松木です。
サクラホイール「4G-38」「4G-50」がマイナーチェンジしました。
変更点は前後ハブ。
それに伴いリアの組み方も2:1組に。
変更されたハブの特徴と、
それによってホイール性能がどう変わるのか考えてみます。
もしSACRAホイールをあまり知らないのであれば、
先に下の記事を読んでもらったほうが、
今回の記事も深く理解できると思います。
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ハブのビフォーアフター写真
改良前は「NOVATECH」や「TNI」のラインナップにもあるハブでした。
公表重量85g。
変更後のフロントハブは、BITEX製の「RAF10」の20H。(ベアリング688)
公表重量66g(-19g)。
続いて、改良前のリアハブ。
フリーボディに「アンチバイトガード(A.B.G)」が組み込まれている
ノヴァテック製のハブが使われていました。
そして、変更後のリアハブは、BITEX製の「RAR9」。(ベアリング6802×4)
元々のNOVATECHハブは230g以上あり、
「RAR9」の公表重量が192gですから、
リアハブだけで40gほど軽量化していることになります。
それから、スポーク本数は24本と変わっていませんが、
フリー側16本、半フリー側8本の2:1組に変更されています。
BITEX製のフリーボディ「R07T-A2C1」
見て分かる通り、チェットの爪が6つあります。
NOVATECHハブに使われてるフリーボディの爪は3つでした。
爪が多い=掛かりが良い=駆動剛性が高い
ということですから、爪の数が多いに越したことはありません。
BITEXフリーボディにも
スプロケットの噛みつき防止システム「Anti-Bite」があります。
NOVATECHフリーは1カ所のプレートだったのに対し、
BITEXフリーのほうは、3本のステンレス棒。
3カ所に分散させることで、
噛み込ませない力も高くなっています。
それに、噛み込む部分をピンポイントで守っていますから、
重量面でも有利になりそうです。
BITEXのフリーボディは非常に軽く、
一般的な物よりも30g以上軽い77.2gしかありません。
上のカンパの超軽量フリーボディ「FH-BO015X1」と比べても
10gほど重いだけです(ですが、噛みつきに弱い)。
以上のことから、
BITEXハブに使われている「R07T-A2C1」フリーボディは
”掛かり” ”耐久性” ”軽さ”
のバランスの高いフリーボディだと思いました。
「RAF10」「RAR9」のハブ寸法
ハブと言えばベアリングに注目されやすいですが、
それ以上にハブ形状が、ホイールの性能を決める肝になります。
それは、寸法が数mm異なるだけで、
横剛性が著しく落ちてしまう場合もあるからです。
こちらがBITEXのフロントハブの寸法。
フロントハブで一番大事な数字は
赤丸の「中心-フランジ間の距離」です。
ここが広いと、横剛性が出やすく、
コーナリングでも安定感のあるホイールが組めます。
元が32.5mmで、変更後が33.7mm。
1.2mm広がっていますから、
元のハブよりも「良い形」だと言えます。
続いて、リアハブを見ていきましょう。
赤丸の寸法が、横剛性に直結する重要な数字。
まず、左の図の「中心-左フランジ間の距離」ですが、
変更前36.825mm、変更後37.8mmで、
1mm広がっていて、横剛性が出やすい形になっています。
そして、左フランジの直径が小さく、右フランジの直径が大きい
いわゆる「ハイローフランジ」になっていることも横剛性を高めます。
上の画像のように、有名メーカーの完組ホイールの中に
「ハイローフランジ」のものが多いのも、そのためです。
変更前:左フランジPCD41mm/右フランジPCD49mm
変更後:左フランジPCD38.5mm/右フランジPCD50.6mm
フランジ直径も良い方向に変わっていると言えますね。
2:1組にする意味
有名メーカーのハイエンドホイールにも採用される
「フリー:反フリー=2:1」のスポーク本数。
シマノの場合、2:1組を「オプトバル」と名付けて、
「左右のスポークテンションの是正⇒ホイール剛性と強度の向上」
というメリットがあるとしています。
実際、スポークを触ると分かりますが、
普通に組んだ場合、半フリー側のスポークテンションは低くなってしまいますが、
2:1で組むと、左右のスポークテンションが均等に近づくのは間違いありません。
ですが、それが「ホイール剛性と強度の向上」
につながるはっきりした証拠はありません。
確かに、フリー側の本数は増えて駆動剛性は高まりそうですが、
2:1で組んでいなくても速いホイールはいくらでもありますし、
シマノホイールでも、
まだ2:1ではなかった「WH-7900-C35-TU」は
欠点の見当たらないすごく良いホイールでしたね。
逆に、TOKEN「C22A」なんかは2:1で組まれていますが、
リムとスポークの剛性が低くて、
ホイール全体の横剛性が全然足りていません。
「2:1組」は、組み方の一つとしてはアリだと思っていますが、
”それによってもたらされるホイール性能の向上はそれほど大きくない”
というのが自分の考えです。
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まとめ
ハブの寸法から考えて横剛性は上がっていそうですし、
ラチェットの爪が増えたことで、
弱点に感じた駆動剛性も多少改善されているはずです。
重量面では、前後ハブで-50~60g。
それから、比較的最近、リム表面の黒い塗装が省かれたことで
片側10gほど軽くなりましたから、
ホイール全体で-70~80g軽量化できていることになります。
これだけの改良がありながら、
価格は据え置きですから、
どんどん面白いホイールになってきているように感じます。
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