨の中で走るなんてことは、自分の中では一切想定してない・笑。)
ただ、今回の松木さんの「巡航性」のコメントを拝読し、かなりこのホイールに興味を持ちました。 なかなか機会はないと思いますが、どこかで市場できないかなと思います。 「最高」の評価は、ぜひ自分の脚で味わいたいですからね。
早いもので、もう12月も半ば。 年明けのHURUの納車を心待ちにしつつ、新たな年を迎えたいと思っております。
ゆうぽんさん、こんにちわ!
アイオロスの雨天時のブレーキの効かなささは恐怖ですよね(^^; 以前に、山頂でゲリラ豪雨に遭い、ツルッツルのブレーキで下ったことがあります(笑)
MAVICはブレーキ面もそうですし、他メーカーには無い「上品な乗り味」が好きですね!
それから「巡航性」に関しては、アイオロスも相当なものですよ。記事の中では話していませんが、KYLEを100としたら、アイオロスは97ぐらいで、正直ほとんど差はありません(笑)ですから、正直申しまして「更なる巡航性」を求めるつもりなら意味は薄いと思いますよ。
KYLEとアイオロスの一番の違いは「軽快さ」です。リムがアイオロスよりも軽そうですし、アイオロスよりも若干「剛性」はあるように感じ、それらが「軽快さ」を生んでいるような印象でした。
もし試乗されたいようでしたら、SACRAのFacebookのメッセージから一度伺ってみてもいいかもしれません。
松木様
いつもレスを付けていただきありがとうございます。
ふふふ、アイオロスは97ですか! その「3」が気になるところですww。
しかもコルクシューだったってのもあると思います。 BLACK PRINCEだと、もう少し効いてくれるのかもしれません。 ま、基本、晴れの日にしか乗らなければ同じなんですけどねww。
次は、実際に購入されたjyaさんのインプレを楽しみにしています。
ゆうぽんさん
インプレ待たれてるとは知らず、コメント下の方見てませんでした、スミマセン
買いました
乗ってみました
比較対象
BORA ULTRA50 CL(50mm 1435g AC3以前の型 友人からカリパク中)
GIANT P-SLR0 CL(55mm 1540g 2015)
ROVARL CLX40 CL
タイヤ
クリンチャー F:ブリジストン赤/R:ピレリP-0(6.5bar)
チューブレス マビック 25C SACRA推奨のヤツ(5.8bar)
ブレーキシュー
BBBの白
BORA、GIANTと比較して横風の影響をほとんど受けなかったのがビックリ
上記2機種ならハンドルとられるので構えるような横風でふつーに走れたことに感動した、下りでも風が怖くて減速する場面で気にならなかった
ゼロ発進はBORAと変わらない印象、GIANTより速く上がっていく、LightweightG3(2年前に壊れて以来乗ってない乗れない)よりはゆっくりな印象、当たり前?w
巡行性は、風の影響なければ差がわからなかった 50㎜ハイトの普通な感じ
クリンチャーで走った上記印象に加えてチューブレスでは乗り心地がすごくよくなった、これはホイールよりもチューブレス低圧の恩恵でしょうね
ROVALの持ち主(体重45kgのクライマーおっさん 私は62㎏普通のおっさん)とホイール入れ替えてしばらく(80kmくらい)走ってみたお互いの印象
私:ROVAL軽い/柔らかい、(SACRAに比べて)ブレーキ効きがイマイチ、巡行性はSACRAが上
彼:SACRAかかりがいい、ブレーキがよく効く、風の影響少ない、へんな挙動もないし結構いいんじゃない!?
もはや炎上記事やケンカ?の頃のものとは全くの別物(だと思う)買ってよかったと思ってます
ROVAL50と価格差がありますが、ROVAL買えるお金持ちでもブランド気にしないならこっちでいいんじゃないかと思う
追記:
取付に関して、初期のチューブレスは固いとかビードが上がらないとか石鹸水必須とかありましたが、今回 石鹸水なしタイヤレバーなしで手ではめて、普通にフロアポンプでビード上がりました。
シュワルベのタイヤブースターを購入して構えてたのに拍子抜けw
jyaさん、詳細なインプレッション有難うございます(^^)BORA、GIANT、Rovalと比較されていて分かりやすいですし、自分以外の方の感想を聞けて大変参考になりました!
すんごいヨタ記事と思いながら(嘘)先ほど発注しました(本当)
上の方同様年明けの納車を心待ちにしつつ、、、黒い新車に合わせてロゴなしのカラーオーダー真っ黒で黒い新年を迎える予定です
イロイロ情報ありがとうございました
jyaさん、はじめましてm(__)m
それはそれは、参考になったのであればなによりです(^^)
新車とニューホイール、年明けが楽しみですね!