Lun『Hyper』実物インプレッション第二弾は「リム編」

業界最高レベルの高剛性・高強度・高耐熱性と謳う、その理由に迫りましょう!

 

前回⇩

例の悪魔的ホイール⇩が届きました。  早速実物を眺めたり、いじくり回したりした所、色々と面白い事が判明。全部いっぺんに話してしまうと結構な長さになるんで、少しずつ話していきますねー(^^) まず今回は「購入までの流れ」「付属品」「実測重量」あたりの事を。 【次回以降⇩】 【2023年NEWモデル】どこで購入したか?Winspace Japanのオンラインショップ「W.V.C.C.Store」より購入。名古屋サイクルスポーツデイズでのブース訪問特典により、10%オフの156,420円でした。 実は、本家Winspaceや中国オ...

 

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基本スペック(寸法、重さ)

とあるサイトの情報によりますと、
38㎜リムブレーキ仕様の実測値は430~435g前後

そして50㎜の実測値が470g前後だそう。

 

ホイール重量が軽い(実測1259g)ですから
リム重量も相当軽いのかな?と想像しましたけど、
思いのほか標準的な数字に落ち着いてますね……

 

……まぁ確かにBONTRAGERのOCLVのように特殊カーボンでも使用しない限り
これ以上の軽さを得るには「剛性/強度」という犠牲を払わねばなりません。
(軽さ過ぎれば、たわんで推進力が吸収される(動きがもっさりな)リムの一丁上がり!)

 

それに、リムが軽くなるほど回転慣性(巡航性能)が失われていくデメリットも考えれば、
Lun『Hyper』のリム重量ぐらいが”スイートスポット”なのではないでしょうか?

 

 

ちなみに、名古屋のWinspaceブースでリムのカットサンプルを見させて頂いたんですけど、
大体この画像と似た「”ツルツル”とはいかないまでも、樹脂ムラは限りなく少ない」感じでした。

 

Winspaceのフレームでは、極力内面にシワが生まれないよう
画像のようなEPS(発泡スチロール)の型にカーボンを巻いて成型しています。

 

リムのカットサンプルの内面もキレイな仕上がりでしたし、
おそらくLun『Hyper』でも同様の手法が用いられているはずです(^^)

 

『バタフライエフェクト』カーボンパターンの謎

カーボンの糸を巻くことでできる模様です。単なる化粧ではありませんよ」

そうおっしゃっていました。

 

ですが、間近で観察すると「カーボンの糸」とはちょっと違うように見えますね。。。

正確には「22㎜幅の薄いUD(単一方向)カーボンシート」だと思われます。
(UDカーボンシート自体は「カーボンの糸」を一列に並べて作られますが)

 

 

この『バタフライエフェクト』カーボンパターン、
ボーッと眺めているだけではランダムに配置されているように見えるのですけど、
その流れを順に追っていくと”規則性”があることに気づきます。

 

…………どうです?

どのように巻かれているか分かりますか?

 

そう、スポーク穴の箇所が4重になるように
左右交互に4回たすき掛けして巻かれているんです。

これは面白いですよねぇ~(^^)

 

 

スポークを通す用の穴を開ければ、当然そこの強度は落ちてしまいます。

しかも穴周辺の応力が集中しやすくなってしまった所を
さらにスポークで強く引っ張ることでホイールは成り立っています。

 

ですから、スポーク穴はホイールにおけるいわば”弱点”なんです。

 

ここの強度が不足していれば、”たわみ”が発生してしまうため
もろにホイールの「剛性」に影響しますし、

リムの軽さを売りにしている(薄すぎる)ホイールなんかでは、
スポークテンションに負けて穴周辺が盛り上がって壊れるケースもあったりしますね。

 

だから、スポーク穴周辺に4方向からUDカーボンシートを巻いて補強して
「剛性UP」「強度(耐久性)UP」を図る、という考えは理に適っています。

 

試しにリムの腹を親指で押してみました。

UDカーボンが巻かれていない場所を押すと若干凹む感覚があるのですが(左図)
UDカーボンが巻かれている場所を押してもビクともしません(右図)

 

「バタフライエフェクト」カーボンパターンがはっきり効いてますね~(^^)

 

すべてのスポーク穴(前輪16ヶ所、後輪21ヵ所)に同様のパターンが施工されているため、
スポーク穴周辺どころか、ホイール全体の剛性・強度UPにも貢献していることでしょう。

 

スポークがついているリムの部分の材料を増やし、ついてない部分の材料を減らす。
この精密なカーボンの増減によって重さ/強さの優秀なバランスを取っているんです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・—Lun『Hyper』のカタログより抜粋

 

バタフライエフェクトの有り無しで
剛性・強度を比較している実験データなどあれば更に説得力は増すのですが、
残念ながらそれらしいものは見当たらず……

 

Lun『Hyper』の重量制限が135kgなのに対し、
バタフライエフェクトが無いこと以外は同じUnaas『X』は130kg。

ひょっとするとこの5kgの差=リム強度の差なのかもしれません。

ブレーキ面(樹脂、精度、制動力)


(ブレーキ面以外には薄いクリアが塗られているため若干黒め)

見た目上は分かりませんが、ブレーキングによる熱変形を防ぐため
「リムの上に超高熱に耐える樹脂(=耐熱レジン)を付けている」とのこと。

 

リムに使われている樹脂全体が「耐熱性」が高いものなのか、
それともブレーキ面にのみ耐熱レジンを塗っているのか………一体どっちなんだろう?

 

 

横振れ、縦振れを確認してみる。

スポークの本数が少なかったり(Hyper前輪16本)
2:1組で組まれていたり(Hyper後輪)なんかすると振れ取りの難易度は上がるんですが、
このホイールは前後輪とも”振れ”が皆無でした

 

なんでも製造時の目標値が±0.2㎜以内

 

これを実現するため、腕の立つホイール職人を雇っていることに加え、
「ブレーキ面のフラット精度」にもこだわっているのだそう。

 

ブレーキ面のフラット精度は、
「ブレーキフィーリングの向上」と「ブレーキ熱の局所的な上昇の防止」
にも大きく関係する、非常~~~に大事なポイントですよ(^^)!

 

 

続いて、最も肝心なブレーキの「制動力」について。

これに関してはまだ走れていないので申し上げられませんが、
「付属のブレーキパッドがカンパ以上に効く」と伺いました。

 

 松木です。 前回に続き、制動力テスト。【実験1】「R9100」vs「9000」。新旧DURAブレーキ比較インプレッション。 今回はカーボンリム用シュー3種類の比較。 用意したシューは新品ではなく、どれもそれなりの期間使用してきたものです。 3種類それぞれのシューの特徴Campagnolo「BR-BO500X」。重さ12.8g。カンパニョーロのカーボンホイールによく付属してくるシューです。 「ブレーキの効きが良い」ということで、カンパホイールユーザーでなくてもこのシューを単体で購入して使っている人もいるぐらい...

 

以前おこなった峠下りテストにより「カンパ>ブラックプリンス>コルク」と判明してますんで、
”カンパ以上”が本当ならば『Hyper』の制動力は心配いらないんじゃないかと思われます。

 

付属するパットは”R 453”という文字の入った台湾製のもの。

商品説明によれば「しっかり効く、しかも熱が出にくい」とのこと。

別に『Hyper』の専用品ではありませんが、推奨パッドではあります。

 

【まとめ】業界最高レベルのリムの正体

見栄えのするバタフライエフェクトパターンも
つまるところ「強度」と「軽さ」を両立するべく
カーボン積層数をコントロールしているだけです。

 

「空力・剛性・軽さのバランス取れたリム形状」

「いずれの性能も犠牲にしない適度なリム重量」

「重量増、強度ムラにつながらない平滑な内面」

「耐熱、フラット精度にこだわったブレーキ面」

 

 

いずれも普通っちゃ普通。

 

………そうか。

 

なんてことはありませんでした。

 

「当たり前」を軽んじずにきちんとやる。

 

”基本にとことん忠実に”

 

この誰しもが出来そうで案外できない事をやっているが故に
「私たちのリムは業界最高レベルである」と自負できるのでしょうね(^^)

 

 

次回「スポーク&ハブ編」へと続きます。

 

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