松木です。

 

エアロロードヘルメットの空力効果が高いことは周知の事実であり、
最近では、多くのライダーがレースで着用しています。
(42km/hで5~10w削減、40kmTTで20~40秒短縮)

 

【速く走るための風洞実験・エアロ効果⑤】頭の位置に留意せよ

では『ヘッドポジション』はどうか?

 

頭部のエアロダイナミクスを推し進めるため、
スペシャライズドの風洞実験を参考にしながら、
今回は『ヘッドポジション』のエアロについて考えてみましょう。

 

※本実験では、TTヘルメットで実施されていますが、
エアロロードヘルメットにも十分当てはまるはずです。

 

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テストした3種類のヘッドポジション

【速く走るための風洞実験・エアロ効果⑤】頭の位置に留意せよ

①左側:前を向き、普通に頭を上げる(基準)
②中央:下を向き、前面投影面積を小さくする
③右側:①の状態から頭を低くし、前面投影面積を小さくする

 

およそ時速50kmで走った際の、正面からの風を想定。

 

①のポジションを基準にして、
「40kmTTで何秒短縮できるのか?」を算出していきます。

実験結果

【速く走るための風洞実験・エアロ効果⑤】頭の位置に留意せよ

②の「下向きポジション」で24秒短縮。

 

これは、普通のヘルメットから
そこそこのエアロロードヘルメットに
交換した場合と同程度の効果があります。

 

【速く走るための風洞実験・エアロ効果⑤】頭の位置に留意せよ

③の「前を向きながら頭を低くするポジション」なら64秒短縮。

 

「エアロフレーム」(-40~105秒)や「エアロジャージ」(-40~80秒)、
そして「50mmディープリム」(-40~80秒)。

これらに匹敵する時間短縮効果が期待できるということ。

 

これは凄い……(^^;

楽に、速く走るためのヘッドポジション考察

【速く走るための風洞実験・エアロ効果⑤】頭の位置に留意せよ

①のポジションが芳しくないのは、

「ヘルメット後ろの低圧領域」
「腹部に流入する空気」

この2箇所が原因だと考えられます。

 

※「低圧領域⇒空気抵抗」の理屈について詳しくは、下の記事で話してます。

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【速く走るための風洞実験・エアロ効果⑤】頭の位置に留意せよ

そして、②の「下向きポジション」。

 

「前面投影面積」は、3種類のポジションの内で最も小さいですし、
両腕の間を頭部が埋める形となり、腹部へと流入する空気の量も少なく
いかにも空気抵抗を抑えられそうに見えますが、実際はそこまででもなく……

 

これはヘルメット後ろの低圧領域を改善できていない事が、
要因だと考えるのが妥当でしょうね。

 

【速く走るための風洞実験・エアロ効果⑤】頭の位置に留意せよ

その点、③のポジションだけが唯一、
この低圧領域を改善できているのです。

その結果、②と比べて40kmTTで40秒も速く走れることに。

 

「前面投影面積」は②よりも多少大きいものの、

【速く走るための風洞実験・エアロ効果⑤】頭の位置に留意せよ

この両者の空気抵抗が同じことからも分かるように、
「前面投影面積が小さい」「空気抵抗が小さい」

 

そして、②よりも「腹部に流入する空気の量」も若干多そうですが、
下の記事で話した通り、これも一概に「悪い」と言い切れず、
そこまで空力的なデメリットにはならないだろうと考えられます。

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【速く走るための風洞実験・エアロ効果⑤】頭の位置に留意せよ

以上、楽に、速く走るための『ヘッドポジション』に関してまとめると、

 

  • 『ヘッドポジション』のエアロ効果は、想像以上に大きい。
  • 『ヘッドポジション』の空力学的な肝は「ヘルメット後ろの低圧領域」。
    そのため「前面投影面積」を小さくしようとする意識ではなく、
    「ヘルメット後ろの低圧領域」を減らす意識を持つことが正解。
  • いかにも空気抵抗が小さそうな「下向きポジション」は、
    あまりエアロではない上に、前方不注意で危ないので避けるべき。
    (※ロードヘルメットだと、②が最もエアロな可能性も無くはないが)

 

ただし、首が硬い人にとっては、長い時間
③のポジションを維持するのも決して楽ではありません……

 

【速く走るための風洞実験・エアロ効果⑤】頭の位置に留意せよ

そこで、普段から首を痛めない範囲で少しずつ
首周りのストレッチを取り入れてみてもいいでしょう。

 

常時出力を下げられる可能性を秘めている上に、

”集団牽引” ”逃げ” ”スプリント”

こういった大事な局面において地味に効いてくるはずです。

 

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