松木です。
スペシャライズドの風洞実験を紹介。
第三弾はロードレースにおいて肝となる『ドラフティング』です。
ドラフティングをマスターすれば、
出力を50%以下に抑えることも可能です。
~関連記事~
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車間とドラフティング効果の関係(動画リンク①、②、③)
車間距離によって空気抵抗はどう変わっていくのか?
ずっと気になっていました。
そこで、
- Specilized
- Global Cycling Network
- 海外の科学本
という比較的信頼できる3つの情報源を元に
40km/h走行時の「車間距離/空気抵抗」の関係を、
自分なりにグラフ化してみました。
縦軸の「空気抵抗(%)」は、
単独走行で必要なパワー(W)を100%としています。
一般的に、
「車間距離が離れると、一気に空気抵抗が大きくなる」
と思い込んでいる人が多いでしょう。
ですが実際は、車間距離が離れるにつれ、
比較的緩やかにドラフティング効果は薄れていきます。
そして、11mという想像以上に長い距離まで続きます。
仮に、40km/hで走るのに270w必要だとしましょう。
- 30cm(ビタ付け):127w
- 1m(車体半分ちょっと):140w
- 2m(車体1台ちょっと):170w
- 5m(車体3台):223w
- 7m(車体4台ちょっと):243w
- 11m(車体6台半ちょっと):270w
この事実を知っているだけで、
走り方は変わってくるのではないでしょうか?
ちなみに、先頭を走る選手にもドラフティング効果はあります。
理由は、背後の低圧領域(下記事の「物体を後方へと引っ張る力」が発生するエリア)が
すぐ後ろを走るライダーによって、ある程度改善されるためです。
このことは、あまり知られていない事実かもしれませんが、
その恩恵は-4%、出力にして11wと、なかなか大きいもの。
たとえ引かされ続けたとしても、
全くの損ではないということです。
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斜め風が吹く際に、ドラ効果を最大化できる位置(動画リンク)
続いて、
斜め風に対するドラフティング効果を
上の3パターンで実験しました。
- 単独走行
- 前走者の真後ろに付く(風を受ける)
- 風を避けるように前走者の斜め後ろに付く
斜め風を気にせず、
真後ろを走ってしまった場合、
出力は5%しか削減されません。
対して、前走者の斜め後ろを走った場合は、
風を受けずに済みますから38%の出力で走れます。
-5%と-38%。
その差33%、出力にして89wという大きな差。
つまり、横風が吹いているシチュエーションでは、
風向きに応じた位置取りに気を付けないと、
あっという間に集団から置いていかれる恐れがあります。
集団内で、ドラ効果を最大化できる位置(動画リンク)
最後は、
「前走者が複数人いる場合、後ろのどこを走ればいいのか」
という実験。
- 一方の真後ろにいる
- 前走者二人の間にいる
まず、一方の真後ろに付いて走った場合の
出力削減効果は-45%。
そして、間の場合が-40%。
前走者二人の間からすり抜けてきた風を受ける分+5%という結果。
ということは、
ほとんど風を感じない大集団内で走っている際にも、
「誰かの真後ろに付く」ことを意識して走ることによって
少なからず脚を溜めることができるという訳です。
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