【本日のお品書き】
- RIDLEY『Noah Fast Disc』
- RIDLEY『Helium SLX Disc』
- RIDLEY『Fenix SLiC』
- T&K『Neo Cozma 6-4』(フルチタンフレーム)
- T&K『Neo Cozma 3-2.5』(フルチタンフレーム)
これまでのインプレ15台⇩
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目次
試乗インプレッション最終回
RIDLEY『Noah Fast Disc』推定102万
一目見て「あれ?なんか変わった??」というのが第一印象。
パーツ構成がいつもと違う……URSUSホイールにGP5000タイヤ……サドルはSMP??
知らぬ間に代理店さんがミズタニ自転車さんに変わったんですね~
【剛性感】8~8.25点
【加速性】7点
【振動吸収性】8点
【巡航性】9.5点
【お気に入り度】6.75点
(※8点で「なかなか良い」)
「うわぁぁ……これはイカンな……(^^;」
走り出しの印象があまり~~~にも悪い!!!
URSUS『TC67 Disc』(フロント780g/リア890g)
こやつが車体全体のイメージを支配していました。
踏み込みに対するリニアな反応は無く、
「よっこらせ」と重い腰を上げるかのような挙動。
”グワングワン”と低音を響かせながら、じっくり時間をかけて加速していきます。
67㎜ハイトで、リム重量は500g近くありそうな……
リム幅も外28㎜、内21㎜と極太タイプで、まさしく”癖の塊”。
RIDLEY『Noah Fast Disc』の乗り味を確かめたいのに、
このホイールに意識が持って行かれて、なかなか集中できんwww
”激しい加減速の少ない平坦基調クリテリウム”
こんなシチュエーションなら最高なんでしょうけど、
それ以外でこのホイールを使いたくはないですね……
誤解無きよう言っておきますが、
以前に試乗したリムブレーキ版が素晴らしかったですから、
『Noah Fast』フレーム自体の性能は間違いなく高いです。
RIDLEY『Helium SLX Disc』推定93万
【剛性感】8.5点
【加速性】9.5点
【振動吸収性】9.25点
【巡航性】9.5点
【お気に入り度】9.5点
(※8点で「なかなか良い」)
おおぉ~~~!”スパーンッ”と目が冴える機動力!!( ✧Д✧) キラーン
軽いが故の「不安定さ」もなく、直線の伸びも良い!
各性能の高さはAethos Proと肩を並べる程のもの。
ただ一つ、走った瞬間に人馬一体になるような感覚、
”シックリ感”とでも言うような曖昧なフィーリングはAethos Pro完成車が上。
それゆえに【お気に入り度】に関しては
Aethos Pro完成車に一歩譲ってしまうものの、
フレーム単体でならAethos Proとほぼ互角に渡り合います。
(参考フレーム重量:Aethos Pro 56サイズ塗装あり699g、Helium SLX Disc Mサイズ塗装無し825g)
ホイールをURSUS『TC37』から別の物に交換すれば無敵になるはず!
(『TC37』はフレームの邪魔をせず、良いホイールでしたが)
FORZA(フォルツァ)のカーボンエアロハンドル&アルミステム。
これはRIDLEYのパーツブランドですねー(^^)
RIDLEY『Fenix SLiC』推定70万
”エンデュランスバイクの王”
【剛性感】8点
【加速性】8.75点
【振動吸収性】9.5点
【巡航性】9.5~9.75点
【お気に入り度】9.5点
(※8点で「なかなか良い」)
Fenixって数多あるエンデュランスフレームの中でも
ピカイチの「振動吸収性」を誇る、体に優しいフレームです(石畳クラスのガタガタ道を想定)
その反面、
「日本の路面は綺麗だし『Fenix』の快適性はオーバースペックだよなぁ…」
「運動性能面でやや物足りなさがあるなぁ…」
とかの小言を言いたくなるようなデメリットもあったんですね。
そういった負の要素が、
フレームの再設計だったり(Flex領域とStiffness領域の役割分担)
ケーブル類完全内蔵できるステム一体型エアロハンドルの採用(Fast Integrated Cockpit)
これらのテクノロジーにより
・・・・”エンデュランスバイク”
・・・・・・・・・⇩
”エアロエンデュランスレーサー”
2021年モデルにて「完全変態」と言っても過言じゃない進化を遂げました。
(30と24トンカーボンを使用。NoahとHeluimは60/40/30トンカーボン)
今回試乗した20台の中では、こいつに乗った時が最も路面が滑らかに感じました。
それでいて「俊敏性」「エアロ」も全く犠牲になってない!!
それどころか
並外れた振動吸収性の高さがインピーダンス(振動によるパワーロス)を減らしているためか、
「高速巡航性」に関しては、純粋なエアロロードに匹敵するものを感じました。
……大したもんです(^^;
これまでRidleyというメーカーは「Noah一強」だと思ってたんですけど、
現ラインナップだと『Helium』『Fenix』も同じぐらい魅力的!あまりにも捨てがたい!
『Noah』⇒平地のスピード重視
『Helium』⇒ヒルクライム重視
『Fenix』⇒なんでもござれ!!
『Fenix』はエアロハンドル付属して税込30.8万とコスパも良し!
エアロ狂信者の自分でも『Helium』か『Fenix』を選択したくなります(^^)
T&K『Neo Cozma 3-2.5』推定85万
カーボンハイエンドばかりに囲まれると、
ついつい乗りたくなってくる金属フレーム。
今回はT&KのNeo Cozma(ネオコズマ)というフルチタンモデル(フォークまでチタン製!!)
台湾マカオの敏腕ビルダーが生み出す技術の結晶。
ヘッドチューブの造形が、既にチタンらしからぬ曲線美(;゚д゚)ゴクリ…
日本の窓口となっているのはスマートコグ・スピードコグ事業部、監修がTACURINO。
シートチューブに走った、見慣れぬ斜めの模様。。。
これはなんと接合跡!!
細長いチタンの板を螺旋状に巻いて精密溶接された「スパイラルチューブ」
なんでも溶接箇所がチューブに満遍なく配置されることで、
「ねじり」や「曲げ」に強くなるのだそう。
それゆえ大きなパワーを受ける
「ダウンチューブ」「シートチューブ」「右チェーンステイ」
の3本のチューブに採用されていました。
(親切な職人気質の方が、色々教えて下さいました^^)
【剛性感】8点
【加速性】6.5点
【振動吸収性】9点
【巡航性】9.25点
【お気に入り度】8.75点
(※8点で「なかなか良い」)
「ほほぅ~~車体に力が蓄えられていく感じが面白いな……」
カーボンフレームとは明らかに一線を画す性質。
「加速感」には乏しかったですけど、
ペダリングパワーがフレームに蓄積されてしまえば、その後は楽チン。
重量(48size:1455g+Fork535g)にも起因するであろう”どっしり”した安定感を伴いながら、
まるでまっ平らな平滑面を滑走しているか如き「巡航性」は病み付きになりそう。
試しにコース脇の小さな段差を越えてみた所、随分とマイルドに感じるぞ!
このあたりはTi3-2.5(3%アルミ、2.5%バナジウム)という
比較的剛性の低いチタン合金特有の素材の味が出ていたのでしょう。
ホイールはFOSS『Zero Drag Hub』(水色のチューブ出してるあのFOSS)
この”Zero Drag”の名の由来はリアハブのラチェット構造にあります。
足を止めている間は、磁力によってラチェットの噛み合いが解かれ(写真①)
再度ペダリングを開始すると、②の爪がラチェットを押して噛み合う仕組み。
ですからラチェット空転時の回転抵抗は0。音も無音です。
確か「グッドデザイン賞」を獲得したともおっしゃっていました。
このラチェットに乗った感想を忌憚なく話すと、
- 良い点:足を止めた際の減速感は確かに少ない。十分体感できるレベル
- 悪い点:ラチェットが噛み合うまでの空回り区間が長すぎるのがツライ
試乗中に何度も確かめた結果、爪が引っかかるまでおよそ30度を要しました。
これを一般的なラチェットに置き換えるならば、
360度÷30度=12ラチェット相当という事になります。
コーナーの立ち上がりで脚を回し始める時に
一瞬”スカッ”となる気持ち悪さがありましたし……これはいずれ慣れるものなのか??
「無抵抗」は良かった反面、この空回り感はちと厳しいものでしたね。。。
T&K『Neo Cozma 64』推定110万
メイン素材として6-4チタン合金(アルミ6%、バナジウム4%)を使用した高剛性モデル。
見事な鏡面仕上げです!
こちらの車体にもスパイラル溶接の跡が見られますが、
実際の商品ではこれが消えるまで研磨されるのだそう。
それが実現可能なのは、
6-4チタン合金が硬くて強度があるために薄くできるが故です。
【剛性感】8.5点
【加速性】8.75~9点
【振動吸収性】8点
【巡航性】9点
【お気に入り度】7.25点
(※8点で「なかなか良い」)
う~~ん………どうなんだろう?
確かに踏み応えがしっかりしていて
「素早さ」を感じられるのはこちらですけど、
チタンらしさを顕著に感じられたのは、
さっきの『3-2.5』の方だよなぁ……( ̄ヘ ̄)ウーン
この『6-4』の方にチタンらしさが無い訳じゃないですが、
”滋味があり、しなやかで優しい大人の乗り物”
そういうフルチタンフレームのイメージにマッチするのは『3-2.5』の方。
もちろんチタンフレームにおいても
「硬さ」なり「加速性」なりも求める方も一定数いるでしょうから、
『6-4』のニーズもあるんだとは思いますけどねぇ~
つまり、チタン独特の乗り心地を味わえつつも
「普段から激しい乗り方をする」「レースで勝負したい!」という欲張りさんならば、
『6-4』の方が向いています。
それが『3-2.5』ではちょっと苦しい。。。
そうではなくて
”チタンらしい趣ある上品な味わい”を存分に堪能したいのであれば『3-2.5』かなーと。
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試乗車全20台のBEST5を決めよう
ホイール部門
- Lun『Hyper』38㎜
- Lun『Hyper』50㎜
- Mavic『Cosmic SLR 45』
- Roval『Alpinist CL』
- ZIPP『303 Firecrest』
とりあえず順位付けはしましたけど、
この5本の「絶対戦闘力」はほぼ横並びです。
Roval『Alpinist CL』(33㎜/1370g)はリム高がほんの少し低くて
「汎用性に欠けるんじゃないかな?」とちゃちなケチを付けたくなる程度。
ZIPP『303 Firecrest』は速いけど、無機質な感触が私の好みからは外れてます。
この中でも、
「只一点の隙も無い」と感じたのがLun『Hyper』38㎜
50㎜の方がデータ的にはエアロなんでしょうけど、
実走し比べての体感差は無く(少なくとも試乗した速度域では)
軽量ゆえのリアホイールの心許なさ(横/駆動剛性不足)も無し。
風が吹き荒れるような天候での「コントロール性」にも優れますし、
リムブレーキ1267g、ディスク1374gの軽さは、勝負所となる登りで武器となります。
また、カーボンスポークならではの「振動減衰性」も持ち合わせております。
リムブレーキ版は雨で普通に滑りましたが、それもディスクなら問題無し。
ベアリングに関しても、もし気に入らなかったり、
使用に伴ってゴリゴリになったとしても、比較的交換しやすい構造(ベアリング打ち換え動画)
『他に一体何を求めよう?いや何も求めない!』
よって、あらゆる要求を撥ね退けるLun『Hyper』38㎜が栄えある第1位。
フレーム部門
純粋にフレーム単体の【お気に入り度】でランキングすれば、
- Specialized『Aethos Pro』(車体全体の点数9.75点)
- Ridley『Fenix』(9.5点)
- Ridley『Helium SLX Disc』(9.5点)
- Winspace『SLC2.0』(10点)
- Anchor『RL8D』、Winspace『T1500』(共に9.25点)
(※『T1500』はもっと速度を出せる道なら、という期待込みの順位)
ホイール部門同様、こちらも上位1~4位に明確な差はありません。
しかしながら
心に訴えかけてくる「官能性」「ライドクオリティ」という叙情的素質では
やはり『Aethos Pro』が、他より頭一つ抜けていましたね。
56サイズ塗装込み699gは、反則レベルに軽いですし(^^;
ですが、ここにコスパという【金銭的要素】を加味すると、
- Winspace『SLC2.0』(車体全体の点数10点)
- Ridley『Fenix SLiC』(9.5点)
- Specialized『Aethos Pro』(9.75点)
- Ridley『Helium SLX』(9.5点)
- Anchor『RL8D』、Winspace『T1500』(共に9.25点)
【お気に入り度】No1の『Aethos Pro』は他と比べればやや高め。
それにフレームセット売りが無いのも辛いところ……
『Fenix SLiC』はステム一体型ハンドル付き31万と、
コスト面を考慮しても素晴らしいですね~(^^♪
オールマイティな性能、かつデザイン性抜群ですし、
とりあえず所持しておきたくなるような一台です!
ただし、コスパという面においては、
『SLC2.0』税込18万⇩は、もはや「バグ」と言っていい!
こちらの動画の途中に『SLC2.0』の製作風景が映っています(3:55~)
カーボンピースを1フレーム当たり300~500使っていたり、
時間をかけて研磨したり、耐久テストしたりといった手間暇は掛けていますが、
作り方自体は至って普通。
「目新しい技術などは無い。しかし性能のためにすべき事はきちんとやる!」
耳当たりの良いテクノロジーは、確かにセールスには大事なのかもしれませんけど、
真にユーザーフレンドリーなのは「良い上に手頃」な物を提供する事ではないでしょうか?
その精神を貫いているWinspaceは素晴らしいと、個人的には思います。
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