松木です。
スペシャライズドの風洞実験を紹介。
第四弾は『エアロフォーム』です。
最も風を受ける身体に関わる部分だけあって、
その効果は絶大です。
~関連記事~
【速く走るための風洞実験・エアロ効果①】身体各部の毛を無くすと?
【速く走るための風洞実験・エアロ効果②】フレーム、ホイールなど各種装備
【速く走るための風洞実験・エアロ効果③】ドラフティングの秘密
【速く走るための風洞実験・エアロ効果⑤】頭の位置に留意せよ!
【速く走るための風洞実験・エアロ効果⑥】ケーブル内蔵って意味あるの?
【速く走るための風洞実験・エアロ効果⑦】Qファクター/スタンスは狭める?
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ドラフティング中のエアロフォームの効果(動画リンク)
ブラケットからドロップに移ると、
何%のパワーセーブができるかという実験。
13%の出力削減効果。
「それなりに効果はあるな」といった印象です。
ただ、この実験の肝はここではなく、
「ドラフティング中ならどうか?」という点にあります。
19%の出力削減効果。
空気抵抗が半分以下となるドラフティング中であったとしても
エアロフォームによる恩恵は十分得られるという結果です。
つまり、集団内にいたとしても、
エアロフォームを強く意識して走ることで、
もっと楽に走れ、脚を温存させることにつながります。
これを実践できている人は、案外少ない気がしますね(^^;
平地でのエアロフォーム(動画リンク)
比較したフォームは下の4種類。
左上から順に「トップ」「フード」「ドロップ」
そして右下の「トップに腕を乗せるフォーム」。
頭の位置は下へと低く、前面投影面積は小さくなっていきます。
「トップに腕を乗せるフォーム」に関しては、
横幅もかなり狭くすることができ、
さらに腹部に流れ込んでくる空気を減らすことができる
平地巡航で考え得る、最もエアロなフォームと言えるでしょう。
こちらが40km走行でのタイム短縮効果です。
頭の低いフォームほど速いことが分かりますが、
「トップに腕を乗せるフォーム」だけは別格。
仮に「トップ」で42km/hで走れるならば、
「トップに腕を乗せるフォーム」を取るだけで
一気に46.5km/hまでスピードは上がり、
40kmTTを335秒も速く駆け抜けることができます。
ちなみに「角を持って腕を90度に曲げるフォーム」は
「ドロップ」よりも空気抵抗は小さいです。
「ドロップ」を持って巡航する人は多いですが、
個人的には、こちらのフォームのほうが良いと思っています。
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ダウンヒルでのエアロフォーム(動画リンク)
ドロップを持ち、頭を下げたフォームを基準とします。
このフォームで61km/hで走れるならば、
別のフォームにすると何km/hになるか?という検証です。
60km/hを越えてくると、
ギアが足りなくなってきますから、
更にスピードを上げるとなると、
フォームで工夫するしかありません。
上の写真それぞれ+3km/h、+7km/hという結果で、
エアロ効果は大きいですね。
左側のフォームは、
ハンドリングが不安定になるものの
それほど難しくはありません。
対して、右側のフォームは極端な前荷重であり、
一瞬ヘマで、あの世行きにつながる危険なフォームです。
練習で慣れておくのは必須ですし、
「長い直線」「路面がキレイ」という安全条件が揃わなければ、
まず使うべきではありません。
サガンの目を奪われるダウンヒル。
ダウンヒルでの足の位置(動画リンク)
ダウンヒルで取るべき上半身のフォームは分かりましたが、
「足の位置」はどうでしょうか?
-6%の下りを、59km/hのスピードで
脚を回しながら走っている状態を基準とします。
(ちなみに、回転数の違いによる空気抵抗の差はありません⇒こちら)
まず、片足を下げた場合。
この状態は空気抵抗が大きいらしく、
1km/hも遅くなってしまいました。
続いて、両足を水平にします。
右足は上がりますが、その分左足が下がります。
前面投影面積は±0で
空気抵抗も変わらない気がしますが、
意外にも+0.3km/hという結果に。
つまり、片足を下げた場合に比べて、
1.3km/hもスピードアップできることになりますから、
足の位置でさえも意識する価値は十分にあります。
以上の空力データを元に、
「安全性(エアロの高いフォームほど難しくて危険)」
「持続性(短時間で出力が落ちてしまうなら意味がない)」
も考慮して、その時々に合ったフォームを選択するのが
賢い走り方だと思います。
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